あなたが好きでもいいですか

文戸玲

えろがっぱ


「なにしてんの」

怒った口調とは裏腹に,私はホッとした気持ちで来客に憎まれ口をたたいた。思わず涙が出そうになる。私はたぶん誰かに会いたかったんだ。そして,優しく話を聞いてほしかったに違いない。今にもこの不安や言葉にまとめられそうにもない不安を打ち明けたい。抱きつきたい。でも,弱みを見せるわけにはいかない。無様な姿をさらしたくない。様々な気持ちが渦のように巻いて私の心をかき乱した。

「なにって。別に,元気にしてるかなって」

いつものバカみたいな雰囲気とは違って大人な雰囲気を醸し出したエロがっぱが神妙な顔をして言った。ほんと,こいつはこういうところがある。誰かが弱っているところとか,助けを必要としているだとかをタイミングを外さずに気付いて,そっと手を差し伸べる。昔からそうやって不登校の生徒を登校できるようにまでしたり,いじめから友達を救った姿を見てきた。こいつになら悩みを話せる。いや,話したい。そう思った。

「じゃあさ,近くの公園に行こうよ」

私は夕日に向かってエロがっぱと共に歩き出した。

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