ドラゴンに転生!〜せっかくなのでドラゴンを謳歌する〜
リスアの誘拐
リスアと暮らしはじめてけっこう経つが、リスアは着替えなどはもっていなかった。
そのためずっと同じ服で過ごしていたのだがさすがに着替えが欲しいと言い出した。
『そりゃそうだ。逆になんでもっと早く言わなかったんだ?』
「わ、忘れてて……」
『……忘れることか?』
「あなたがドラゴンだから緊張で頭から抜けてたのよ!!」
ああ、なるほど。
じゃあ仕方ないの……か?
『でもどうするんだ?』
「街まで買いに行っても良いかしら?」
『いいぞ。なら街の近くまでついて行こう』
「さすがに街に入るのはダメよ?街がパニックになるから」
『さすがにそれぐらいわかってる』
懐に宝石を入れていたらしく、それを換金して服を買うのだそうだ。
知識といい、宝石といいリスアは身分が高かったりするのだろうか?
『では俺はここで待ってるぞ』
「わかったわ」
リスアを街が見えるぐらいの場所まで連れてここで待つことにした。
ギルドマスターとやらがわざわざ敵意の確認を取りに来るぐらいだから、リスアの言ったとうりパニックになるだろうし。
しかし遠目からだが、けっこう大きな町だな。
リスアが「カーナの街」と言ってたっけ?
前世でもよく聞いたが女の買い物は長いらしいからな。気長に待つとしよう。
……前世は年齢=彼女いない歴ですがなにか?
+++++++++++++++
ー遅い。
昼あたりにここについて街に向かったが、もう日が落ち始めている。
やはり遅すぎる。
なにかあったと考えるべきか?
【魔力探知】で場所を探るか。
………なっ!すごい遠いぞ!?
カーナの街からかなり離れている。
しかも現在進行形で移動中だ。
誘拐などを疑ったほうがいいか?……異世界なんだから奴隷とかありそうだもんな。
とにかくリスアの元へ向かうとしよう。リスアの周りには5人ほどしかいないから街の中を進んでる訳じゃなさそうだし、速度的に馬かなにかだな。
俺は【身体強化】で体を限界まで強化し、全速力でリスア元へ向かった。
+++++++++++++++
やっと追いついた!視認もできた!!
追いついたころにはすでに日は完全に沈んでいた。
見たところ馬車で移動してて、今は野営のための準備中か。
馬車の中からリスアの魔力を感じるな。
『ガアァァァァァア!!!!』
【威圧の咆哮】で威圧しつつ、5人の前へ出た。
「ど、ドラゴン!?」
「はぁ!?どうしてこんなところに!!」
「こんなの聞いてねぇよ!!!」
3人軽くパニックを起こし、他2人はただ震えているな。あまり強すぎると気絶するようだからだいぶ弱めてはいるんだがな。
『おい、そこの馬車の中にいる女を出せ』
「っ………!」
俺が喋ったことに驚いたのか、まだ威圧が効いているのか。5人の男たちはその場で震えているだけで喋ろうとしない。
『女を出せと言っているんだが』
「そっ、そんなやつは知らない!」
『シラを切る気か?……居るのはわかってるんだ、さっさと出せ』
睨みながらそう言ってやると、すこしは怯んだのか男どもの体がのけぞったがすぐに俺を睨み返してきやがった。
「知らないものはしらない……」
『まだシラを切るつもりか…?呆れてものも言えんぞ』
「うるせぇ!黙って消えろ!それとも殺されたいのか!?」
『ほう……?』
パニックになったのかすごい顔でギャンギャン騒ぐ男。
また睨みつけると、怯みながらも武器を構え始めた。
「なら死ね!!お前ら殺るぞ!!」
「で、てもこいつはドラゴー」
「見た感じ所詮幼竜だ!5人でかかればいける!!」
俺をだだの幼竜だと思ったのか。
……強いやつはそれだけLv.も高くそのため魔力も比例して高くなるが……こいつらの魔力的にそんな実力はならそうだぞ?
5人がかりで幼竜1匹にも勝てないだろう。
だが、武器を抜いて向かってきたんだ。容赦するつもりはない。
…魔法を使う必要がなさそうだから使わなくていいか。
俺に真っ先に向かってきた男を爪で切り裂く。
なす術もなく真っ二つになった仲間に驚いたのか他の男どもが立ち止まるがそれを待ってやるほど間抜けじゃない。
近くの男の足を掴みもう1人の男へ叩きつける。
……こりゃひどい。2人まとめてケチャップの染みみたいになってる。
2人がやられている間に我に戻ったのか叩きつけのためにその男に向けられた俺の横腹目掛けて剣を振り下ろしてくる。
それを尻尾でなぎ飛ばす。……ケチャップの染みもう一つ追加だな。
それらの光景をみて動けなくなっている男……俺に向かって啖呵を切ってきた男に向かって歩みよる。
「た、助けてくれ……!俺はい、依頼されてだけなんだぁ!!」
『依頼?誰の』
「そ、それは……」
『いや、いい。どうせ言ったところでわからん。死ね』
またリスアに危害を加えたり、その依頼主とやらにへんな情報が渡ったりしても困るから殺した。
ドラゴンになったからか生き物を殺すことに嫌悪感を感じないな。
まぁ、弱肉強食の世界だ。そんなことを感じていたら命がいくつあっても足りないだろうからいいのだが。
俺の大きさじゃ入れないので馬車の後方を壊して中を覗き見る。
そこには手足を縛られて口に猿轡をつけられたリスアがいた。
『大丈夫か?』
「助けに来てくれた……の?」
『ああ』
「ありが……とう」
爪を使って拘束具を壊して外してやると自分の体を少し見つめたあと、リスアは泣き出した。
……あんな男どもに拐われかけたんだ。よっぽど怖かったんだろう。
『……帰ろうか』
「……うん」
すこし探すと服と金の入った袋が見つかったので買い物を済ませた後に拐われたのだろう。
馬車に繋がれていた馬を逃し、服の入った袋を手に、リスアを背に乗せた。
『背中で寝て大丈夫だぞ』
「いいの?」
『ああ』
「じゃあ……そうするわ……」
そう言ったあとすぐに寝息を立て始めた。
やっぱり精神的にこたえたのだろう。俺はドラゴンになって四足歩行。背中もリスアの身長より広いから十分に寝れるスペースはあるだろう。
このドラゴンの体は数日食事や睡眠を取らなくても大丈夫だ。
できるだけ体を揺らさないよう、リスアを起こさないように気をつけながらゆっくりと寝床に向かって歩き始めた。
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