魔装戦士
9:無音の感謝
気がつくと僕は地面に横たわっていた。
正確には爆散した四肢や胴体であっただろう黒い灰の塊が僕の目に入った。体を動かそうとしても指が1本も動かない。目線を下へ移すが体が見えない。ここで理解した……『死』の直前なんだと……
「はははっ……」
誰にも聞こえないその笑い声は僕だけに聞こえる……
ふと、目が合う。優しい顔をした少年。だが、合わせた目はとても厳しく怖い。僕はそれでも彼に一言贈りたかった。
『ありがとう。』
口の動きを見ていた少年はその目を大きく見開く。全てを悟ったのかは定かではない。ただ、僕の気持ちは伝わった感じがした。目の前がだん……だん…………暗…………く…………
この日、八尺 依織はとても美しい朝日の中に灰となって飛び立った。
ありえない事だった。あってはならない事であった。その顔は、あんな狂笑をしていたとは思えないほど穏やかなものだった。食人鬼の顔ではなくただの人畜無害の爽やかな青年だった。そして、何よりもこちらに笑いかけ、声こそ聞こえないが確かに口元が『ありがとう』と動いたのだ。
その感謝が誰に対しどんな気持ちだったのかは分からない。だが、これだけはわかった。彼は凶悪な魔族ではなく、立派な『人』だったのだと……優しい顔はどんどん黒く散り散りになって行った。俺は、み無かったことにして……否、見ていたが、目を背ける訳ではなく心の奥にそっとしまうという意味合いの見なかったことにしてその場を後にする。
何故か涙が出てくるのは何故か自分でもわからなかった。
その無音の感謝が脳裏に焼き付き今も、目の前にいる険しい顔の星々 琉聖さんの声が質問が時々聞こえてなくなる。
「聞いていのかい?優吾君……」
ぼうとあほ面になっている俺に耳元で囁く。びっくりして琉聖さんの方を見る。
「はぁ……どれだけ危険なことをしたのかわかっていないようだね?魔法や魔術を使わずに魔族を倒したことに自惚れるのはわかるけど……」
「はい!?いや、自惚れるてなんかいませんよ……!」
「いぃや、自惚れるているね……ってそんなことはどうだっていいんだよ。今後はあんな危険行動をしてもらったら困るんだよ。やめてくれたまえよ頼むから。」
指をさし力強く優吾へその言葉を投げる。わかりましたよ。と最後の方はよく聞こえなかったが本人はとても反省している様子である。
「はぁ……まぁ反省しているならいいけども。それよりも君のあの力はなんだい?」
「え?琉聖さんも知らないんですか?」
「魔装なんて聞いたことが無い。しかも、簡易詠唱に魔術詠唱なんて高度な技術……僕だって使えない。」
何かをブツブツと呟き始めた琉聖は優吾の方から踵を返し部屋を出て行く……第一班専用会議室と名だけの休憩室は広く快適である。そばで見ていた夢希や凪はため息を着き優吾にお茶を入れる。
「気にしないでください……お兄…兄は分からない事があったら資料部屋にこもる癖がありまして…ほんとに申し訳ありません。」
「とかなんとか言ってゆき姉ってばおにぃのその癖がめっちゃかっこいいって思っているんでしょ?」
や、やめてください。と夢希は小声で言うと優吾に笑いかける。優吾はその無理矢理作った笑顔にとても申し訳なく思った。何せ、優吾はあの戦い後ロクに着替えもせずボロボロのまままるで隠されるようにここに来たからだ。
夢希が部屋から出ると凪と二人きりになる。もちろん空気が気まずくなる。静まり返る部屋に凪の声が突然響く。
「ねぇ、君さぁ……」
ゲームしながらこちらへ視線を向けるきもなく画面への集中をしながら喋っているという感じだった。
「はい……」
「今、ゆき姉に申し訳ないって思ったでしょ?」
「え?」
図星であり、今すぐここから消え去りたかった。
「図星だね?まぁ、いいけどさぁ……」
まだ話は続くようだった。ゲームのボタンを弾く音……その次の瞬間寝転がっていた凪の声が突然耳元へと来る。
「君、ゆき姉のことどう思う?」
「どうって……」
もう意味がわからない。
「何が言いたいんですかね?」
「え?消えてよ……ゆき姉は男が嫌いなんだからさ?」
首元に針を軽く刺された感触があった……凪の爪は人の長さではなく獣のそれであった。
「……っ!?」
「ボクね半獣なんだよ。人と魔獣の……」
首元の爪に力がこもる。息が荒くなり汗が大量に出てきた。一粒が床へ落ちると凪は再び一瞬で寝転がりゲームを再始動した。そして、凪は感知していたのか分からないが、部屋の自動スライドドアが開き夢希と琉聖が入ってきた。
「さて、と優吾君。」
琉聖の手には一枚の紙が握られていた。その時、嫌な予感が頭の中を過ぎる。
「優吾君……君には僕らの秘密協力者としてここに入ってもらうけどいいかい?」
「いや、意味わかんないです。」
いきなりなんでそんな話になったんだ?
「いやぁ、遊馬さんに相談したら入れたら?って言われてね?はははっ……」
誰だよ。遊馬って
「いや、意味わかんないですよ。」
「いや、わかってもらわないとね?遊馬さんは魔法術対策機関のトップだからね?」
絶対にありえない。
その時、背筋に凍るような視線が刺さった。分かっている……凪だろう。
「はぁ……おにぃダメだよ。こいつ男じゃん?」
「はははっ……夢希……ごめんね?慣れて欲しいです。早めに」
琉聖は軽く両手を合わせた夢希の方を見る。
「わかりましたよ。では、優吾さんよろしくお願い致します。」
夢希の目もさっきとは違い凍るような視線であった。
「は、ははは……」
もう……笑うことしかできなかった。
To Be Continued……
正確には爆散した四肢や胴体であっただろう黒い灰の塊が僕の目に入った。体を動かそうとしても指が1本も動かない。目線を下へ移すが体が見えない。ここで理解した……『死』の直前なんだと……
「はははっ……」
誰にも聞こえないその笑い声は僕だけに聞こえる……
ふと、目が合う。優しい顔をした少年。だが、合わせた目はとても厳しく怖い。僕はそれでも彼に一言贈りたかった。
『ありがとう。』
口の動きを見ていた少年はその目を大きく見開く。全てを悟ったのかは定かではない。ただ、僕の気持ちは伝わった感じがした。目の前がだん……だん…………暗…………く…………
この日、八尺 依織はとても美しい朝日の中に灰となって飛び立った。
ありえない事だった。あってはならない事であった。その顔は、あんな狂笑をしていたとは思えないほど穏やかなものだった。食人鬼の顔ではなくただの人畜無害の爽やかな青年だった。そして、何よりもこちらに笑いかけ、声こそ聞こえないが確かに口元が『ありがとう』と動いたのだ。
その感謝が誰に対しどんな気持ちだったのかは分からない。だが、これだけはわかった。彼は凶悪な魔族ではなく、立派な『人』だったのだと……優しい顔はどんどん黒く散り散りになって行った。俺は、み無かったことにして……否、見ていたが、目を背ける訳ではなく心の奥にそっとしまうという意味合いの見なかったことにしてその場を後にする。
何故か涙が出てくるのは何故か自分でもわからなかった。
その無音の感謝が脳裏に焼き付き今も、目の前にいる険しい顔の星々 琉聖さんの声が質問が時々聞こえてなくなる。
「聞いていのかい?優吾君……」
ぼうとあほ面になっている俺に耳元で囁く。びっくりして琉聖さんの方を見る。
「はぁ……どれだけ危険なことをしたのかわかっていないようだね?魔法や魔術を使わずに魔族を倒したことに自惚れるのはわかるけど……」
「はい!?いや、自惚れるてなんかいませんよ……!」
「いぃや、自惚れるているね……ってそんなことはどうだっていいんだよ。今後はあんな危険行動をしてもらったら困るんだよ。やめてくれたまえよ頼むから。」
指をさし力強く優吾へその言葉を投げる。わかりましたよ。と最後の方はよく聞こえなかったが本人はとても反省している様子である。
「はぁ……まぁ反省しているならいいけども。それよりも君のあの力はなんだい?」
「え?琉聖さんも知らないんですか?」
「魔装なんて聞いたことが無い。しかも、簡易詠唱に魔術詠唱なんて高度な技術……僕だって使えない。」
何かをブツブツと呟き始めた琉聖は優吾の方から踵を返し部屋を出て行く……第一班専用会議室と名だけの休憩室は広く快適である。そばで見ていた夢希や凪はため息を着き優吾にお茶を入れる。
「気にしないでください……お兄…兄は分からない事があったら資料部屋にこもる癖がありまして…ほんとに申し訳ありません。」
「とかなんとか言ってゆき姉ってばおにぃのその癖がめっちゃかっこいいって思っているんでしょ?」
や、やめてください。と夢希は小声で言うと優吾に笑いかける。優吾はその無理矢理作った笑顔にとても申し訳なく思った。何せ、優吾はあの戦い後ロクに着替えもせずボロボロのまままるで隠されるようにここに来たからだ。
夢希が部屋から出ると凪と二人きりになる。もちろん空気が気まずくなる。静まり返る部屋に凪の声が突然響く。
「ねぇ、君さぁ……」
ゲームしながらこちらへ視線を向けるきもなく画面への集中をしながら喋っているという感じだった。
「はい……」
「今、ゆき姉に申し訳ないって思ったでしょ?」
「え?」
図星であり、今すぐここから消え去りたかった。
「図星だね?まぁ、いいけどさぁ……」
まだ話は続くようだった。ゲームのボタンを弾く音……その次の瞬間寝転がっていた凪の声が突然耳元へと来る。
「君、ゆき姉のことどう思う?」
「どうって……」
もう意味がわからない。
「何が言いたいんですかね?」
「え?消えてよ……ゆき姉は男が嫌いなんだからさ?」
首元に針を軽く刺された感触があった……凪の爪は人の長さではなく獣のそれであった。
「……っ!?」
「ボクね半獣なんだよ。人と魔獣の……」
首元の爪に力がこもる。息が荒くなり汗が大量に出てきた。一粒が床へ落ちると凪は再び一瞬で寝転がりゲームを再始動した。そして、凪は感知していたのか分からないが、部屋の自動スライドドアが開き夢希と琉聖が入ってきた。
「さて、と優吾君。」
琉聖の手には一枚の紙が握られていた。その時、嫌な予感が頭の中を過ぎる。
「優吾君……君には僕らの秘密協力者としてここに入ってもらうけどいいかい?」
「いや、意味わかんないです。」
いきなりなんでそんな話になったんだ?
「いやぁ、遊馬さんに相談したら入れたら?って言われてね?はははっ……」
誰だよ。遊馬って
「いや、意味わかんないですよ。」
「いや、わかってもらわないとね?遊馬さんは魔法術対策機関のトップだからね?」
絶対にありえない。
その時、背筋に凍るような視線が刺さった。分かっている……凪だろう。
「はぁ……おにぃダメだよ。こいつ男じゃん?」
「はははっ……夢希……ごめんね?慣れて欲しいです。早めに」
琉聖は軽く両手を合わせた夢希の方を見る。
「わかりましたよ。では、優吾さんよろしくお願い致します。」
夢希の目もさっきとは違い凍るような視線であった。
「は、ははは……」
もう……笑うことしかできなかった。
To Be Continued……
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