家出中の美女を拾ったら、僕が好きなあの子のお姉さんだった
15 練習の成果を……試してみる?
「何だ、やっぱりお前ら付き合ってんじゃん」
クラスで大樹がそう言って来た。
「あ、うん。そうだよ」
僕は照れながらもそう言った。
「そうか、おめでとう。翔太はずっと、須藤のことが好きだエッチしたいって言いまくっていたもんな」
「お、おい、大樹」
「そ、そうなの?」
僕のとなりで真由美ちゃんは頬を赤らめて上目遣いに僕を見て来る。
「ああ、そうだよ。翔太は毎晩のように須藤をオカズにして……むぐぐ!」
「大樹く~ん?」
「ぷはっ……おーい、みんな! 翔太と須藤が付き合っているってよ!」
「おまっ、バカっ!」
だが、時すでに遅し。
女子たちは『キャー!』と盛り上がる。
そして、肝心の男子たちは……
「「「翔太もげろ」」」
泣きながらそう言われた。
「みんなひどいね」
「仕方ないだろ。須藤は人気者だし、狙っていた奴も多いんだからな」
「それは、まあ……けど、僕だってずっと好きだったんだから」
「しょ、翔太くん……」
すると、男子たちの涙の血の色が混じり始めたので、
「真由美ちゃん、お昼にしようか」
「うん」
二人で手をつないでエスケープをした。
◇
「あ、このからあげ、美味しいね」
「そう? 女子でも食べやすいように、さっぱりレモン風味にしたんだ」
「嬉しいな。けど、翔太くん」
「え?」
「キャベツの漬物もあるし、もしかして、私の胸を育てようとしているの?」
「そ、そんな目論見は……少しくらいあるかもしれません」
「ふぅ~ん? 結局、おっぱいが好きなんだ?」
「ち、違うよ。ただ、真由美ちゃんのコンプレックスが少しでも解消できたらなと……」
「くす、冗談だよ。私も、頑張って大きくするから」
「僕は手の平サイズで十分なんだよ?」
「お姉ちゃんくらいじゃなくても良い?」
「あ、灯里さんの話はやめようよ」
「そうだね」
本当は日の当たる場所でランチをしたかったけど。
あえて日陰の校舎裏を選んだ。
その方が、人気が少ないから。
「あっ……」
ゆっくりと唇を重ねると、真由美ちゃんの口の端から、甘い吐息が漏れる。
ちゅく、ちゅく、と少しだけ嫌らしい音が鳴った。
「……どうかな? 少しは上手くなっている?」
僕は言う。
「うん……けど、もっと試して……練習の成果を」
「真由美ちゃん……」
また、僕らは唇を重ねる。
前に、灯里さんに教えてもらったように、真由美ちゃんのうっすらと可愛い唇を軽く吸って、離す。
「あっ……」
それを二度、三度と繰り返すと、真由美ちゃんの体温が少しだけ上がった。
僕は緊張しながらも、勇気を出して、舌を入れた。
真由美ちゃんのそれと絡まって、何とも言えない気持ちになる。
僕もまだ経験不足だけど、それでも真由美ちゃんをリードするように心がけた。
「……ねえ、今さらだけど、お口のにおわないかな?」
真由美ちゃんが口を押えて言う。
「あ、ごめん。コレがあったんだ」
僕はポケットからガムを取り出す。
「レモン味のガム。本当はキスをする前にと思っていたんだけど、真由美ちゃんが可愛過ぎて、つい……」
「……これもレモンだ」
「……うん、そうだね」
「……ねぇ、食べさせて?」
「……あ、うん」
僕は真由美ちゃんの口にレモンガムを入れた。
「んっ……」
真由美ちゃんは瞳を閉じて、ゆっくりと噛む。
僕はそんな彼女を見つめながら、ガムを噛んだ。
「……じゃあ、改めて」
「……うん、しよ?」
真由美ちゃんが笑顔で手を広げてくれる。
僕は華奢な彼女の体を傷付けないように、優しく抱き寄せて。
「んっ……あっ……」
また二人きりで、覚えたてのキスに溺れて行った。
          
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