魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

魔眼使は冒険者としての常識を学ぶ③

「えっ。あの、結婚ってその、あの、
そういう、結婚ってことですよね!
夫婦になるってことですよね?」

俺はそういいながら、分かりやすく
うろたえていた。

「ままぁまぁ、そんなにあわてなくても
大丈夫ですよ。ふっふっふっ、あわてて
いる、カイ君もステキですね。」

たしかに、この魔眼を
貰ったときから、もし俺の力がばれたら、
政略結婚を貴族からさせられるかもとは
思っていたが、エマさんからの結婚には
そういうことを感じない、なら、偶然
人目見ただけの俺を偶然好きになった
ということか?いやそんなことあるのか!
俺は焦っていても仕方ないと思い、
エマさんのいう通りに、
落ち着くことにした。

「エマさん、この結婚には、グリーンジア
辺境伯家は関係ないんてますよね?」

「はい、そうです。私が、カイ君を
見かけて、結婚したいと思ったから
私個人の気持ちです。家は
関係ありませんよ。」

「なら、エマさんが、たまたま見た
俺を見かけて、たまたま、好みで、
今俺をここによんで、結婚を俺にせまって
いるということですか?」

「改めていわれると、とても恥ずかしい
ですが、はい、基本てきには、そういう
ことですね。カイ君は私が何か、思惑が
あってカイ君に結婚を迫っていると
考えているということですか?」

さすがに、ばれてしまったか。俺は
しかたがないので、正直に言うことに
した。

「はい、俺はそう思っています。」

「ふっふっふっ、正直なところも
好きになりました。たしかに、思惑が
ないこともないのですが、これには、
グリーンジア家の家訓が関係して
いるんです。」

エマさんは幸せそうな顔をしてから、
少し真面目な顔にになり、俺に
グリーンジア家の家訓を教えてくれた。
…………………………………………………………………

俺は全部聞いたあと、エマさんの行動に
納得した。だってそうだろう。自分より
強い相手としか、結婚はゆるされず、
一度愛した人としか、子はつくれない
のだ、エマさんは、グリーンジア家を
最初に創った、つまり、過去のグリーン
ジア家で、最強の人が持っていた魔眼と
同じものを持っているらしい。これは、
グリーンジア家の歴史において、
二人目、つまり今生きている人では
一人しかいないとてもレアなユニーク
スキルだ、なので、とても厳しい訓練も
幼少のころより受けていたそうだ。
そんな、エマさんに勝てるのは
簡単ではないだろう。しかも、そのなか
から好みの男なんて見つかるわけもない。
だから、エマさんは、この年で、結婚を
していないという。たしかに、18歳は
日本では、若いが、この年では少し、
結婚適齢期をすぎてしまっている。
そんな、エマさんが、どんなユニーク
スキルかはわからないが、エマさんの
魔眼を、無効化いやそれ以上のことが、
出来る、ユニークスキルをもってる俺を
偶然見つけ嬉しさのあまり、求婚をする
のは、確かに理に叶っている。でも、
俺は少し疑問に思ったことをエマさんに
伝えた。

「エマさんが、俺に求婚した理由は
わかったんですが、少し俺は若すぎない
ですか?」

そう、俺はいくら結婚の年齢が低い世界
とはいっても、さすがに若すぎる。
なんせまだ、12歳だ。

「そんなことないよ。」

エマさんは力強くはっきりとそう言った。

「まだ、カイ君のユニークスキルについて
はなにもわからないし、別に聞くきもない
よ、でも、本当に短い時間だけどね、
カイ君を見て、この人はとっても努力
しているんだって、感じたんだ。私が
魔眼をもっているからわかるんだけどね、
魔眼をもっているからって、決して最初
から強いわけではないんだよね。そりゃ
他の同年齢の子に比べれば、最強かも
知れないけどね。どんな能力だって、
努力しなきゃ、それを使いこなせないん
だよ、カイ君はもうCランク冒険者だよね
タクト君たちから、護衛の依頼のときの、
話を聞いたけど、盗賊に襲われるときの
カイ君の言葉に私年甲斐もなく、
ドキドキしちゃったんだ。カイ君が、
盗賊に襲われても、平気だったのは、
昔から覚悟を決めていたからでしょ?
たしかに、今は私のほうが、少~しだけ
カイ君より強いかもしれないよ。でも、
絶対に私は君に抜かれる時がくるよ。
私はそう思うんだ。だから、今から
カイ君に求婚するのは、間違ってない
私はそう思ってるんだよ。カイ君が
私より、強くなってからじゃおそいもん。
だからね?私のたった一人のお婿さんに
なってくれないかな?」

そんなことを言うエマさんは
今まで見たどんなものより美しくて、
その言葉にはなに一つ嘘偽りはないんだと
確信させる何かがあった。

「正直とても嬉しいです。俺のことを
分かってくれるのはエマさんしか
いないんじゃないかと思うぐらい心が
揺れています。」

「えっ、じゃー!」

「でも、それはそれです。たしかに、
エマさんのお気持ちは嬉しいですし、
こんなにいい人はもういないかも
しれません。でも、エマさんに事情が
あるように、俺にも事情があるんです。」

「事情?」

俺は正直に今まで俺が生きてきたことを
エマさんに話した。俺の魔眼の能力や、
皇帝からの保護のこともだ。さすがに、
俺が、違う国からの転生者だと言うこと
はいっていないが。エマさんは静かに
俺の話を聞いたあと、軽くため息をついた

「はぁ~、なんだ、そんなことでなやんで
いたんだ。当たり前だよ。たしかに
カイ君の能力はエグいぐらいに強いよ
私が知ってるどのユニークスキルにより
もね。でも、それは長い時間を掛ければ
っていう条件付きだけどね。タウロス迷宮
なんて、たぶん、どんな強力な能力が
あっても、一人じゃクリアなんて、
出来ないよ。その年で40階層のBOSSを
単独で倒して、引き際まで、わかって
いるなんて、惚れなおしちゃうけど、
そんなレベルじゃないんだよ。過去に
何度もSランクの冒険者たちが、複数人
いる大型パーティーで挑んでるけど、
まだ、200階層のうちの120階層までしか
クリアできていないんだよ。私も
何度か挑戦しているけど、あんなもの
クリア出来るとは思えないんだよ。
敵の強さもそうだけど、数が尋常じゃ
ない。宝だって、あり得ないほどの
レア度のものばかりだし、120階層で、
それなんだ。200階層まで、いったら、
なにがあるかなんて、恐ろしくて、
考えられないよ。それに、カイ君は、
皇帝にこれからも、保護して貰うために
15歳までに、頑張ってるわけだよね。
だから、実力が、そのまま功績になる
冒険者になったんだよね。だから、
迷宮に潜って今の自分の実力を実感した
ときに、今のままだとだめだと思った。
だから、自分のユニークスキルでは
わからない知識などをベテランの冒険者に
教えて貰おうとした。なら、話は簡単じゃ
ないか、私がカイ君に冒険者としての知識
を教えるよ。」

「えっ、いいんですか?エマさんは
忙しいんじゃないんですか?」

「あー、そうでもないんだよ。忙しい
ときはあるんだけどね。今は大丈夫だね。
急に迷宮から、魔物が、現れたりしない
限り、半年はなにもしないでいい。でも、
少しだけ、条件があるんだけどいいかな?」

「条件?それはなんですか?」

「うん、それはね?一つは私が指導する
間はこの屋敷に泊まること。もう一つは
もしも、指導が、何年かかるかは、
わからないけど、指導が終わったときは、
私と真剣に戦ってほしい。それで、
私が勝ったら私と結婚して、それで
もしも私が負けたら、カイ君のことは
諦める。ねっ、どうかな?」


エマさんはまだ、俺のことをあきらめて
いなかったのか、でも、この申し出は
本当にありがたい。

「はい、それで、大丈夫です。これから
よろしくおねがいします。」

「うん、よろしい。これからよろしくね
カイ君。」

顔を挙げると、そこには満面の笑みの
エマさんがいた。こうして俺は
Sランク冒険者、エマ・グリーンジアさん
の弟子になった。




















ながながと、すみません。少し長く
なっちゃいました。

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