しまおのみち、しまおのへんか。

Tea こうちゃ。

五話

ああ、綺子と喋れた。




会話って


こんなに楽しいものなんだ




たった一言二言の会話が


しまおには特別だった。






「ねえ?」



綺子から話しかけてきた!




初めての会話の余韻に浸っていたしまおは

リアクションができず

しかも

まさか綺子から話しかけてくるとは

思ってなかった




反射的に


綺子の方を見た。






目があった。





あ!



綺子が目の前にいるやん!

しかもこっち見てるし!




だから


夢なんだって。


今しかチャンスはない。





「なんで自由行動のときあんなんやった 

 ん?

 なんにもしゃべらんし

 先々歩いて行ってまうし…」


そう綺子が言った。



とっさに、しまおは言い訳がましく


「いや、別にそういうわけちがうん

 やけど」



すると綺子が


「全然楽しくなかったやん。」




「まあな。」


いや、僕は楽しかったけど。

まあ、楽しいと言うより

嬉しかったけど。





「なんでなん?」






「いや、緊張するやん。女子と一緒って」


何も考えずに言葉がでた。





「えっ!

 そうなん。

 
 
 でも、


 今、普通に喋ってるやん。」






「あっ…

 
 いや、まあそうやねんけど…」



ええー!


ちょっと待て。考える時間をくれ!



残念ながら

すぐに


綺子から



「なんなん。

 わたしは緊張せんってこと!」
















え?どうしよう。

どうしたらいい?




しまおの全力投球の回答が

こちら




わん


つう


すりー



「いや、

 先に話しかけてきてくれたからさ」 






「ふうーん」





しまおにはそんな経験も無かったが

絶対に

怒ってるのが理解できた。




やばい…




そう思った瞬間


追い討ちをかけるように





「なんか2人仲良いな。」


前の女子がちょっと

イヤミったらしく言ってきた。





しまおは慌てて


「そ、そんなんちゃうわー。」





とっさに出た言葉だった。


  





隣からら


なんとも言えない空気が


こっちに流れてきた。









ああ、



終わった。






しまおは


そう思った。















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