ドラゴンに転生!〜せっかくなのでドラゴンを謳歌する〜

エン

ドラゴン対策会議と依頼



〈冒険者ギルド〉


「これより、ドラゴン対策会議を始める」


 冒険者ギルドと呼ばれる場所の一室でギルドマスターが宣言しました。
 ドラゴンとは存在が確認されしだいこうして会議がおこなわれるほどの脅威となり得る存在です。
 私の他にもギルドマスターや、高位の冒険者などが参加している。私は直接報告を受けた受付嬢として会議に参加しています。


「ギルドマスター、ドラゴンが出たとは本当ですか?」
「あぁ、報告してきたやつらを見る限り嘘はついていないだろう。まぁ、確認してみなければ確実とは言えないが」
「いえ、ある可能性があると言うだけで大変なことですのでギルドマスターの判断は間違っていないかと」
「そうか」


 ここは数多くある冒険者ギルドの支部の一つでカーナ支部といいます。他のところと比べると魔物もそこまで強くなく、危険な場所ではありません。
 そんなこの支部にドラゴンが現れたのです。
 そもそもドラゴンとはそうそうお目にかかれるものじゃありません。それに加えてドラゴンとは幼竜であれ総じて強い力を持っています。
 彼も不安なのでしょう。


「シーナ、報告によると現れたドラゴンは白い色をしていたと言うことだが」
「はい。報告ではそのように」
「灰色の間違えではないのだな?」
「なんども確認を取りましたが、『白』だった……と」


 ドラゴンにも様々なものがいます。
 幼竜、成竜、属性竜、竜王です。
 その脅威は後者になればなるほど増していきます。そして、現れたドラゴンが灰色ならば幼竜と判断し対策を行うことができますが今まで『白』色の竜など聞いたことがありません。


「……だとすると幼竜、成龍ではないのか……?」
「大きさも3メートルほどらしく幼竜としては大きく、成龍としては小さいですね」
「属性竜…の幼竜……か?」
「ですが『白』色の属性竜とは聞いたことがありませんし、属性竜の幼竜にしては小さいと思いますが?
「『白』色の竜ですら聞いたことがないだろう。それに、遭遇した冒険者を襲わずに立ち去ったんだろう?」
「そうですが……」
「それならばまだ発見されたことのない、新たな属性竜と考えた方がいいだろう」


 ドラゴンは幼竜のときの過ごし方でその後がきまるらしいです。
 成龍と属性竜の違いは、前者は普通の魔物と同じぐらいの知能しかなく魔法も使えないのに対し、後者は人間並みか、それ以上の知能を有しなおかつ魔法も扱えると言う点だとか。
 竜王はそれぞれの属性竜の頂点……と、教わりました。


「属性竜だったとするならばたとえ幼竜だったとしてもこの支部の冒険者じゃ手に負えません!!」


 この支部にいる冒険者はこのあたりの魔物が弱いため必要せいもなく、依頼のランクも低いため最高位の冒険者はいません。


「他の支部、または本部から要請するしかないだろう」
「ではそのように討伐依頼を出しますか?」
「………いや、まずは調査依頼だ。属性竜ならば言葉を理解するだろう。もしかしたら『念話』での会話も可能かもしれん」
「わかりました」
「しかし、調査の結果、討伐依頼を出す可能性もある。そのことも踏まえA、Sの冒険者、できれば複数人に依頼を」


 冒険者のランクはしたから
 E、D、C、B、A、S、SS。そして特別ランクのEXがあります。
 やはり属性竜の幼竜ならSランクを動かさなければならないのでしょう。










+++++++++++




「Aランク冒険者、アルトだ」
「Sランク冒険者、メルテーナです」


 依頼を出して2日後、依頼を受けてギルドに2人の冒険者がきました。
 1人は赤い髪に鋭い目……なんだか偉そうな感じで名乗ったアルトさんという男性です。もう1人は綺麗な黒い髪を腰まで伸ばしキリッとした印象のメルテーナさんという女性です。


「依頼内容を詳しく説明します。依頼はカーナの森に出現したドラゴンの調査です」
「調査ぁ?」
「はい。そのドラゴンは『白』い色をしていたらしく、属性竜の幼竜だと仮定しています。それを確かめる、そしてそのドラゴンが人間に害ある存在かどうかを見極める『調査』です」
「そんなことしなくてもブッ殺せばいいじゃねぇか」
「アルトさん、相手はドラゴン。それに属性竜ならばたとえ幼竜でも知能は高いはず。それに、戦うとしてもあなたじゃ相手になりません」
「あぁ?Sランクだからってイキってんじゃねぇぞ。それに、幼竜だろ?俺にかかれば大したことねぇよ」
「アルトさん今回は『調査依頼』ですので……」
「受付嬢が指図してんじゃねぇよ」


 ……この人はなにをいってるのでしょうか?
 調査依頼だと言ったはずなのですが…依頼ですよ?それを指図などと……


「ですが依頼は『調査』です。くれぐれも変な気を起こさないようにお願いします」
「チッ……わぁったよ」
「メルテゥーナさんもそれでよろしいでしょうか」
「もともとそのつもりだ。異論はない」
「では、お願いします。ご武運を」


 アルトさんは苛立った顔で、メルテーナさんは軽く私に会釈してからギルドから立ち去って行きました。


 ……大丈夫でしょうか










+++++++++++




 なんだぁ?あの女は
 受付嬢の分際で……!あのSランクの女もだ……!!偉そうによぉ!!


「チッ……!」


 思い出したらまたイライラしてきたぜ。
 まぁ、いい。ドラゴンそれも属性竜だ。殺せば俺もはれてSランク……!調査だかなんだか知ったこっちゃねぇ。


 俺は俺の好きなようにやらせてもらうぜぇ!!


「ハハッ…!」
「……この男は大丈夫なのだろうか?」
「あぁ?なにか言ったかぁ?」
「……いや」


 ハハハハハッ!!待ってろドラゴンッ!今すぐお前をぶっ殺して俺もSランクだ!!










+++++++++++




 翌日


 私たちは依頼受け、カーナの森へと入った。


 それにしてもこのアルトという男……ギルドでの様子といい、大丈夫なのでしょうか?


「アルトさん、もうドラゴンが現れたという森です。すこしは警戒して慎重になるべきでは?」
「そんなのお前に言われなくてもわかってんよ」


 こんな調子です。
 本当に大丈夫なのでしょうか?浮かれているのか注意散漫です。
 なぜギルドはこんな人を調査の依頼に?
 幼竜とは言え属性竜。微塵も油断していい依頼ではないと思いますが……。


 そんな同じような会話を何回したかも覚えてませんがようやくドラゴンが目撃されたという場所まできました。
 調査……それもドラゴンのため警戒しながらゆっくりここまできましたが、この男はそれにイライラしていますね。


 そこからまだ歩くことしばらくして。


 ついにドラゴンがいました。それにしても……


「本当に『白』……なんですね」


 もちろん疑っていたわけではありませんが、聞いたことない話ですので実際にして見てみるとやはり驚きます。
 それに見たことのあるただの幼竜にしては大きく成龍にしては小さい……やはり新種の属性竜なのでしょう。


「アルトさん、これは調査依頼です。見たことろ属性竜で間違いありません。慎重にまずはーー」
「ハハァッ!!」


 なっ!?あの男、大剣片手に笑いながら襲いかかった!?なにを考えているんですか!
 調査ですよ!!戦うとしてもどうしてあんなになめてかかってるんですか!?


「グラァア!?」
「死ね!トカゲ!!」


 ええっと……どうしましょうか……。









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