魔装戦士

河鹿 虫圭

5:魔法術対策機関第一班

 人が罪を犯した場合裁くのは法であり、その法の下「警察」が罪人を拘束し、「裁判所」が裁く……だが、ひとつの町を覗いては人以外が罪を犯す場合がある。この「満引」の町において「警察」という職や「裁判官」という職なく、罪を犯した人や魔族を拘束し、裁くのは「魔法術対策機関」の役目である。この機関は政府公認で、主に罪を犯した人の他に、罪を犯した魔族も取り締まっている。複数の班から成り立っており、主に犯罪行為に及んだ人や魔族の拘束や場合によっては殺傷をするのが「対策行動班」の役目で、主に研究、開発が役目の「研究開発班」そして、主に犯罪者や犯罪行為をした魔族を裁いたり、魔族の法律を作ったりするのが役目の「法律裁判班」「裁判所」や「警察」の役目を代理しているのである。その為、法律の勉強はもちろんのこと武器の扱いや護身術などの格闘技術も学ばなければならない。




標的ターゲット再確認……こちら第一班……。殺傷デストロイ執行します。」

殺傷デストロイとは複数の重犯罪を犯し逃亡した重犯罪者をファイリングし標的ターゲットととして「法律裁判班」より殺傷許可を取り、その場で殺傷をするのが殺傷デストロイである。その際、通常の銃は使用せずに、特殊科学武器であるSLGを使用する。SLGとは魔法術対策機関研究開発班の総力を結集し作り上げた魔力と電気モーターで動いており、弾丸の射出時はモーターがいつもの倍の速度で回転する。さらに、ダイヤルがそれぞれ、【S】【G】【L】とあり、【S】はソード(剣)【G】はガン(銃)【L】ランス(槍)と3種の武器にすることが出来る。普段は手のひらサイズのイメージとしては少し分厚い携帯電話のような形をしている。
 第一班の班長、星々 琉聖ほしぼし りゅうせい、班員の雪白 夢希ゆきしら ゆき焔 凪ほむら なぎはダイヤルを【G】に合わせ、SLGを構える。

「キシィ……!」

蜘蛛男は左目に指を2本ねじ込み鉛の弾丸を取り出す。魔族の皮膚や骨は鉄や鉛が全く効かない。が、内臓や眼球、口の中などは人と変わらない。毒があまり効かないという点では人よりも強い内臓と眼球を持っているのだが、それでも鉛の弾丸を防げるほど強くはない……蜘蛛男は激痛の声と共にねじ込んだ人差し指と中指を取り出す。間に挟まった赤い鉛弾を地面へと落とす。

「はァ、ハア、キシィ……!フザケやがって…………」

血に濡れた人差し指と中指を口の中に入れ血を舐めとる。構えられた三つのSLGの銃口を睨みつけ逃亡の隙を伺う。片目を先程失っているので視界が悪い……それでも、蜘蛛男は素早く右へ動く……動くや否や3人は銃弾を射出する。銃弾は蜘蛛男を捉えることはなく、そこらの木の幹に穴を開ける。

「……!?どこに……!?」

3人は背中合わせに蜘蛛男の行方を探す。

「お兄様!ここです!」

夢希がSLGのダイヤルを【L】に合わせ、木の上に矛を突き刺す。その矛は蜘蛛男の右頬を掠める。すぐに、その木の上から隣の木に飛び移る…その際、琉聖は蜘蛛男の左足に銃弾を打ち込む。

「キシャァァァ…!」

見事命中した銃弾は蜘蛛男の顔を歪ませる。蹲った蜘蛛男は立ち上がり逃げようとするが足が動かない。寒気と共に足元を見ると足白くなっていた。

「な、ナンダァ?」

次第に、寒気は足から体へと移る……冷気のせいで下半身は白い空気に包まれている。背後に迫る殺気と共に蜘蛛男は焦りをおぼえる。夢希は蜘蛛男の背中に槍先を突きつける。苦虫を噛み潰したような顔をする蜘蛛男は何かを企んでもいるように見えた。

「さぁ、観念してください。」

「クッ……そ……がァァァ!!」

蜘蛛男は考えた末、それを行動に移した。

「燃えよ火炎……万物を灰と炭に……炎陣ファイアフォール!!」

炎が蜘蛛男の周りを取り巻き夢希は炎に巻き込まれまいと距離を取る。急速冷凍された足は炎が燃え移るほどに熱くなり、蜘蛛男の下半身は火傷しながらも自由になった。

「…………ッ!?」

蜘蛛男の常軌を逸脱した行動は夢希の思考を一時的に停止させた。そして、下半身の一部が黒焦げになった蜘蛛男はそのまま口から糸を吐き、林の中を逃亡した。

「ま、待ちなさい!!」

その行方を追おうと走り出すが、炎陣ファイアフォールの残り火が夢希の行く手を阻む。躊躇なく炎に飛び込もうとしたが、琉聖が制止し、殺傷デストロイは失敗に終わった。

「ふぅ……取り逃がしちゃったね。夢希。」

その言葉に夢希は肩を落とし、わかりやすいように落ち込んだ。

「すみません。私が、油断したばっかりに…………」

「ユキ姉は悪くないよ。ね?おにぃ?」

「あぁ、凪の言う通りだ。戦いはいつ何が起こるか分からないからね。対策のしようがないよ。さぁ、負傷した被害者達を機関本部に運びこもう。」

「「はい!!」」

二人は元気に返事をするとすっかり明るくなった林を見渡し負傷者達を探し出し、方に担いで運んだ。女子生徒は軽傷のようだが、男子生徒はかなり危ない状態にあった。

「お兄様……この人はもう……」

「いや、待てまだ息がある。」

微かに呼吸をしていることに琉聖は安堵し抱き抱えた。その際少年の首から掛かっている石に目がいった。

「この石……まさかっ……!」

綺麗な水色をしたその石を琉聖はよく知っていた。

「どうしました?お兄様……」

「早く帰ろうよー」

我に返った琉聖は慌てて歩き出す。そして、3人は近くに停めてある大きなワンボックス車に乗り込み琉聖の運転で機関本部へと発進した。

「ねぇ、夢希ちゃん。」

「なんでしょうか。お兄様。」

リクライニングを最大まで倒して夢希は男子生徒に応急処置を施していた。

は大丈夫かな。」

「はい……大丈夫だと思います。」

男子生徒に触れる夢希の手を見て琉聖は少し安心したように息をもらした。

「そっか……触れることは出来るようになったんだね。偉いよ。」

その言葉に夢希は頬を少し赤らめ照れる。そして、処置の続きを始める。

「さて、本部に戻ったらやる事や報告がいっぱいだよ。」

「そうだねー。でも、おにぃは大目玉食らだろうね。」

助手席にのりゲーム画面に夢中の凪が琉聖の不安を煽る。

「あははっ……それはちょっと嫌だなぁ……」

こうして、魔法術対策機関第一班の仕事は今日も終わりを迎えるのだった。

To Be Continued……







 
 

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