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山口 犬

5-60 オスロガルムの反撃





シュナイドのブレスは高温の熱を帯びた白い息。
ブレスは広範囲から喉の奥で元素を通過させる直径を狭めれば遠くまで届く勢いのあるブレスが吐ける。
そのためオスロガルムの足もとに転がっているカステオの身には影響がなく、目的の魔神だけを狙って吹きかけることが可能だった。
だが、その攻撃は不思議な現象によって阻まれた。




シュナイドのブレスは、オスロガルムの周りに球体の壁が存在するかのように目標物を避けていった。
そのためオスロガルムは、全くシュナイドの攻撃によるダメージを受けていない。


しかし、そのブレスがオスロガルムの視界を塞いでくれた。
そのことに気付いたソフィーネが、カステオの問題のない方の足を掴みステイビルの方へ引き放った。


サナとブンデルがカステオの身体を引き寄せ、自分たちよりも後方に移動させた。
弱っているようだが、呼吸はしっかりしている。


オスロガルムは、煩わしい虫を払いのけるかのように腕を横に振る。


『フン……こざかしい真似をしおって!見ての通りだ、ワシは何一つ傷はついておらん……さて、次はこちらの番だな』

オスロガルムは杖を持つ反対の掌で、黒い瘴気の塊を浮かび上がらせる。
そして、それをこちらに向け何の合図もなく放ってきた。


エレーナは大きな氷の壁をオスロガルムとの間に造り出し、自分たちの身を守ろうとした。
その黒い瘴気が氷の壁に当たった瞬間、その壁は瘴気と共に砕け散っていった。
その衝撃により、ハルナはたちは破裂した爆発の圧力によって、吹き飛ばされそうになりダメージを負う。



「……くっ!?」


「う……うーん」


「大丈夫ですか、ハルナさん?」




ハルナの上にはソフィーネが覆いかぶさり、その身を守ってくれていた。



「は、はい。ありがとうござ……ソフィーネさん!?」



ハルナは、ソフィーネの額から一筋の赤い筋が流れているのを見た。
ソフィーネはハルナに心配をさせないようにと、何も問題がないと告げる。


ハルナの無事を確認したソフィーネは、いつまでも覆いかぶさってはいられないと自分の身体を起こしてハルナの身体も引き起こした。
辺りを見ると、エレーナも爆発の衝撃でダメージを受けているようだった。


ハルナは、ソフィーネにこんなことをした魔人に対して怒りをこらえきれない。
ハルナは立ち上がり、オスロガルムの姿を捉え睨みつけた。



「――ハル姉ちゃん!?」



ハルナの中に沸き上がる力が、以上であることを感じたフウカはハルナの名を叫んだ。
ハルナの背後には、複数の空気を圧縮した塊が浮かび上がり、そこにはフウカが使っていた黒いものを消し去る光が含まれていた。


「許さない!……はぁっ!!!」



ハルナの掛け声とともに光を纏った空気の塊は、オスロガルムに向かって集中攻撃を始める。


『なんだとっ!!……ぐぅっ!?……うぉっ!!』



オスロガルムは、腕を前に交差しハルナの攻撃を防いでいるが、その攻撃によって明らかにダメージを受けているのが見て取れる。
それをチャンスと見たステイビルは、遠隔攻撃が可能なエレーナとブンデルにハルナに続くように指示をする。
エレーナはハルナと同じく氷と水の粒を大量に浴びせ、ブンデルは電撃と魔法の矢をオスロガルムに放った。


その攻撃は効いていた……が、決定的なダメージを与えるまでには至っていたなかった。
オスロガルムはそれらの攻撃に対し、大地が揺れるほどの大きな雄たけびをあげる。

それにより、全ての攻撃が一瞬にして消されてしまった。




『お前ら……よくも……よくもぉぉぉぉっ!!!!』



オスロガルムに大きなダメージはないが、チクチクと煩わしい攻撃に対し怒りを感じていた。
一瞬のけぞったあとお返しと言わんばかりに、オスロガルムの口からは黒い高濃度の瘴気が噴出された。

ステイビルはエレーナを見ると、先ほどの一斉攻撃によって体制が崩れこの攻撃に対して反応できていなかった。
そのことを危険に感じたステイビルは、背中の盾を構えハルナたちの前に立った。



「―――あ!ステイビルさん!!」



ハルナはその行為を危険と感じ手を伸ばしたが、オスロガルムの攻撃はすでに目の前まで迫っていた。







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