家出中の美女を拾ったら、僕が好きなあの子のお姉さんだった

三葉空

38 夏休みの前に、制服デートしたいな♡

 もうすぐ、夏休みがやって来る。


「いや~、楽しみだなぁ」


 となりでうちわを仰ぐ大樹が言う。


「そうだねぇ」


 僕は適当に頷く。


「翔太は良いよな。彼女が居るから、尚のこと楽しいだろ?」


「まあね」


「夏休みは須藤とヤリまくりか」


「まあね」


「ちっとは否定しろよ」


「あはは」


 大樹を初め、クラスメイト達は僕と真由美ちゃんが付き合っていることを知っている。


 ちなみに、その姉の灯里さんとも恋仲なことは内緒だ。


 だから、大樹が思っている以上に、僕の夏休みはエッチに忙しくなることだろう。


「翔太くん」


 その声に振り向く。


「お、噂をすれば。彼女さんじゃないか」


 大樹がニヤつきながら言う。


「うるさいよ」


 笑顔の真由美ちゃんがそばに来た。


「ねえ、翔太くん。今日の放課後に、その……デートしない?」


「え? うん、良いけど」


「やった」


「これはまあ、お熱いこって」


 大樹は尚も僕らをからかう。


「じゃ、じゃあ、放課後にね」


「うん」


 真由美ちゃんは小さく手を振って自分の席に戻って行く。


「なあ、翔太。一つだけ聞いても良いか?」


「なに?」


「須藤って、エッチの時はどんな感じなの?」


「死んでも答えないよ」


 僕は笑顔でそう言った。




      ◇




 そして、放課後。


「あはは」


「うふふ」


 僕と真由美ちゃんは堂々と、手をつないで校門まで歩いて行く。


「ちくしょう、俺たちの須藤さんが」


「何であんな冴えない野郎に」


「なぁ」


 そんな囁き声が聞こえて来ると、やっぱり真由美ちゃんは人気者でモテモテなんだと分かる。


 当然、そんな僕に対して嫉妬を抱く男子はたくさんいる訳で、今みたいに悪口も言われるけど。


 あまり、気にならない。


「これが、勝者の余裕か」


「翔太くん?」


「あ、何でもないよ」


 それから、僕と真由美ちゃんはバスに乗って街にやって来た。


「でも、真由美ちゃん。急にデートしたいなんて、どうしたの?」



「ほら、もうすぐ夏休みでしょ?」


「うん、そうだね」


「しばらく、制服は着なくなっちゃうから。その前に、翔太くんと制服デートがしたかったの」


 真由美ちゃんは照れたようにそう言った。


 か、可愛い……


「な、なるほどね。ちなみに、これからどうする?」


「うーん……あっ。アイスを食べない?」


 真由美ちゃんが指を差す先に、アイスの移動販売車があった。


「良いね、行こう」


 僕は真由美ちゃんと手をつないだまま歩いて行く。


「いらっしゃいませ~」


 愛想の良い店員さんに迎えられる。


「えっと、どうしようかな」


「迷っちゃうね」


 僕らはもう少し迷いたかったけど、後ろのお客さんにも悪いから、


「じゃあ、僕はバニラで」


「じゃあ、私はイチゴで」


「かしこまりました~♪」


 そして、パッとアイスが提供される。


「あそこに行こう」


「うん」


 僕と真由美ちゃんは並んでベンチに座った。


「そういえば、前にもこうして一緒にアイスを食べたよね」


「うん」


「あの頃は、付き合ったばかりで。でも、真由美ちゃんが……僕の指を舐めて」


「あっ」


 その時のことを思い出して、お互いに恥ずかしくなってしまう。


「きょ、今日は溶けない内に早く食べようか」


「う、うん。そうだね」


 僕と真由美ちゃんは急いでシャリ、シャリとアイスを食べる。


「ん~!」


 すると、真由美ちゃんが唸って目をキュッと閉じる。


「大丈夫?」


「うん、ちょっとキーンって来ちゃって」


「ごめんね、僕が急かしたせいで」


「良いの、平気」


「やっぱり、ゆっくり食べようか」


「うん」


 真由美ちゃんは笑顔で頷き、


「じゃあ、食べさせっこしたいな♡」


「良いよ。じゃあ、僕のバニラからどうぞ」


「いただきます」


 真由美ちゃんはパクッと食べる。


「うん、美味しい」


「じゃあ、僕も」


 パクッ。


「美味しい?」


「美味しい」


「うふふ」


 そんな僕らを、通り過ぎる人達がジロジロ見ている。


 正直、ちょっと恥ずかしいけど。


 でも、今はお互いに夢中だった。


「真由美ちゃんとイチゴの組み合わせ、可愛い」


「え、そ、そうかな?」


「可愛い女の子って、イチゴが似合うよね」


「やだ、もう、やめて♡ 翔太くんこそ、バニラが……」


 言いかけて、なぜか真由美ちゃんが固まる。


「どうしたの?」


「へっ? いや、あの……な、何でもないよ」


「もしかしてだけど……ちょっと、嫌らしいこと考えた?」


「そ、それは……は、はい」


「真由美ちゃん……すっかりエッチな女の子だね」


「だ、だって、翔太くんが……うぅ~」


 真由美ちゃんがジト目で睨んで来る。


「そんな顔しても無駄だよ。可愛いだけだから」


「もう、バカ~!」


 真由美ちゃんはポカポカと僕を叩く。


 とても可愛らしい。


 けど、その衝撃で僕はアイスを落としてしまった。


 ベチャッ。


「あっ……ご、ごめんなさい!」


「良いよ、気にしなくて」


「えっと、ティ、ティッシュは……あった」


 真由美ちゃんはポケティを手に取り、僕の制服についたバニラアイスを拭ってくれる。


 まずは胸の辺り、それからお腹と来て……下半身の方にもバニラが付いていた。


「あっ……」


「良いよ、ここは自分で拭くから」


 僕が言うけど、


「良いの、私が拭く」


 そう言って、真由美ちゃんは僕の下半身についたバニラアイスも拭い始める。


 僕はイケナイと思いつつも、そんな健気な真由美ちゃんを見つめてしまう。


 こ、これは何ておそうじ……ゲフン、ゲフン!


「どうしよう、翔太くんのズボンが白く汚れちゃって……大変」


「ま、真由美ちゃん。そろそろ、人目が気になるからやめようか」


「あっ……」


 真由美ちゃんは顔を真っ赤にして僕を見る。


「ていうか、このまま二人で帰ったら、エッチなことをしていたんだって、勘違いされるかもね」


「しょ、翔太くん……バカ」


「あはは。ごめん、ごめん」


 結局、ただ真由美ちゃんが可愛いだけの時間だった。








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