なろう作家が転生して、なろう作品の主人公になりました!〜物語を自由に紡げるチートスキルに、矛盾メーターがMAXになると死亡するデメリットを添えて〜
第7話 シナリオ
◆
ラノベの主人公は、『絶対』を手に入れてはならない。
理由は多くあるが、最も納得できるのは『バランスブレイカー』になってしまうことだ。
『神から授かった力で無双する』系の物語の大体は破綻すると言われている。
例えば、『神から天地を揺るがす力を受け取った』とあれば、その時点で読者は主人公に対して何を求めていいものか分からなくなる。
天地が扱えるなら、もうその上に立つ生物を意のままに潰せばええやん……ってなる。
地球を操作するほどの力を持っておきながら、戦略性や努力もクソもないだろう。
読者は、主人公が得る力を順番に知ることで、あたかも自分も同時に成長したかのような錯覚を見ることができる。
この錯覚のおかげで、読者はラノベの主人公になりきって楽しむことができる。
故に、秀逸な物語になるのである。
物語の1ページ目から主人公が頂点であるというのはつまり、『これ以上主人公は成長できない』と読者に伝えているようなものだ。
俺は、ラノベ中には絶対に『絶対』は出さない。
なぜならば、ストーリー自体に緊張感が無くなるからである。
俺最強、そのあとはただ虚しいだけだ。
それこそ本当に緩急や感動も、成長する喜びも人を失う悲しみも何もない、絶対なる地獄なのではないか?
◆
ちゅんちゅん。
雀……なのか?
この世界には地球と同じ生き物が生きている可能性があるな。
あとでそう言うところも調べる必要がありそうだ。
ノベルメイカーの設定に、『この世界の全てを知れる』って書けば、調べる必要はなくなるか?
いいや、それは流石にチートすぎる。
この世界の本を読んだり、聞き込みをする必要がなくなるから、それはしないでおこう。
地道に努力、だ。
俺はゆっくりと体を起こして辺りを確認する。
ここは確かにカナヤの宿屋で間違いない。
異世界に転生したのは夢じゃないのだと少し安堵する心と、本当だったのかと驚愕の心が入り混じる。
とりあえず、マイナスな気分ではない。
「お客様。廊下で寝てもらっては困りますよ」
宿屋の従業員さんが箒を握って、俺を睨みつけてる。
「す、すみません。どうも部屋のベッドでは寝付けなくてですね」
「そうでしたか。とりあえず、フロントでもう1人分の宿賃も払っていただきますからね」
従業員さんは俺を不審がりながら階段を降りて行った。
……あの人、アズリエルが泊まってるの気付いてたか。
宿代を払いたくないから、俺は廊下で寝たと言うのに!
あぁ、このままじゃ破産するぞ!
それにしても、異世界に来て初めて睡眠をする場所は廊下だったのか。
居た堪れんな、俺ってば。
◆
結局、アズリエルを天界に帰す方法は分からなかった。
よくよく考えてみれば、俺の武器であるノベルメイカー(ノートとペン)は基本的に世界にインプットする力だ。
でも、アウトプットすることはできないのだ。
例えるなら、『異世界から剣を召喚!』とノートに書けば当たり前のように剣は召喚される。
それは、天界にいたアズリエルがこの世界に降りてきたから証明できている。
ただ、俺がしようとしていたのはアウトプットだ。
『ここから天界に剣を召喚!』って良く考えれば不可能に決まってる。
なぜならば、全く違う世界に他人を召喚しようとしているのと同じだからだ。
そもそもこうなってくると召喚ではなく転送だ。
物語に関係ない位置へのアウトプットはどうしても不可能。
その他の表現を使ったとしても、事実上同じ結果なのでノベルメイカーは機能しなかった。
ただし、削除はできる。
『アズリエルを削除』と書けばアズリエルは消えるはずだ。
理由は、アズリエルが召喚できたからだ。
ここからは全て仮説だ。
ノベルメイカーの能力には『人の生死に関わることは実現不可能』とある。
だが、生命体であるアズリエルをこの世界に召喚できた。
これはつまり、このラノベの世界に限り、アズリエルは生命体としてカウントされてないってことだ。
故に、アズリエルを削除は可能ってわけだ。
まぁ、そのあとどうなるかは俺には分からないが。
そもそも、なんでアズリエルが異世界から召喚された瞬間、矛盾メーターは上がらなかったんだ?
俺が異世界召喚なんてこなしてしまったら、もはや俺は神の領域だ。
他人をこの世界に召喚しまくって、ワンチャン俺だけで帝国が作れてしまう。
それはまさにチートもチート、矛盾メーターが上がらないわけがない。
それに、アズリエルを召喚してすぐ帰すつもりだったから、矛盾メーターの振れについて考慮せずに呼び出したが。
それってつまり――。
『初めからアズリエルはこの世界に召喚されるシナリオが存在した』ってことなのか?
ラノベの主人公は、『絶対』を手に入れてはならない。
理由は多くあるが、最も納得できるのは『バランスブレイカー』になってしまうことだ。
『神から授かった力で無双する』系の物語の大体は破綻すると言われている。
例えば、『神から天地を揺るがす力を受け取った』とあれば、その時点で読者は主人公に対して何を求めていいものか分からなくなる。
天地が扱えるなら、もうその上に立つ生物を意のままに潰せばええやん……ってなる。
地球を操作するほどの力を持っておきながら、戦略性や努力もクソもないだろう。
読者は、主人公が得る力を順番に知ることで、あたかも自分も同時に成長したかのような錯覚を見ることができる。
この錯覚のおかげで、読者はラノベの主人公になりきって楽しむことができる。
故に、秀逸な物語になるのである。
物語の1ページ目から主人公が頂点であるというのはつまり、『これ以上主人公は成長できない』と読者に伝えているようなものだ。
俺は、ラノベ中には絶対に『絶対』は出さない。
なぜならば、ストーリー自体に緊張感が無くなるからである。
俺最強、そのあとはただ虚しいだけだ。
それこそ本当に緩急や感動も、成長する喜びも人を失う悲しみも何もない、絶対なる地獄なのではないか?
◆
ちゅんちゅん。
雀……なのか?
この世界には地球と同じ生き物が生きている可能性があるな。
あとでそう言うところも調べる必要がありそうだ。
ノベルメイカーの設定に、『この世界の全てを知れる』って書けば、調べる必要はなくなるか?
いいや、それは流石にチートすぎる。
この世界の本を読んだり、聞き込みをする必要がなくなるから、それはしないでおこう。
地道に努力、だ。
俺はゆっくりと体を起こして辺りを確認する。
ここは確かにカナヤの宿屋で間違いない。
異世界に転生したのは夢じゃないのだと少し安堵する心と、本当だったのかと驚愕の心が入り混じる。
とりあえず、マイナスな気分ではない。
「お客様。廊下で寝てもらっては困りますよ」
宿屋の従業員さんが箒を握って、俺を睨みつけてる。
「す、すみません。どうも部屋のベッドでは寝付けなくてですね」
「そうでしたか。とりあえず、フロントでもう1人分の宿賃も払っていただきますからね」
従業員さんは俺を不審がりながら階段を降りて行った。
……あの人、アズリエルが泊まってるの気付いてたか。
宿代を払いたくないから、俺は廊下で寝たと言うのに!
あぁ、このままじゃ破産するぞ!
それにしても、異世界に来て初めて睡眠をする場所は廊下だったのか。
居た堪れんな、俺ってば。
◆
結局、アズリエルを天界に帰す方法は分からなかった。
よくよく考えてみれば、俺の武器であるノベルメイカー(ノートとペン)は基本的に世界にインプットする力だ。
でも、アウトプットすることはできないのだ。
例えるなら、『異世界から剣を召喚!』とノートに書けば当たり前のように剣は召喚される。
それは、天界にいたアズリエルがこの世界に降りてきたから証明できている。
ただ、俺がしようとしていたのはアウトプットだ。
『ここから天界に剣を召喚!』って良く考えれば不可能に決まってる。
なぜならば、全く違う世界に他人を召喚しようとしているのと同じだからだ。
そもそもこうなってくると召喚ではなく転送だ。
物語に関係ない位置へのアウトプットはどうしても不可能。
その他の表現を使ったとしても、事実上同じ結果なのでノベルメイカーは機能しなかった。
ただし、削除はできる。
『アズリエルを削除』と書けばアズリエルは消えるはずだ。
理由は、アズリエルが召喚できたからだ。
ここからは全て仮説だ。
ノベルメイカーの能力には『人の生死に関わることは実現不可能』とある。
だが、生命体であるアズリエルをこの世界に召喚できた。
これはつまり、このラノベの世界に限り、アズリエルは生命体としてカウントされてないってことだ。
故に、アズリエルを削除は可能ってわけだ。
まぁ、そのあとどうなるかは俺には分からないが。
そもそも、なんでアズリエルが異世界から召喚された瞬間、矛盾メーターは上がらなかったんだ?
俺が異世界召喚なんてこなしてしまったら、もはや俺は神の領域だ。
他人をこの世界に召喚しまくって、ワンチャン俺だけで帝国が作れてしまう。
それはまさにチートもチート、矛盾メーターが上がらないわけがない。
それに、アズリエルを召喚してすぐ帰すつもりだったから、矛盾メーターの振れについて考慮せずに呼び出したが。
それってつまり――。
『初めからアズリエルはこの世界に召喚されるシナリオが存在した』ってことなのか?
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