なろう作家が転生して、なろう作品の主人公になりました!〜物語を自由に紡げるチートスキルに、矛盾メーターがMAXになると死亡するデメリットを添えて〜
第32話 花
◆
はっ!
俺の目が開き、全ての眠りから醒めた!
「ステイプラー!」
「えっ……どうしたの?」
俺は彼女の手を握り、彼女に魔法で可視できるフリンクロック式銃を持たせた!
この力は、ステイプラーが得意とする魔法『風景念射』である!
目を瞑って念じることで、フリンクロック式銃を設置した場所の風景を見ることができる!
「ど、どうしてノベルは私の魔法を――」
「そんなことはいい! 獲物が待ってるぜ!」
――現在の時刻は9時13分!
雑音も、ハイライターが扉に突き刺さった角を抜こうとする音も全て聞こえてくる!
間違いない、この世界は現実!
ってか、おいクソラノベ!
ステイプラーとのエッチな絡み全部が夢の中の話だったなんて!
『夢落ちなんて最低っ!』て罵られても知らねぇからな!
「北緯30度、東経60度! ステイプラー、撃鉄を起こせ!」
「う、うん! 分かった!」
俺は彼女の手を握りしめ、照準を定める!
すげぇぞ、子供のステイプラーに貰ったこの能力!
コンマ1ミリまで超絶正確に対象を狙うことができるぞ!
フリンクロック式銃の命中率ったら馬鹿みたいに低いし、そもそも狙撃のために生み出された武器でもない!
だけど、俺には分かる!
間違いなく、俺が撃ちたい物を射抜くことができるってことを!
「ノベル……! もしかして!」
「あぁ、お前の思ってる通り! お前から能力を貰ったんだ! お前の『残骸』からな!」
「……!」
ここまですごいなんてな。
ステイプラーが何を考えているかが正確に分かる!
狩人は、目配せをするだけで状況を把握できるスキルがあるって聞いたことはあるが、ここまで洗練されていると目配せする必要が無い!
もはや、俺とステイプラーは一心同体!
何をしていようとも全て分かるぞ!
「……あの人たちは麻薬の密売人なの?」
「あぁそうだ! お前が夢の中で殺しかけた奴らだ!」
――そう、俺が狙っているのは、以前取り逃した麻薬の密売人だ!
ただし、今回は夢の中じゃなくてガチで生きている人間だ!
「いいかステイプラー、お前はもう誰も殺さなくていいんだ! ってか俺が誰も殺させねぇ!」
「でも、あの人たちは密売人なんだよ? 早く仕留めなければ、愚者は死の贖罪に足るべき業に」
「うるせぇこのバカ! 1人で泣いてるような奴にこれ以上何も背負わせねぇって言ってんだ!」
ステイプラーは迷っていた。
『私には、殺していい人といけない人の違いがわからない』
そんなこと、迷う必要はない!
殺されていい生き物なんてこの世界に1人だって存在しない!
「撃て、ステイプラー! これがお前の、最後の射撃にしてやる!」
「……うんっ!」
そして、ステイプラーは自らの力で引き金を引いた。
これまで、彼女はたった1人で罪深い人を射殺してきた。
しかし、人が人を裁いていい理由はない。
フリンクロック式銃の燧石で爆薬に引火、爆音を立てて撃ち出された銃弾の砲口初速は秒速800メートルを優に超える!
「……ノベルっ!この弾!」
「あぁ。こりゃ傑作だろう?」
麻薬の入った袋に命中した弾は、形を変えて大きく広がる。
色とりどりで、見たものの心は大凡浄化される。
そんな魔法を、俺が考えて撃ち出したのだ。
「うん……うんっ! これでいいの、これでよかったんだ!」
ステイプラーは俺の耳元で囁き、しゃくり上げて泣き始める。
俺はもう、ステイプラーの一部だ。
なぜならば、俺はこの瞬間に彼女と契約をしたのである。
妖精族と新竜人族が契約したらおかしいか?
そんな常識、どこの書物にも書いてねぇよ。
「お前のバディはもう2度と銃で人を殺さない。誰も死なない、誰も死なせない」
「うん……うんっ!」
「これが、俺が導き出した問いの答えだ。文章で説明したほうがいいか?」
「いいや、分かるよ。ノベルは本当に優しい人なんだね。君越しに心の中に流れ込んでくるの。忘れ物が私に語りかけてくるの!」
『この、おっちょこちょい。100年前の忘れ物を届けにきたよ。もう2度と置いてけぼりにしちゃダメだからね?』
「うん、絶対に忘れない! もう離したりしないよ、ごめんね! ごめんねっ……!」
――麻薬の入った袋に穿たれた弾は形を変えて、天に向けて大きく育った。
麻薬の密売人はそれを取り、その場で小さく蹲る。
お前だって、本当はこんな仕事をしたくないんだろう。
家族を養うためならば、なんだってする……か。
だけど、そりゃ飛んだ間違いだ。
今を後悔し、1から前進できるように俺はお前を応援してやりたい。
――そのために、俺から色とりどりの花束をプレゼントしてやる。
銃弾かと思えば残念、それはマジック用のお花だ。
若き亜人族の少年からのメッセージだ。
もう2度と誰かを傷つけたりしちゃダメだ。
そう言う、優しい亜人族の少年のな。
◆
「……あげちゃったんだね。ノベルに力を」
ステイプラーはベッドから起き上がる。
眠る前と同じ、サイズ違いの白いワンピースを着ている。
やっぱり、裸になって俺に抱きついてきたのは夢の中の夢だったか。
証拠に、俺は隊服を着たままだし、夢の中ではいなかったハイライターの角もご健在だ。
しかも、俺が実際に眠っていた時間はたったの1分くらいときた!
さすがは過去のステイプラーさん、童貞の俺は数秒で眠りに堕ちる……ってのは強ち間違いじゃなかったぞ?
「おい、ノベル! そっちから俺様の角を押してくれ! 首の力だけじゃ抜けんのだ!」
――だぁ、うるっさいなぁ今はそう言う気分じゃないんだハイライター!
まぁ、こいつは後で処理するとしてだ。
「お前の『残骸』が言ってたぜ。『君に私の全てを捧げたい!』ってな。過去のお前は、もうお前に戦って欲しくないと思ってたんだろう」
「……そっか。全てを捧げたいだなんて、昔の私はキザなんだね」
「いやいや、そういう意味で言ったんじゃないだろ。とりあえず、お前はもう戦わなくていい。その代わりに、俺が引き金を引くからな」
「そっか。分かったよ」
やっぱり、夢の中とは違って良い匂いがする。
花の香りがするのはきっと、ステイプラーが妖精だからなんだろうな。
「ノベル」
「あぁ、なんだ?」
――瞬間、俺の頬に彼女の唇が当たった!
「え、え、ええっ?」
俺は突然すぎる突撃に困惑して全身がバクバクした!
「ドキドキしてるのが伝わるよノベル。私は君に従属しているからなんでも分かるの。私はノベルの所有物。そういうことなんだよ」
「あっ、ああっ! ってか、お前には心に決めた人がいるんだろうが! 亜人族の少年君のことを忘れたとか言い出すんじゃないだろうな! ラノベではそういう展開は『浅い』って言われて叩かれるんだぞ!」
「忘れたりは絶対にしない。でも、ノベルのおかげで私の心は動き出したの。100年前に忘れてきた『恋心』が」
ななななな、何を言い出すんですかこの子は!
言っておきますがね、俺とお前はまだ出会って10分とかなんだぞ!
夢の中では丸一日くらい一緒にいたし、裸で抱かれたこともあったが――!
「ちなみに、妖精族と竜人族は交配可能。本で読んだことがある」
「だからなんだよ! 言っておくがな、お前は俺と契約した妖精なんだぞ! それに、俺には契約している天使もいる!」
「それも分かってる。だから、アズリエルって子がノベルと結婚する前に、私が結婚する」
「あわ、あわわわ!」
あ、やばいこの子!
本気で俺のことが好きになっちゃった系女子だ!
まずいぞこの展開!
ラノベで最もやっちゃいけない展開である『速攻陥落』が今起きている!
「……焦ってるノベルは可愛くて抱きしめたくなる」
と、ステイプラーは俺に飛びついてくる!
「うひゃあ! マジでやばい、ちょっと俺には刺激が強すぎる!」
「もうすでに臨戦態勢だね。私はいつでも待ってるから」
「おい馬鹿野郎! ソコは触るんじゃねぇ!」
――と、俺の上に乗りかかろうとするステイプラーを誤って突き飛ばした!
彼女はベッドから転がり落ち、ずてんと音を立てる!
「す、すまん! 大丈夫……!」
「あ、ダメだよノベル!」
ずっこけて頭から落ち、ステイプラーは天井にお尻を向けて大開脚!
そして、彼女はなぜかパンツを履いておらず、着ていたワンピースも子供サイズで太腿までしか丈がない――!
「こここ、これはっ……ぶしゅっ!」
「あぁ、見ちゃだめノベル! この格好は流石に恥ずかしい……」
俺の脳の処理速度は限界に達し、鼻血を吹き出してベッドに倒れ込んだ。
――あぁ、女の子ってあんな感じなんだ。
女の子ってあんな感じなんだ!
「い、異世界……さいこー」
はっ!
俺の目が開き、全ての眠りから醒めた!
「ステイプラー!」
「えっ……どうしたの?」
俺は彼女の手を握り、彼女に魔法で可視できるフリンクロック式銃を持たせた!
この力は、ステイプラーが得意とする魔法『風景念射』である!
目を瞑って念じることで、フリンクロック式銃を設置した場所の風景を見ることができる!
「ど、どうしてノベルは私の魔法を――」
「そんなことはいい! 獲物が待ってるぜ!」
――現在の時刻は9時13分!
雑音も、ハイライターが扉に突き刺さった角を抜こうとする音も全て聞こえてくる!
間違いない、この世界は現実!
ってか、おいクソラノベ!
ステイプラーとのエッチな絡み全部が夢の中の話だったなんて!
『夢落ちなんて最低っ!』て罵られても知らねぇからな!
「北緯30度、東経60度! ステイプラー、撃鉄を起こせ!」
「う、うん! 分かった!」
俺は彼女の手を握りしめ、照準を定める!
すげぇぞ、子供のステイプラーに貰ったこの能力!
コンマ1ミリまで超絶正確に対象を狙うことができるぞ!
フリンクロック式銃の命中率ったら馬鹿みたいに低いし、そもそも狙撃のために生み出された武器でもない!
だけど、俺には分かる!
間違いなく、俺が撃ちたい物を射抜くことができるってことを!
「ノベル……! もしかして!」
「あぁ、お前の思ってる通り! お前から能力を貰ったんだ! お前の『残骸』からな!」
「……!」
ここまですごいなんてな。
ステイプラーが何を考えているかが正確に分かる!
狩人は、目配せをするだけで状況を把握できるスキルがあるって聞いたことはあるが、ここまで洗練されていると目配せする必要が無い!
もはや、俺とステイプラーは一心同体!
何をしていようとも全て分かるぞ!
「……あの人たちは麻薬の密売人なの?」
「あぁそうだ! お前が夢の中で殺しかけた奴らだ!」
――そう、俺が狙っているのは、以前取り逃した麻薬の密売人だ!
ただし、今回は夢の中じゃなくてガチで生きている人間だ!
「いいかステイプラー、お前はもう誰も殺さなくていいんだ! ってか俺が誰も殺させねぇ!」
「でも、あの人たちは密売人なんだよ? 早く仕留めなければ、愚者は死の贖罪に足るべき業に」
「うるせぇこのバカ! 1人で泣いてるような奴にこれ以上何も背負わせねぇって言ってんだ!」
ステイプラーは迷っていた。
『私には、殺していい人といけない人の違いがわからない』
そんなこと、迷う必要はない!
殺されていい生き物なんてこの世界に1人だって存在しない!
「撃て、ステイプラー! これがお前の、最後の射撃にしてやる!」
「……うんっ!」
そして、ステイプラーは自らの力で引き金を引いた。
これまで、彼女はたった1人で罪深い人を射殺してきた。
しかし、人が人を裁いていい理由はない。
フリンクロック式銃の燧石で爆薬に引火、爆音を立てて撃ち出された銃弾の砲口初速は秒速800メートルを優に超える!
「……ノベルっ!この弾!」
「あぁ。こりゃ傑作だろう?」
麻薬の入った袋に命中した弾は、形を変えて大きく広がる。
色とりどりで、見たものの心は大凡浄化される。
そんな魔法を、俺が考えて撃ち出したのだ。
「うん……うんっ! これでいいの、これでよかったんだ!」
ステイプラーは俺の耳元で囁き、しゃくり上げて泣き始める。
俺はもう、ステイプラーの一部だ。
なぜならば、俺はこの瞬間に彼女と契約をしたのである。
妖精族と新竜人族が契約したらおかしいか?
そんな常識、どこの書物にも書いてねぇよ。
「お前のバディはもう2度と銃で人を殺さない。誰も死なない、誰も死なせない」
「うん……うんっ!」
「これが、俺が導き出した問いの答えだ。文章で説明したほうがいいか?」
「いいや、分かるよ。ノベルは本当に優しい人なんだね。君越しに心の中に流れ込んでくるの。忘れ物が私に語りかけてくるの!」
『この、おっちょこちょい。100年前の忘れ物を届けにきたよ。もう2度と置いてけぼりにしちゃダメだからね?』
「うん、絶対に忘れない! もう離したりしないよ、ごめんね! ごめんねっ……!」
――麻薬の入った袋に穿たれた弾は形を変えて、天に向けて大きく育った。
麻薬の密売人はそれを取り、その場で小さく蹲る。
お前だって、本当はこんな仕事をしたくないんだろう。
家族を養うためならば、なんだってする……か。
だけど、そりゃ飛んだ間違いだ。
今を後悔し、1から前進できるように俺はお前を応援してやりたい。
――そのために、俺から色とりどりの花束をプレゼントしてやる。
銃弾かと思えば残念、それはマジック用のお花だ。
若き亜人族の少年からのメッセージだ。
もう2度と誰かを傷つけたりしちゃダメだ。
そう言う、優しい亜人族の少年のな。
◆
「……あげちゃったんだね。ノベルに力を」
ステイプラーはベッドから起き上がる。
眠る前と同じ、サイズ違いの白いワンピースを着ている。
やっぱり、裸になって俺に抱きついてきたのは夢の中の夢だったか。
証拠に、俺は隊服を着たままだし、夢の中ではいなかったハイライターの角もご健在だ。
しかも、俺が実際に眠っていた時間はたったの1分くらいときた!
さすがは過去のステイプラーさん、童貞の俺は数秒で眠りに堕ちる……ってのは強ち間違いじゃなかったぞ?
「おい、ノベル! そっちから俺様の角を押してくれ! 首の力だけじゃ抜けんのだ!」
――だぁ、うるっさいなぁ今はそう言う気分じゃないんだハイライター!
まぁ、こいつは後で処理するとしてだ。
「お前の『残骸』が言ってたぜ。『君に私の全てを捧げたい!』ってな。過去のお前は、もうお前に戦って欲しくないと思ってたんだろう」
「……そっか。全てを捧げたいだなんて、昔の私はキザなんだね」
「いやいや、そういう意味で言ったんじゃないだろ。とりあえず、お前はもう戦わなくていい。その代わりに、俺が引き金を引くからな」
「そっか。分かったよ」
やっぱり、夢の中とは違って良い匂いがする。
花の香りがするのはきっと、ステイプラーが妖精だからなんだろうな。
「ノベル」
「あぁ、なんだ?」
――瞬間、俺の頬に彼女の唇が当たった!
「え、え、ええっ?」
俺は突然すぎる突撃に困惑して全身がバクバクした!
「ドキドキしてるのが伝わるよノベル。私は君に従属しているからなんでも分かるの。私はノベルの所有物。そういうことなんだよ」
「あっ、ああっ! ってか、お前には心に決めた人がいるんだろうが! 亜人族の少年君のことを忘れたとか言い出すんじゃないだろうな! ラノベではそういう展開は『浅い』って言われて叩かれるんだぞ!」
「忘れたりは絶対にしない。でも、ノベルのおかげで私の心は動き出したの。100年前に忘れてきた『恋心』が」
ななななな、何を言い出すんですかこの子は!
言っておきますがね、俺とお前はまだ出会って10分とかなんだぞ!
夢の中では丸一日くらい一緒にいたし、裸で抱かれたこともあったが――!
「ちなみに、妖精族と竜人族は交配可能。本で読んだことがある」
「だからなんだよ! 言っておくがな、お前は俺と契約した妖精なんだぞ! それに、俺には契約している天使もいる!」
「それも分かってる。だから、アズリエルって子がノベルと結婚する前に、私が結婚する」
「あわ、あわわわ!」
あ、やばいこの子!
本気で俺のことが好きになっちゃった系女子だ!
まずいぞこの展開!
ラノベで最もやっちゃいけない展開である『速攻陥落』が今起きている!
「……焦ってるノベルは可愛くて抱きしめたくなる」
と、ステイプラーは俺に飛びついてくる!
「うひゃあ! マジでやばい、ちょっと俺には刺激が強すぎる!」
「もうすでに臨戦態勢だね。私はいつでも待ってるから」
「おい馬鹿野郎! ソコは触るんじゃねぇ!」
――と、俺の上に乗りかかろうとするステイプラーを誤って突き飛ばした!
彼女はベッドから転がり落ち、ずてんと音を立てる!
「す、すまん! 大丈夫……!」
「あ、ダメだよノベル!」
ずっこけて頭から落ち、ステイプラーは天井にお尻を向けて大開脚!
そして、彼女はなぜかパンツを履いておらず、着ていたワンピースも子供サイズで太腿までしか丈がない――!
「こここ、これはっ……ぶしゅっ!」
「あぁ、見ちゃだめノベル! この格好は流石に恥ずかしい……」
俺の脳の処理速度は限界に達し、鼻血を吹き出してベッドに倒れ込んだ。
――あぁ、女の子ってあんな感じなんだ。
女の子ってあんな感じなんだ!
「い、異世界……さいこー」
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