問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

5-84 予言2








その言葉を聞いたハルナの思考は、一瞬にして真っ白になる。
だが、何かをしなければならないとハルナは頭の中で必死に状況を整理しようとする。




『……すぐには信じられないかもしれません。ですが今まで起きたことは、私が知っていることと全く同じなのです』


「今までのこと……全て……知っていたのですか?……どうやって!?」



『私はある人間の中の記憶を見たのです、そして今までの結末は今までと同じように……ハルナ。あなたと同じ世界から来た方の記憶を』


「え?小夜ちゃんの……ですか?どこで!?」


『ですが、あの者の……あの者が体験した記憶とは違うように思えたのです。ハルナたちは違う世界からきたのだと言っていましたね?ですがあの者の記憶は全てこの国、この世界で起きた出来事……そして未来が映っていたのです』

そういうとラファエルは今まで自分の胸の中だけに秘めていた情報をハルナに見せながら語り始めた。




それはまだ、東の王国ができる前の話。
まだこの世界が未発達であったころ、様々な生物は自分たちの役目も持たずにその日その日を精一杯に過ごしているような時代。

ラファエルたちはその生物たちの進化を見守るように存在していた。
特に誰からも与えられたものではなかったが、そうすることが当然のようにこの世界を見守っていた。
見守るだけで、ある特定の生物に手を貸したりすることはなかった。


生き物の中には、動物的直観で精霊の存在を認識している生物もいた。
しかし、知能が発達をしていなかったためそれ以上のことは起きることはなかった。

亜人の中には偶然にも魔素を発見し、それを扱う者が徐々に増えていった。


そんな中、ラファエルはこの世界に突然現れた異質な存在を感じ取った。
そこに向かうと、真っ黒に焦げた一人の人間がうつぶせになって倒れていた。

手をかざすと、まだ心臓が動いていたが命の火は消えかけてた。
ラファエルはガブリエルに頼んでその者の命は何とか救われた。

そして、ラファエルはそっと頭の上に手を乗せるとこの者が何故この場所に来たのかを探ろうとした。


『……!?』



ラファエルは、頭の中に流れ込んできた映像に耐えられずに手を離した。


『はぁ、はぁ……な……なんなの!?今のは……!?』


ラファエルは目をつぶり胸の前で腕を組んで、今見た映像を振り返っていく。
普通の人の脳では神経が焼け切れてしまうほどの情報量がラファエルの思考の中を駆けぬける。

そこには人間が大きな国を作り栄えていき、その人間から精霊を操るものが生まれその象徴として神という名で崇められていく姿が見えた。

あらに時間が進んでいくと、人と魔物が争っていた。
最終的には人が魔神を打ち取り、そこで世界は終わりを迎えた。



『……大丈夫ですか?』

ハルナの顔は青ざめていたのは、世界が終るという事実を知ったからではなく、あまりの情報量にハルナの思考がオーバーフローを起こしかけていたためだった。



「は、はい……なんとか……うっ!?」


ハルナは必死にこみ上げる物をこらえ、口元を両手で塞ぐ。
ラファエルはこれでもハルナに流した情報量をかなり制限をかけて、必要な物だけを流していた。
だが、人がこれだけの情報量を耐えられるのは、異世界から来たハルナだからであろうとラファエルは考えていた。


「この絵は……魔神オスロガルムが討たれて終わっているんですね」


『そうです。サヤという者があの剣を奪ったのは、そうさせないためなのか……それとも』


「この世界を……終わらせるため?」


ハルナ今自分が口にした言葉に、恐怖を感じた。








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