問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
5-123 選択
「……くそっ!どこに行きやがったってんだ、あの野郎は!?……ん?野郎とは違うかな?確か野郎は男に向かっていう言葉だったか?」
ヴェスティーユは現状に文句を言いつつも、言葉の使い方を間違ったことにより母親であるサヤに注意されたことを思い出していた。
「……こんなところにいたのね。調子はどう?」
「あ、ヴァスティーユ!……うーんとねぇ、いま下っ端走らせて探させてるんだけど……もうすぐ、もうすぐ見つけるからさ!?お母様には……ね?ね!?」
仕事が遅いと自分でもわかっていたのか、ヴェスティーユの目には怯えた感情を浮かばせながらヴァスティーユに現状の報告をする。
それに、ヴェスティーユは一度消えかけたことを
ヴァスティーユもそのことを察し、そのことに対して優しい言葉で返した。
「そう……大変だったわね。でも、お母様もあなたしかできないことだからあなたに命令されたのよ。精一杯頑張りなさい」
「そうかなぁ……でも、がんばるよ!」
サヤがこのことをヴェスティーユに任せたのは理由があり、これはヴァスティーユにも持たない能力だった。
ヴェスティーユは一度ラファエルから消滅させられかけてから復活した際に悪魔を使役する能力が備わっていた。
しかも、その使役する悪魔はオスロガルムとは繋がっておらず、魔神に気付かれることなく行動が可能だった。
その使い方も悪魔に自由意識を持たせる事しかできなかったスロガルムとは異なり、ヴェスティーユは数は十体前後と多くはないが全ての悪魔と意識を繋げて各個体の行動をコントロールすることが可能だった。
このヴァスティーユの能力を使って、サヤはハルナやオスロガルムの行動を探らせていた。
「ねぇ……ヴェスティーユ」
この声の色は任務のためではなく、二人が姉妹だという感情から生まれる声だとヴェスティーユは感じた。
そこでヴェスティーユも、それに応えるようにいつもとは違う呼び名で返した。
「なぁに、お姉ちゃん」
サヤが従えている者たちで、ヴァスティーユとヴェスティーユは本当の家族だった。
そのため、二人で気を休めるときには今まで通りの呼び方で二人は話していた。
「ヴェスティーユは、私とお母様を助けるとしたら……どっちを取るの?」
突然の質問に対し、ヴェスティーユの目は見開き質問者の顔を見つめる。
口は開いたまま何かを発しようとするが、言葉はそこから生まれてこなかった。
(これは何か試されている?……お姉ちゃんもしかしてお母様に操られて……)
ヴェスティーユは、頭の中で様々な状況を思い浮かべてはそれに対して考察を繰り返していく。
どう答えればよい回答になるのか……
そして、ヴェスティーユの中で一つの結論が生まれ、それを回答として口にした。
「そんな質問はズルいわ、お姉ちゃん……それじゃあ、お姉ちゃんだったらどうするの?お母様と私、どっちを助けるの?……ねぇ?」
「ふふふ……そうね。今の質問は意地が悪かったわね、ごめんねヴェスティーユ」
そういってヴァスティーユは、最後の家族を優しく抱きしめた。
その行動にヴェスティーユも抵抗することなく、戻ってきた優しい姉の胸に顔を埋めて背中に手を回した。
(私はね……どちらを助けるか決まっているわ……もちろん……)
ヴァスティーユは妹の頭を撫でながら、先ほどの質問に答えなかった答えを頭の中でヴェスティーユに告げた。
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