しまおのみち、しまおのへんか。

Tea こうちゃ。

四話

映画のワンシーンのような瞬間だった。





「えっ!なっなんで?」


しまおの思考回路が遮断された。


夢の中にいるような


ふわふわした感覚になっていた。





「ゴメン。大丈夫?」


前の女子が言った。





「うん。大丈夫。」


「綺子」が言った。




「ゴメンね。」


前の女子がそう言って前を向くと





「濡れちゃったね。」



しまおの方に顔を寄せてきて


「綺子」が小声で言った。









えっ!



「綺子」が僕に話しかけてきてる?



なんで僕に話しかけてきてくれてるの?



いや、そんなことはない。


絶対ない。






あ!



そうか!



夢か!



だよな。そんなうまいこといくわけ

ないもんな。



よし。  



夢なら頑張って話そう。



夢でも「綺子」と話せる。



そう思ったらテンションがあがった。






しまおは強くなった。




「濡れちゃったね。」



同じように綺子の方に顔を寄せて

小声で言った。






綺子の顔が目の前に!



あ!


こんな目をしてたんだ。








あ!


ホクロもあったんだ。


白い綺麗な肌をしていた。



初めて近くでしっかりと見た綺子は


しまおが思ってるより数倍キレいだった。





「やっぱり、僕なんかには…」



そう思ったが、



これは


夢!



綺子がどれだけ僕と釣り合わなかろうが

関係ない。


だって


夢なんだから!




出来るだけ喋ろう!



そう決意し





「冷たくない?」



そう聞くと、



綺子は


「ちょっと冷たい」


しまおは


「だよね。僕も冷たい。」




そう言い終わると


綺子が苦笑いしてきた。




しまおも自然に苦笑いした。






これが綺子との初めての会話だった。














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