魔装戦士

河鹿 虫圭

6:霊石

 遥か昔、科学が全てを支配していた時代……宇宙そらから隕石が降ってきた。科学者達はその隕石を徹底的に調べあげたが、ただの石と断定された。反科学勢力がその隕石を徹底的に調べあげ、内側には魔力が眠っていると判明した。早速反科学勢力はその隕石を魔石と名付け、自らの肉体に埋め込んでいった。すると、魔力回路が形成され、魔法が使えるようになった。あるものは手から炎が出て火傷をし、あるものは鋼を操り神と崇められた。それを見ていた科学勢力は魔石を奪い、再度研究をした…そして、鉱石と合わせて鉄を打つと魔法のような効果がその武器に付与されたそうだ。次第に、科学勢力と反科学勢力はお互いに認め合いそして、共に特殊社会を作り上げた。
 そんなことも束の間である。魔石を埋め込んだ人間たちが次第に人の形を保てなくなっていった。あるものはまるで、蜘蛛のようになり、またあるものは狼のようになった。そして、何よりその異形と化した人は人を喰らうようになった。そんなことが起こり再び科学勢力と反科学勢力の溝は深まった。と、言うよりも科学と魔法を合わせた特殊科学勢力と人を食糧と考えるようになった魔族勢力に別れたと言うべきだ。
 そんな混沌の時代。光が指すがごとく現れたのは魔族にならず、魔法と魔術を極めた大魔導師・・・・が七人現れた。その大魔導師が作り上げたのが魔石の対になる存在霊石・・である。霊石は大魔導師の魔力が純粋に練り込まれており石自体に吸収アブゾーブ浄化カタルシスの効果が永遠付与エターナルエンチャントされている。そして、科学勢力と共に力を合わせ、自然エネルギーを魔力エネルギーへと変えるシステムも付けた。

 琉聖はそこまで読み終えると「霊石の誕生日」と言う本を閉じる。

「うーん……やっぱり、そうだよね。」

何度も少年の首から掛かっている石を見る。古文書に載っている通り、透き通る水色の輝きと綺麗な雫型……まさしくそれは霊石だった。

「でも、なぜこの子が?」

その後、疑問を抱きつつ琉聖は本部の治療室を後にした。
 誰も居なくなり静まり返った部屋で晴山 優吾は目を覚ました。消毒液の匂いに白い壁と天井……ここは病院で自分は運び込まれたのだと安堵の息を吐く。そして、隣のベッドに横たわる少女の寝顔を見てさらに安堵の息を吐く。

「良かった……助かったんだ……」

再び自分のベッドに横になると腹の傷に痛みが走る。

「痛っ……」

部屋を確認しに来た顔立ちが綺麗な黒髪の少女がそれに気づきそばに近寄る。

「大丈夫ですか?」

「え?あ、えぇ!なんともないです。少し痛みが走るだけです。」

無理やり笑顔を作ると少女は少し安心したようにそれでも不安そうにこちらを見つめた。

「そうですか。それなら少し休んでいてください。痛み止めを持ってきますので……」

そう言って少女は部屋を後にし、その数分後に琉聖や凪が部屋に入ってきた。

「やぁ、初めまして。良かった。こうして挨拶が出来て。」

琉聖が右手で握手を求める。優吾はその手を左手で掴み握手に応える。

「僕は、魔法術対策機関第一班班長の星々 琉聖ほしぼし りゅうせいだ。よろしくね。」

「はい……よろしくお願いします?」

なぜ握手に挨拶をされたのかよくわかって居ない少年は一応自己紹介をした。

「あ、えっと晴山 優吾と言います。改めてよろしくお願いします。」

はい、よろくね。と笑顔で相槌すると琉聖は一呼吸置き少女の方へ顔を向ける。

「さて、そこの狸寝入りをしている子もそろそろ起きて話を聞かせてくれないかな?」

体を一瞬痙攣させた少女はこちらに向き直る。

「バレちゃった。」

頬を赤らめ、布団で鼻の下あたりまで隠す。そして、起き上がり自己紹介をした。

「愛華 絵美です。」

「ふふっ、よろしくね。」

琉聖は本題へと話を切り替える。優吾と絵美はベッドに座り琉聖を挟む形で話す……数分間話した後に二人は琉聖に優しく説教を受け二度と危険な行動はしないと約束した。

「あぁ、そうだ。優吾君だっけ?君はもう少し話をしようか。こちらもきちなることがあるしさ。」

絵美と夢希、凪に退室してもらうと琉聖は単刀直入に話した。

「僕らが来る前に蜘蛛男にいい感じのダメージを与えたのは君だね?」

その質問に素直にはいと答えると琉聖は少し険しい顔になりため息を着いた。だが、優しい顔は崩れる様子がない。

「君のその首飾りはお守りかい?」

「はい、誕生日に父さんから送られてきて手紙にお守りにしなさいって言われました。」

そうかとさらに顔がいや雰囲気が険しくなった感じがする。

「君のお父さんがどこでそれを見つけたか知らないが、君はその石を持っていてはいけない。こちらに渡して貰いたい。」

「やっぱりこれは普通の石の首飾りじゃないんですね……」

優吾はしばらく黙り込み俯く。涙が溢れているのがここからでもわかった。だが、優吾はその石を力強く握ると笑顔で琉聖にこう言った。

「でも、これは亡くなった父さんの形見なんです。幸運が必ず俺に訪れる大事な形見なんです。」

そんな顔を見た琉聖は彼の気持ちがよくわかった。大事なもの、大事な人を失い今まで我慢をしてきた……そんな彼の我慢して流れた涙は重く辛いものだった。

「そうか。ごめんね。でも、これ以上君はこんな世界に関わるべきじゃない。これは僕ら魔法術対策機関の仕事だ。」

その時、治療室に……いや、機関本部全体に警報音が鳴り響く。

『全班員に次ぐ、西の廃工場にて火災が発生。目撃情報によれば、廃工場に人影が入って言ったとの事だ。』

その放送と共に琉聖はその場で立つ。目が合うと琉聖は優しい顔で優吾に語りかける。

「僕が帰って来るまでに、考えておいてね。」


素早く治療室を後にすると優吾だけがその部屋で立ち尽くす。

「俺は……!」


石を見つめ、力強く握る。輝く霊石は優吾の顔を写す。

To Be Continued……














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