家出中の美女を拾ったら、僕が好きなあの子のお姉さんだった
9 また姉妹に挟まれて……あーん合戦しちゃう?
灯里さんは突然、そんな無茶なことを言い出したんだけど……
「はい、翔ちゃん。あーん♡」
「あつ! だから、無理にあーんしなくて良いですって!」
「え~、何でよ~? こーんな美人のお姉さんとラブラブ出来るチャンスなんだぞ~?」
「自分で言わないで下さい」
灯里さんは持ち前の厚かましさで僕に迫って来る。
一方、そんな僕らの様子をテーブルを挟んで向かい側から見ていた真由美ちゃんは、その瞳に小さく涙を浮かばせて、プルプルしていた。
「ひどい……私の方が先に翔太くんと一緒に居たのに……」
すると、真由美ちゃんも灯里さんと同じように、僕の隣にサッと移動する。
「翔太くん、ブロッコリーなら食べられるよね?」
「あ、うん」
「マヨネーズはどれくらいかける?」
「少なめで」
「うん」
真由美ちゃんはブロッコリーにマヨネーズをちゅっ、とかけてから……
「はい、あーん……」
照れながらも、箸で掴んだそれを僕の口元に運んでくれる。
僕はパクっとした。
「美味しい? って、私が作った訳じゃないけど」
「いや、その……また違った味わいになるね」
「ほ、本当に? 嬉しい……」
真由美ちゃんは照れたように顔を俯ける。
やっぱり、可愛いなぁ。
「翔ちゃん? お姉さんを放っておかないの」
振り向くと、口に同じくブロッコリーを突っ込まれた。
しかも、指でつまんだ状態で。
「あん♡ 翔ちゃんに食べられちゃう……あたしごと」
「ほっ、ほへはいひる!?」
「え~、何を言っているのかな~?」
このクソ年上女め……
「翔太くん、お水!」
真由美ちゃんがサッと用意してくれたので、僕は一気に飲み干す。
「ふうぅ~……ありがとう、真由美ちゃん」
「う、うん……ちょっと、お姉ちゃん。あまり翔太くんをいじめないで」
「別にいじめてないわよ~。ただのスキンシップよ。ねえ、翔ちゃん?」
「いや、いじめです」
「何でよぅ~! あなた達こそ、よってたかって年上のお姉さんをいじめるな~!」
灯里さんはまた子供みたいなダダをこねて、ポカポカと僕を叩いてくる。
「分かった、分かりましたよ。どうすれば大人しくしてくれますか?」
「じゃあ、あたしにも、あーんして?」
「えぇ~……」
「何で嫌そうな顔をするのよ~!」
「分かった、分かりましたよ」
僕は仕方なく頷く。
「で、どれが良いですか?」
「じゃあ、シチューで♡」
「熱いですよ?」
「うふ♡」
「何だよその顔は」
僕はニヤつく灯里さんに苛立ちつつ、スプーンでシチューをすくった。
「じゃあ、行きますよ?」
「うん。あーん……」
灯里さんは口を開ける。
正直、その顔はちょっと可愛いなと思った。
僕はふーふーと冷ましてから、シチューをそっと灯里さんの口に入れた。
「んぐっ……あっ……!」
「熱かったですか?」
「うっ……はっ……すごい……翔ちゃんの……白いモノが……熱いね♡」
「おい、肝心な所をはしょるな! 濁すな! 言い換えるな!」
「うふふ♡」
「うふふ、じゃないよ! このエロお姉さんが!」
僕はニヤつくも灯里さんを睨む。
すると、肩とチョンと叩かれる。
「ん?」
「あの、翔太くん……私にも食べさせて?」
「えっ?」
「ダ、ダメかな?」
「いや、そんなことはないけど……じゃあ、どれにする?」
「私もシチューで……」
「わ、分かった」
僕はスプーンでシチューをすくう。
正直、相手は好きな子だから。
灯里さんにするよりも、激しく緊張してしまう。
「じゃ、じゃあ、行くよ?」
「お、お願します……」
真由美ちゃんはきゅっと目を閉じる。
ああ、そのいじらしい顔も可愛い……って、言っている場合か。
僕はふーふーとシチューを冷まし、真由美ちゃんのお口に入れた。
「んっ……んっ……あっ……」
真由美ちゃんもまた、小さく声を出した。
「あ、熱かった?」
真由美ちゃんは首を横に振る。
「お……おいひいよ?」
真由美ちゃんは口元に手を添えながら言う。
「そ、そっか」
僕は目の前のちょっとエッチな真由美ちゃんを見つめてしまう。
「こーら、翔ちゃん。あたしの可愛い妹をガン見しないの」
背後からむぎゅっと抱き付かれる。
大きな胸の感触が伝わった。
「ちょっ、やめて下さい!」
「ん~? お姉さんのおっぱいに興奮しているのかなぁ?」
「ち、違う……とは言い切れない」
「あはは、何それ、可愛い~」
灯里さんはさらにむぎゅっと抱き締めて来る。
ぼ、僕の背中が……おっぱいによって呼吸困難だ(もはや意味不)。
「ひ、ひどい……」
そんな僕の様子を見かねたのか、真由美ちゃんが声を出す。
この暴走気味のエロお姉さんを止めてくれるのか……
「私も翔太くんにくっつくもん!」
「えっ?」
そして、前の方から真由美ちゃんが僕をぎゅっとした。
「へえええぇ!?」
「しょ、翔太くん、どうかな? お姉ちゃんよりもおっぱい小さいけど……気持ち良い?」
「あら~、まさか清楚な優等生の真由美ちゃんがこんなエロ発言をするなんてねぇ」
「お、お姉ちゃんのせいだもん。ウカウカしていたら、翔太くんが……」
真由美ちゃんは何か言いかけて、口をつぐむ。
「うふん、いじらしい♡」
「お姉ちゃんは黙って」
「あ、あああぁ~……」
それからしばらく、僕はまたこの美人姉妹にサンドイッチされていた。
          
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