色気より食い気の俺が料理上手の幼馴染に『毎朝、お前の作ったみそ汁が飲みたい』と言ったらすぐ同居することになった
12 台所で料理をする嫁の後ろ姿は最高で……
「じゃあ、湊人。しっかりやれよ」
「結菜ちゃんを守ってあげなさい」
「お兄ちゃん、がんば~」
家族は思いのほかあっさりと帰って行った。
「……さてと」
とりあえず、そのアパートは安いとか言いつつも、それなりにしっかりした所だ。
俺は無意識の内に壁の厚さを確かめるようにコンコンとしていた。
「……うん。けっこう厚そうだな」
「ミーくん」
結菜に呼ばれて軽くビクっとした。
「な、何だ?」
「冷蔵庫に食材が無いから、買い出しに行きたいな」
「あ、ああ。そうだな。一応、父さんたちがカップ麺とかレトルト食品を用意してくれたけど。やっぱり、結菜の手作りが良いもんな」
「うふふ。じゃあ、行きましょう?」
結菜は嬉しそうに笑いながら言った。
◇
近所のスーパーで買い出しを済ませて帰宅した。
「ちょうど良い時間になったね」
時刻は夕暮れ時である。
「ああ、そうだな」
「じゃあ、早速お夕飯を用意するね」
「今日の献立は?」
「カレーだよ」
「良いねぇ~」
ちょうど初夏のころ合いで気温も上がっていることだし。
暑い時ほど、熱く辛い物が美味いのだ。
「よいしょと」
結菜はヘアゴムで髪をくくった。
「あ、何か新鮮だな」
「え、そうかな?」
「うん。普段の清楚なロングヘアーも可愛いけど。少し活発な感じのポニテも良いな」
「えへへ、ミーくんに褒められた♡」
結菜はご機嫌な調子で野菜を切り始めた。
トントン、とこぎみの良い音が鳴る。
「俺も何か手伝おうか?」
「ううん、ミーくんはゆっくりテレビでも見ていて。何なら、お風呂に入っても良いよ」
「あ……お風呂は、後で一緒に入りたいな」
一瞬だけ、結菜の手が止まった。
「……良いよ」
「あ、ありがとう」
お互いに、何か照れた空気になってしまう。
台所に立つ結菜の顔は見えないけど。
ポニテによって露わになっているうなじがほんのり赤く染まっていた。
気が付けば、俺はそっと立ち上がっていた。
「結菜」
「なに、ミーくん?」
「その……ちょっとお願いがあるんだ」
「良いよ、何でも言って。カレーの隠し味のリクエストかな?」
「いや、えっと……結菜のきれいな……う、うなじを味見しても良いでしょうか?」
束の間、静寂が訪れる。
し、しまったぁ!
さすがに欲望を剥き出しにして引かれてしまっただろうか。
いくら優しい結菜とはいえ……
「……良いよ」
「で、ですよね、ドン引きですよね~……って、えっ?」
「私はミーくんのお嫁さんだから……好きにして?」
「ゆ、結菜……」
俺は興奮を押さえつつ、軽く震える両手で結菜の肩に触れた。
ピクリ、とその華奢な肩が震える。
「こ、怖いか?」
「ううん……ドキドキする」
「そ、そっか……じゃあ、行くぞ?」
「はい……」
ていうか、結菜のうなじを味わうと言ったものの、どうしようか。
舐めるのはちょっとな……
思案したあげく、俺は軽く唇でかぷっとすることにした。
歯を立てないように、慎重に……
「……あっ」
結菜の口の端から、甘い吐息が漏れた。
「だ、大丈夫か?」
「……う、うん」
「もう少しだけ、良いか?」
「遠慮しないで……」
俺は優しい結菜のお言葉に甘えて。
また、うなじを甘噛みする。
「はっ……ミーくんに食べられちゃう……何か、すごい」
「ご、ごめん、結菜。俺、なんか興奮して来ちゃった……」
「わ、私も……」
振り向いた結菜と見つめ合う。
そのまま、お互いに赤面をしながら、キスをした。
「んっ……ちゅっ……はっ……あん」
先ほどよりも間近で結菜の甘い吐息が触れると、俺の心拍数は更に上昇する。
そして、積極的に結菜を求めてしまう。
結菜もまた、緊張して震えながらも、必死で応えてくれる。
俺はその繊細な体を折ってしまわないように、なるべく優しく抱き締めるように心掛けた。
「結菜……結菜……」
「ミーくん……ミーくん……」
お互いにますますヒートアップしかけた時。
カタカタ、と。
鍋のお湯が沸騰して蓋が揺れた。
ハッとした結菜が慌てて蓋を取った。
「に、荷崩れをしないように、先にジャガイモだけ茹でておいたの」
「へ、へぇ。さすがは結菜だな」
「す、すぐにカレーを作るから。待っていて」
「あ、ああ。邪魔をして悪かったな」
「ううん、気にしないで」
それからしばらくは、俺がテレビを見る音と、結菜が料理をする音だけが混じって響いていた。
          
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