【OLDS】

黒衣

【9】官の朝庁に参る弁

不思議なことがある。
歴史の影には事件がある。


それが新しいものを伝える【NEWS】と対峙した【OLDS】である。







ピッピッピッポーン♪
今晩は、真中 愛香【まなか まなか】です。
古い出来事をお伝えするOLDSの時間になりました。


早速お伝えします。
殺人事件の一報です。


水尾天皇【第五十六代清和天皇;文徳天皇の第四皇子】の世に起こりました。


大内裏の南東にある中央の八省諸司や諸国を統括する役所【太政官】で行われる朝庁【あさまつりごと】という早朝の執務の時に起こった出来事だそうです。


まだ夜も明ける前で松明を灯して登庁するということで、なんとも物寂しい光景が浮かんできます。


発見者の証言を伝えます。
え~、史【さくわん;太政官の弁官局に属する四等官】が遅れて登庁してきました。その時に侍賢門には、早くから登庁していた、弁【べん;太政官の弁官局に属する三等官】の車が止められてました。そこには、弁の雑色【ぞうしき;雑役にしたがう召し使い】と、小舎人童【こどねりわらは;召し使いの少年】がひかえていたそうです。


史は、そのまま急いで、東の庁の東の戸へ行きましたが、庁内を見ると燈火は消えていて人の気配が感じられなかったそうです。


史は、主殿寮【とのもりょう;宮内省に属する、天皇の輦輿「れんよ」、庭の清掃、燈火をつかさどる】の下部を呼び、灯をつけさせ弁を探していると、弁の席に血にまみれた頭があったのだそうです。


やがて通勤時刻になり人が集まり大騒ぎになりました。


弁の頭は、弁の従者が引き取りました。


この事件の後、朝庁は東の庁では行われず、西の庁で行われるようになったということでした。




また


【今昔物語巻第二十七本朝付霊鬼、官の朝庁に参る弁、鬼の為にくらはるる語 第九】


に記して、広範囲に情報提供を求めていくとのことです。


え~どこで災難に遇うか油断出来ませんね?犯人が捕まることを願います。




CMの後は、
歌人列伝をお伝えします。





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