あなたが好きでもいいですか

文戸玲

星の花



「どうしてそんなに優しくしてくれるの。関係ないくせにさ」

笑いながら言えた。もう,鬱陶しいだとか構わないでほしいとかは思わない。嫌悪感はこれっぽっちも感じてないし,一緒にいてくれて,こうして話が出来ていることを嬉しく思う。そんな気持ちが伝わるように言えた。この気持ちは伝わっている。きっとそう。

「別に,おれって優しいからなあ。ブスでもつらそうな顔をしているとほっとけないんだよ。ほら,女は愛嬌って言うだろ。ブスが辛気臭そうな顔をしていたら縁起悪そうだろ」
「ひどーい。お前こそ,大した顔してないくせに。おまけにスケベとか,犯罪だからね」

昔みたいに笑いながら話せる。それで十分だ。

「ありがとね。今日は会えてよかった」
「・・・・・・おれも」
「なになに? 変な間作らないでよ。気持ち悪っ!」

冗談ぽく言ったつもりだが,まじめな顔でこちらを見つめている。星の花はこの不思議な空気に似つかわず二人の間をきれいに彩っていた。

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