家出中の美女を拾ったら、僕が好きなあの子のお姉さんだった
22 お姉さんとデートする
僕は待ち合わせの10分前にやって来たのだけど……
「あっ、灯里さん」
僕の声に気が付くと、笑顔で手を振ってくれた。
「翔ちゃーん」
普段、灯里さんはTシャツにGパンというラフな格好。
今日は暑いし、きっとそんな感じだと思っていた。
けれども、そんな予想は裏切られる。
白く清潔感のある長袖のシャツ。
そして、ウエストの辺りできゅっと締めるタイプのデニムのスカートだ。
そのおかげで、灯里さんの巨乳が惜しげもなく強調されている。
確か、前にIカップって教えてもらったけど。
グラドルも顔負けのスタイルだ。
「翔ちゃん、どうしたの?」
心なしか、仕草もいつもより女性らしいというか、女の子らしい。
少女のようなウブさを感じさせる。
本当は、ちょっとエッチでビッチなお姉さんのはずなのに。
「あ、いや……正直、可愛いなって」
「え、本当に? 嬉しい……」
灯里さんは頬を赤らめて俯く。
いよいよもって、あんた誰だよレベルの可愛さだぞ。
「ていうか、ナンパされませんでした?」
「え、どうして?」
「いや、だから、可愛いし……おっぱいも、凄いし」
「うん、まあされたよ。10人くらい」
「じゅ、10人? そんなに?」
「一時間前くらい来たから」
「えっ……どうして、そんなに早く……」
僕が尋ねるけど、灯里さんは答えずに、ぎゅっと抱き付いて来た。
むにゅっ、とド迫力かつ清楚な魅力を放つ巨乳の感触に、僕はすっかりたじろぐ。
「行こ、翔ちゃん♡」
「あ、うん」
チラと周りを見ると、男どもが僕を恨めしそうに睨んでいた。
「まずは、お姉さんのショッピングに付き合ってね」
「分かりました」
◇
「う~ん、このパスタ美味しい~」
灯里さんは頬に手を添えて言う。
「良かったね。パスタ、好きなの?」
「うん、好きだよ」
「じゃあ、今度作ってあげる」
「うふふ」
「どうしたの?」
「ううん。翔ちゃん、私に対してすっかりタメ語だなって」
「あ、ごめんなさい……つい」
「謝らないで、むしろ嬉しいの。本当に、弟みたいな感じで」
「弟……ですか」
僕はなぜか少しだけ残念に思い、またムッとしてしまう。
「……恋人には見えないですかね、僕ら」
「えっ?」
「あっ……ご、ごめんなさい。変なことを言って」
しばらく、気まずい沈黙が舞い降りる。
「……ねぇ、もう少しだけ、付き合ってくれる?」
食後のジンジャーティーを啜りながら、灯里さんは言う。
「あ、うん。どこに行くの?」
「付いて来れば分かるよ」
◇
ランチを終えた僕らは、また街を歩いて行く。
灯里さんは無言のまま、僕の手を引っ張って行く。
そして、たどり着いた場所は……
「……ここって」
目の前に佇むホテル。
そこから視線を灯里さんに落とすと、チラと僕を見ていた。
「行こ」
そして、また僕の手を引っ張って行く。
僕はなぜか拒否できなかった。
灯里さんは慣れた様子でチェックインを済ませる。
部屋に入ってドアを閉めた。
ドサッ、と荷物が落ちた。
「んっ……あっ……」
灯里さんは僕にキスをして来た。
のっけから、濃厚に舌を絡めるキスだ。
「……あ、灯里さん」
「……翔ちゃん」
灯里さんはまたキスをしながら、僕をベッドに誘う。
僕はまたなぜか、拒絶ができない。
頭の中には真由美ちゃんの顔が浮かぶけど。
灯里さんのキスで全てとろけてしまう。
「……おっぱい、触って」
灯里さんは四つん這いの姿勢で僕を見下ろしながら、僕の手を取って触れさせる。
「……おっきい」
「うふふ。じゃあ、お返しに……」
灯里さんは油断していた僕の隙を突いて、大事なところに触れて来た。
「えっ……」
すると、なぜか目を丸くした。
「どうしたの、灯里さん?」
「いや、その……翔ちゃんこそ、おっきいね」
「えっ?」
「これ……真由美は大丈夫だったの?」
「まあ、少し苦労しましたけど……」
僕が言うと、灯里さんはゴクリ、と息を呑んだ。
「……ねえ、翔ちゃん」
「はい?」
「一生のお願いしても良い?」
「……何ですか?」
僕が聞き返すと、灯里さんは柄にもなく、少しモジモジしていた。
「……あたしとエッチして」
「いや、でも、僕には真由美ちゃんが……」
「分かっている。妹の彼氏とこんなことをするなんて、イケないことも」
灯里さんは切実な目で訴えて来る。
「でも……お願い、一度だけで良いから……あたしを抱いて欲しいの」
いつもは蠱惑的に迫って来る灯里さんが、しおらしい。
正直、可愛らしいと思ってしまう。
――灯里は本当は、翔太くんみたいな真面目で優しい人と付き合いたいんだって。
気付けば、抱き締めていた。
「…………えっ?」
「僕は真由美ちゃんのことが好きです……けど、灯里さんのことも放っておけない。これって、最低ですか?」
僕が見つめて言うと、灯里さんは涙をぽろりとこぼし、首を横に振る。
「少なくとも、あたしにとってはヒーローだよ」
「ヒーロー、か。そんな柄じゃないけど」
「そうね、翔ちゃんは主婦だから」
「誰が主婦だよ」
そう言って、僕らは笑い合う。
「……ねぇ、本当にあたしとエッチしてくれるの?」
「うん。まあ、この前までチェリーだった僕が、灯里さんを満足させられる保証なんてないけどね」
「大丈夫だよ。ほら、触って」
灯里さんはまた僕に胸を触らせる。
「こんなにドキドキしてる……」
「おっぱいが大きすぎて、分からないよ」
「翔ちゃんのエッチ……じゃあ、またキスからして?」
「うん」
こうして、僕は。
大切な彼女のお姉さんと、一線を越えた。
          
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