魔装戦士

河鹿 虫圭

17:戦士舞う…

「はぁぁぁぁ!」

晴山優吾もとい、白狼のような鎧を身にまとった戦士は拳を振りかざす。
だが、その攻撃はひらりひらりと舞うように躱される...
三手目の拳を躱すと、後ろから来た海辺海斗の矛の攻撃…素早い連打も同じ様に躱される。
隙を伺っていたのか魚の魔族は優吾に掌底繰り出す。海斗の矛かまたそれよりも早い突きの連打でみぞおちを数回打たれる。優吾が後ろへ飛ばされたのがタイミングと見たか海斗が叫ぶ。

「時間は稼いだぞ!陸丸!やれ!」

優吾が陸丸のすぐ横を飛んで行く...後ろには噴水があるのだが、そこに激突したのか水飛沫の音と共に「大丈夫!!」と声が聞こえてきた。勿論計算外であるが、不幸中の幸いである、むしろ一番良いタイミングであった。待っていましたと言わんとばかりに陸丸は最後の仕上げに移る。

「我、流れる赤漿あかかがちにえと見なす…西に左手、東に右足、北に目玉、南に脳髄、中心に心臓……波と化せ!大地!地大波ウェービンググランド!!」

「バッ……!!」

海斗が残りの「カ」を言おうとしたが、時すでに遅しである。海斗を巻き込みながら、波打つ公園の煉瓦は魔族へと襲い掛かるが、魔族の前に水の壁が現れる……それは煉瓦の波を音も立てずに飲み込んだ……右手をゆっくりと上げる、それと同じように煉瓦を飲み込んだ水の壁は縦に伸び始める……三人に多いかぶりそうなほど高くなると手をだらりと手を降ろすと、先ほどの倍の速さのすなわち津波が押し寄せてきた。

「あぁらら……」

それしか言葉が出ない。

海斗は槍を限界まで素早く回し波に乗る。

「詠唱省略……大地よ我を守り給え!岩層壁がんそうへき!」

陸丸はその波を全て受け止め「寄せて返すは波」を作る。海斗を乗せた波は再び魔族を襲う。
その攻撃は予想外だったのかもしくはこれも予想の範疇なのかもしれない
魔族は泳ぎの体勢になる。その中を素早く泳ぐと高い水柱が立つ、海斗はそれに巻き込まれ、陸丸の壁の後ろまで飛ばされる。優吾が丁度、瓦礫から起き上がると海斗が飛んできた。見事にキャッチする。

「やったか?」

「まだだよ……やれやれ濡れるつもりではなかったんだけど……仕方ない。」

陸丸も壁事飛ばされてきた。だが、優吾はキャッチし損ねて地面へ背中を強打する。

「おふぅ!!」

「あっ!ごめん!」

「後で殺す!!」

背中を抑え立ち上がると三人は再び魔族のほうを見る。戦闘慣れしている陸丸と海斗でさえこのありさまだった。

「ちっ!!あいつ強すぎだろ!!」

「ほら、そんな怒らない。」

「どうする?三人でこれなら勝ち目無いんじゃ……」

その時、魔族は標的を美船 葵に変えてきた。さっきとは攻撃方法を変えて口に水の弾を作り出すそれを吐き出すと、美船に命中こそしなかったが後ろの建物に綺麗な風穴があくほどの威力…人にあたってでもしたら恐ろしいことになる。三人は急いで美船の元に行こうとするが、海斗は先ほどのケガで限界を迎えていた。陸丸も背中の強打の痛みで足が遅れていた。

「晴山君!君に任せる!守ってくれ!!」

「あぁ...任せてくれ!!」

優吾は足に力を込める...二発目の水弾が美船を襲うとしたその時、間一髪で盾になることができた。真正面から受けた水弾は強烈だった。

「はぁはぁ……く...そ...」

鎧で守られてはいるものの痛みがないわけではない。吹き飛ばされたダメージは優吾の体力を奪うには丁度良いものとなっていた……もう力の入らない足に力を入れ再び水弾を受け止める。

「守って……みせる……それが今の俺の意志だ。」

雲が厚くなる。辺りは曇天に光を隠され灰色になる。次第に雨が降ってくる……
一粒一粒と優吾の鎧の中心に雨粒が吸い込まれる。すると、急に雨が強く降る……
スコールだ。そのスコールは一度周りを見えなくすると、急に降りやんだ。
雲が晴れ、照りつける太陽のおかげで辺りはむあんと蒸し暑くなる。
二人の戦いの行方を見ようと三人が視線を向けると先には青い戦士立っていた……
静かにゆっくりと伸ばした手を構える。その構えは少しいびつであった。拳を握らず、殺気を放たず、動かず……目の前には水の擬人化がいるのではないかと思うほどそれほど微動だにしなかった……

「ヴァ?」

魔族は全く動かないそれを見て接近戦で倒そうと拳を振りかざす……手ごたえのない感触に拳の先を見つめる。てのひらに拳を見つける。二撃目を繰り出すも手ごたえがない、次はいなされていた……

「ヴぅ??」

何度も入れるが躱され、いなされ、止められる。掌底を入れようが蹴りを入れようが、それは同じことだった。戦士舞う公園……魔族も疲れたころ……優吾はやっと口を開く。

「それで終わりか?」

優吾は、いや…その口調は明らかに別人であった。優吾の中の”誰か”は反撃を開始した。

先ずは、攻撃を待つ、そして、拳が来たらそれをはたき落とす……掌底突きをして再び攻撃を待つ……

「なんだありゃ。武術か?」

「でも、踊りにも見えるね……」

次々に躱し、攻撃を当てる。その繰り返しだ。

「さて、小僧、動きは”見た”な?やれ実践だ。」

誰かが抜けていくようにだらりと項垂れ優吾に戻る。

「うそでしょ!?ねぇ!?」

虚空に向かって話しかける優吾。だが、当たり前に返事はない。

「よ、よし、こ、来い!」

優吾は先ほどと同じ様に構える。

To Be Continued……

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