魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

エレイン法国⑩

エマさんのそんな顔を見て、俺は素直に
すごいと思ってしまった。俺はただ自分が
わからないことに驚き、恐怖するだけ
だったのに、エマさんは自分の理解出来
ないことに対して喜びをそれを与えて
くれる新たな敵に敬意を払っている。
そしてその敵に対して何の躊躇もなく
襲いかかることができる勇気がある。
だから彼女はエマさんはSランクの
冒険者なのだと嫌というほどわからせ
される。たとえ、俺がどれだけ協力な
スキルをたくさん覚えたとしてもエマさん
には簡単には勝てないだろう。そりゃー、
スキルでごり押しをすれば勝てるのかも
知れないがそうじゃない。それでは、
本当の勝ちにならない。なぜなら、
そんな勝ち方をしてもエマさんの心は
砕けはしないだろう。挫くことは出来ない
だろう。ならば今俺がエマさんの隣に立つ
ために、彼女の足手まといにならない
ために俺がすべきことはなんだ。やらな
ければいけないことはなんだ。考えろ
考えるんだ。エマさんのために俺のために
今俺がすべきことはなんだ。いや、そんな
ことわかりきっているはずだ。そう俺が
するべきことは最初から、エマさんのあの
顔を見た時からわかりきっていること
だった。俺はあいつ倒さなければいけない。
エマさんのために、何より俺がSランク
冒険者になるために。それが、俺がやるべき、いや、やらなければいけないことなのだ。
これをなさないと俺はたとえ、将来Sランク
の冒険者になったとしても周りに胸を張って
いえないだろう。俺はSランクの冒険者
なのだと。そう、俺の心がそれを
いうことを許さないだろう。だから、
俺はどうしてもあいつを倒さなければ
いけないのだ。あいつを、
太陽を護るものサンガードナーラムセス
を倒さなければ。そう、しなければ俺は
あの人の隣にエマさんの横にいられない
だろう。それを俺が許せないだろう。
俺がそんな覚悟をしていた間、実は
エマさんがいつのまにか俺の顔を見ていた
ことに気づいたのは俺が覚悟を決めきった
あとだった。

エマ「カイくん。そんなに難しく考えなく
てもいいんだよ。もっと簡単に考えようよ。


エマさんが俺の覚悟に気づいていたことに
驚いたが、俺はそれを隠してエマさんに問う

カイ「簡単に?それってどういう
ことですか?」

エマ「カイくんはたぶん、一人であいつを
ラムセスを倒そうとしているんだと
思うけど、そのことに別に文句をケチを
付けるきはないよ。おそらくカイくんは、
私が思っている以上にいろんなことを
私や誰かのためを思って考えてそれで
考えきった答えがそうなのかも知れない
けれど、でも、それは君だけの考えだよ。」

カイ「俺だけの考え?確かにそうかも
知れないけれどでも、俺はあいつを
倒さないと、あなたの、エマさんの隣に
いられないと思うんです。それを、
俺が許せないんです。」

エマ「うん、それをカイくんが考えて
くれていることは本当に嬉しいし、
私も君にはもっと強くなってほしい
とは、思っているよ。でもね、それでも
今回だけは譲れないかな。」

カイ「譲れない?それは一体どうゆうこと
ですか?」

そう言った俺だったが、そのあとの
エマさんの顔を見て俺は理解した。
いや、理解をさせられた。そのエマさんの
顔は、あのときのあいつを見ていたときの
顔と全く一緒だったから。全てを理解した
俺はエマさんに問う。

カイ「もしかしてエマさん。あいつを
俺に取られることにいやがってますか?」

エマ「うん?そうだよ。やっと気づいた。
君には強くなってほしいけど、あいつを
倒すことが君には必要だとしても、私もね
久しぶりの全力を出せる相手にうずうず
しているんだよ。それなのにあいつを
君だけに譲るのは流石に優しい私でも
出来ないよ?」

カイ「はぁ~~、なるほど、なら
どうしたら納得してくれますか?」

エマ「うふふ、そんなのカイ君も
わかっているんでしょ?」

カイ「わかりました。エマさん。
俺と一緒にあいつをラムセスを倒して
くれませんか?」

エマ「もちろん。精々私の足を
引っ張らないでね?、テヘッ」

可愛い顔でベロを出してそんな冗談を
言うエマさん。俺はそんな言葉に

カイ「精々足掻きますよ。」

軽い軽口で返すのだった。

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