魔装戦士

河鹿 虫圭

2:学校生活

        春。

 新学期で出会いがあり、知らない他人と仲良くなる期間……だと、俺は思っている。思っているのだが、学校はそんな俺に意地悪をしてくる。
 俺の通っている学校だが、名を魔法術工業高等学校まほうじゅつこうぎょうこうとうがっこう通称、魔工に通っている……
 この学校では、優秀な魔法術士や機械技師などを育てている。そう、「魔法術士や機械技師」なのだ。いや、わかっている。己が魔法や魔術が使えないのは十分にわかっている。だからこそ俺は、機械技師を目指そうとしたのだが……何を隠そうこの世は魔法術社会。世間に魔法や魔術が広まってしまっていて今や機械技師でも魔法や魔術は使えないとダメらしい。
 中学生三年の時、それほど機械技師に思い入れがある訳ではなく、ただ「ここなら俺だって出来ることがあるはずだ!」と思い、志願書を出した。そしたら「魔法や魔術が使えない」のが、理由で面接の話がまわってくることはおろか、筆記試験すら受けさせて貰えなかった。
 ただ、魔工には「魔法術科」や「械技師科」だけじゃなく、頭がキレる人が多い「PCデザイン科」魔法術と科学の両方ができる器用な人が集まる「特殊科学科」 そして……あんまり頭がよろしくない、もしくはどうしても魔工に行きたいが自分の実力が不安なので滑り止めに……的な感じで第二か第三希望に出される「普通土木科」……この五つの学科で成り立っている……察しの良い方はもうお気づきだろう……そう、俺は特別魔力を使わないが時々魔法術の授業がある「普通土木科」に志願し見事受かったのだ。
 そして、今、俺の学校生活は平和とは言えなかった。普通土木科の人数は40名きっちりで、男子30名で今年は珍しく女子が10名入って来たそうだ。もちろん、皆が皆髪の毛を金染めていたり、耳にピアスが着いていたり、挙句の果てにはタバコを吹かしている者もいる。

『あ、終わった……』

これが、一番最初に思ったことだった。そして、これまたタチの悪いやからに目をつけられたわけですよ。まずは、恐らくクラスで「喧嘩」が一番強くイケメンの新島 鷹斗にいじま たかと。雰囲気でわかった。こいつは学校のカーストでも上位の奴だって。金髪にピアスタバコは吸っていないものの男物の香水の匂いが少々キツい。そして、その新島を取り囲む三人のチンピラ達。寺内、中谷、木本……こいつらも新島に続いてクラスでなんかもう「偉い」みたいなオーラを放っている。もちろん一番普通な格好でクラスにいるから目をつけられたわけです。

「おい!晴山ぁ…お前、金持って来たんだろうなぁ?おい?」

いつも、放課後か授業中に校舎裏に呼び出されて中谷のこのセリフから通称フルボッコタイムが始まる。今回は放課後だから短めだろう。

「いや、だから俺ん家貧乏だからさ、ごめんなさ────」

寺内の蹴りが飛んでくる。みぞおちに綺麗に入るその蹴りは息が止まったかと思うくらい苦しかった。膝から崩れ落ち腹を抱えて俺は身動きが完全に取れない状態になってしまう。

「きぃてんのか!おい!」

中谷のキックが顔面に叩き込まれる。まっすぐ綺麗に入ったので俺は鼻血が止まらなくなった。鼻を抑え必死に痛みに耐える。

「……ったく役に立たないなぁ……」

木本が俺の首根っこをつかみ膝蹴りを顎に叩き入れた。

「がぁああががっ……」

喋れなくなった俺を新島が胸ぐらをつかみ殴る準備をする。

「金さえ持って来ればこんな痛い目には合わないけどなぁバカだな、お前。」

最後の一撃が左頬に入る。

これが、俺の学校生活だ。授業の時間なんかも引っ張り出されてボコボコにされる。もちろん皆は見て見ぬふりをして授業に集中している振りをする。休めるのは昼休みくらいかな。まぁ、決して毎日って訳じゃない。怪我が治って来たのを見計らってやられるからもうこれ以上は何もされない。幸いにもまだ、魔法と魔術が使えないのはバレてない。肉体的ないじめの方が多分楽っちゃ楽…………

「…………楽?」

涙が出てくる。

なんで……?

「楽な訳あるかよ。」

首に掛かった石を握る。

悔しい。ただそんな気持ちが出てくる。自分は、「喧嘩」も出来ないのかと。

「くっ……そ。」

涙を流し終えると教室にカバンを取りに行こうと廊下を歩いているときだった。誰か教室で話しているようだった。よくよく聞き耳を立てると女子がガールズトークに夢中になっている最中だった。

「ねぇ、そろそろさ、いじめてるのバレるんじゃね?先生がなんか聞き込みみたいなのしてるし。」

「そんなわけないじゃん。晴山がさあいつらのターゲットになってるおかげで今、クラスは平和なんだよ?」

ため息をつき、教室の戸を開ける。女子達は驚いて慌てて帰っていった。カバンを取り教室を完全に閉めようとしたその時、後ろから声を帰られた。

「ねぇ、私のカバンまだ中にあるんだけど?」

「へ?あぁ、そう、ごめん。」

再び教室を開け、その子を教室へと入れる。

「あとさ、私の学生証見なかった?」

「いや、見てないけど……」

「あっそ……」

カバンを雑に取ると彼女は教室から出ていこうとした。

「名前、教えてくれたら探すけど。」

「いい、自分で探す。」

「いや、でもあれないと色々面倒じゃん?」

彼女はため息を着くと小声で何かを呟いた。

「なんて?」

「だから、愛華 絵美まなか えみ私の名前。早く見つけてよね?」

「わ、わかった。」

そして、絵美は教室を後にして結局俺が最後に教室を閉めた。

To Be Continued……



おまけ(お好みで読んでください。)
【Report】

【魔法術工業高等学校】

魔法術科、械技師科、PCデザイン科、特殊科学科、普通土木科の五つの学科で成り立っている。もちろん、人間と魔族が混合で入っている。ちなみに、普通土木科の生徒には、「魔法、魔術禁止令」が課せられている。理由としては野蛮なイメージのある普通土木科は魔法や魔術を使って喧嘩や金銭トラブルが絶えなかったから昔からの禁止令が今も続いているのだそうだ。
 だから、作中鷹斗は魔法や魔術で優吾を攻撃しなかったしそもそも鷹斗自信魔法ではなく物理で殴らないと気が済まない質にある。



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