いつまでも,いると思うな家に嫁

文戸玲

酔っ払い皆壇場



 酔っ払いの独壇場は大学の飲み会でも会社の飲み会でも幾度となく目にしてきたが,今日はひどかった。まさにカオス。“独壇場”なら良かったが“皆檀上”へと上がっていた。そこかしこにビールの缶は転がり回り,食べ物の食い散らかしたものがBBQ用のテーブルだけでなくお義母さんが趣味で育てている家庭菜園の野菜にまでなぜか散らかっている。魔の悪いことに,そこへ野良猫がやってきたタイミングでお義母さんが例の人のことをとって食いそうな顔でやってきて,「時間でも決めてすればいいのに。いつまでもだらだらだらだら」と言ってまた戻っていった。私だって好きでここにいるわけではないのに。そんな言葉は口に出せるわけもなく,胸にしまっておいた。

「ねえねえ,五時になったら帰ろ」

と旦那に言うと,顔を桃のように赤らめ,トロンとした目つきで「分かった」と言ってあほみたいに談笑に戻った。

「絶対に分かってない時のアホづらだ」

と思ったものの,もうどうにもならない。
昼前から始まった宴会。結局お開きになったのは夜の八時を回った頃だった。

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