魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

エレイン法国⑫

バロンさんから念話があったあと、
俺とエマさんは数分でバロンさんのところ
へと着いた。俺たちはラムセスのゾーンに
入らないようにバロンさんと合流し
ラムセスの行動をよんでいた。やはり、
ラムセスは情報どうりその場に佇み動こう
としない。俺とエマさんは再度作戦を
確認してラムセスと戦うことを決めたの
だった。横でエマさんを見たら、伝説の
蜂蜜を取るときに見たあの和服になって
いた。そう、あの時の桜柄の和服だ。
和服の名前は、「幻霊服サクラ」
かつて、エマさんが倒したSSランク
モンスター、「幻妖精サクラ」の討伐
報酬として服に認められたエマさんが
手にしたロストアーティファクトだ。
桜柄の和服で、主な能力は2つ。
ひとつは、舞いによる魅了や幻惑などの
相手に対してのデバフの付与または、
その効果の増大。二つ目は、
使用後に一定時間のリジャストタイム
があるが、一定時間の使用者の姿の透明化
これが主な効果ではあるが、やはり
ロストアーティファクトなだけあり他の
装備に比べ、ステータスの上昇も半端なく
多く、ランクは伝説級だ。それにエマさん
が、今片手に持っている刀も
ロストアーティファクトではないが、
Sランクの業物だ。そんな格好のエマさんと
目を合わせ俺たちは頷き合う。それは、
最後の確認だった。今からこの戦いに
命をかけるのだとそう、心に決めたことに
悔いはないかの確認だった。俺たちは
すぐさまラムサスのテリトリーへと入る。
この瞬間から俺たちは奴にとって、無視を
決め込む弱者ではなく、
自分のテリトリーを踏み荒らす叩き
潰すべき侵入者へと変わった。
俺たちはまず、ラムサスの初撃の剣での
攻撃を分散するべく、左右に別れ、
ラムサスの攻撃を待った。すると、
情報どおりラムサスはまず剣で斬りつけて
きた。が、なんと、あのときの
パーティーを攻撃していたときの縦方向
での攻撃ではなく、横向きで、俺たち
両方を狙って剣を振るってきた。しかも
一度ではなく、連打だ。
すぐさま反応をして俺は奴の剣を受け
止める横を見るとエマさんも少し驚いては
いるようだが、何事もなくラムサスの剣を
受け止めている。だが、やはり、こいつ
一撃が相当に重い。想定はしていたが、
想像どおりだ。だが、SSランクのモンスター
なんかに常識なんてもんが通じるとは
最初から思っていないので俺は焦ること
なくその攻撃をできるだけ長く受け止める。
そんなこと、言うまでもなくエマさんも
俺以上にわかっているので何事もなかった
かのように、平然とやつの剣を受け止めて
いる。その顔はとても涼しげで、まるで、
俺に、これぐらい簡単に受け止めけれないと
私の隣にはいられないと言っているように
思った。ならば、受け止めて見せましょう。
俺はなおいっそう、やつの剣を受け止めて
いる自分の剣に力を込める。やがて、
やつが剣を振るのをやめ、盾を地面に付ける
モーションに入る。その一瞬の隙をつき、
エマさんと俺はやつの胴体に一発ずつ、
攻撃をぶちかますのだった。


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