問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
3-274 東の王国78
建国が宣言され、一年半が過ぎていった。
その間に村はいろいろと整備が進み、町はその形を成して人も増えて賑やかになっていく。
町の中に新しい住居希望者が噂を聞きつけて集まり、その規模は徐々に広がっていく。
それと合わせて、城も新たに建造されていた。
山を背にして守りを固めるように、その城は建てられていた。
国となり税収を得ることを目的として、商人を拠点として呼び寄せる政策もとった。
その際に、エフェドーラの呼びかけにより仲の良い商人たちで”ギルド組合”を設立する。
強力を目的とした組合ではあるが、王国にも認められ”新しい商売の申請””資金の融資””まとまった量の物資調達”等において、国からの信頼と援助が受けられることになる。
もちろんギルドに所属をしなくても商いを行うことは可能だが、商売開始のための審査や税の面に置いてやや割高な金額が設定されていた。
それでも、ギルドの何かに入ることが面倒だという商人も一定数はいた。
そして、国の防衛を行っていくために警備兵を集めていった。
その辺りは、スライプが適任で現在でもつかわれている仕組みの基本を作っていった。
集落の者たちを纏めたカリスマ性と、スミカに教わった武術はその辺りにいる者では到底かなわない程の実力を身にけていた。
そして、スライプはレビュアと一緒になり、めでたく子供も一人授かっていた。
そうして、スライプは警備兵の隊長となり、武術訓練でマリアリスが補佐としてその役目を請け負っていた。
マリアリスは、城内で働くメイドの管理も行っていた。
その中で一部優秀な者は諜報員としての訓練を受けさせ、国のために活躍してもらっていた。
スミカとウェイラブが住む集落は”モイスティア”とその名を変え、エイミたちの住んでいた村は”ラヴィーネ”と名を変えた。
セイラは無事に男の子を出産し、ブランビートと共に王国が出来ていく姿を見ていた。
大変な仕事をあの二人に頼んでしまったことに、心を痛めながら……
あの日、セイラの妊娠したことを報告し、国王をブランビートと妃をセイラとすることを決めた日……水晶が光り、再びモイスの声が響き渡った。
それは、この国の未来を決めるための重要な話だった。
”――他の神の力を借りること”
この世界には、四つの属性を司る大精霊と竜神が存在している。
人間も力を付けていくように、魔物もその勢力を拡大しようとしている。
それらに対抗するには、モイスだけの力では敵わないという。
この世界のどこかに存在する神々のもとへ行き、加護を受け取る必要があるとのことだった。
その所在はモイスでも不明で、大まかな場所しか察知できないという。
神々の力を借りるには、その場所を探すことから始めなければならなかった。
”どこにいるのかわからない”
”いつまでかかるのかもわからない”
見通しの立たない旅をするために、王が国を不在にするわけにはいかない。
そういった理由から、その役目をエンテリアとエイミが請け負うと名乗り出た。
セイラは一緒に行くと言ったが、ブランビートがそれを制した。
子供が生まれた後、母親がいない長い期間が続くのは問題だと指摘した。
産まれてくる子供に、自分たちと同じ思いを子供にさせたくはないという考えがあった。
さらには、子供が生まれた後のセイラの体力を回復させるには時間がかかる。
セイラの回復を待てばその分だけ、国を出発する時期が遅れ神々と出会う時期も更に遅れてしまう。
他の三人に指摘をされ、セイラは渋々自分が出ていくことを諦めた。
(本当にモイス以外の神々と出会うことができるのか……)
そう思うと、一刻も早く旅立たなければという気持ちが焦りに変わっていく。
こうして、その役目はエイミとエンテリアが任されることになった。
まずエイミは、一度不思議な空間で会ったことのある土の大精霊”ウリエル”の居場所を探した。
手がかりのある”精霊と契約した森”に向かうために、エイミとセイラの生まれたラヴィーネに向かうことにした。
ここからいつも行動を共にしてきた二組の双子は、それぞれが別々の道を歩んで行くことになる。
最終的には十年という長い年月を掛けて、二人はようやく全ての神々に加護を受けることができた。
無事に王国に戻ると、そこは二人の知らない世界が広がっていた。
エンテリアは、ブランビートから母親であるスミカが天寿を全うしたことを聞かされる。
そのショックに、倒れそうになるエンテリアの身体をいつも隣にいたエイミが支えた。
ブランビート自身もその事実を事後に知らされ、同じような思いに至った。
だが、そのことはエンテリアとブランビートの邪魔にならないようにと、そのことを伏せるように言われていた。
マリアリスも母親が亡くなった寂しさに、気がおかしくなりそうだった。
しかし、二人のことを頼むと言われているため、その思いで持ちこたえてきた。
このことが、二組の双子の運命を更に引き裂いてしまうことになる。
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