人間嫌いな俺とビッチな少女

マイナスイオン

〜Six Months After〜

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半年後......




睦月に会いたい、睦月と話したい。 


 私は睦月のことが本当は好きだったのかしら?


ううん、違うよね?睦月が私のことを好きじゃないとダメだったの。


なのに、睦月は私との未来を望まなかった。


だから、そんな睦月は本当の睦月じゃない。 


だから彼を殺した後に私も死んで2人だけの世界に行くはずだった。


 なんでみんな分からないのかしら?


私は睦月を救ってあげただけ方なのにみんな私を加害者扱いする。


 お父さんもお母さんも泣きながら睦月の親に謝っていた。みんなおかしい、私は何も悪くない、私たちの未来は誰にも渡さないわよ。


だけど、もうあの睦月には興味ない。


私の中であの睦月はもういないも同然。


私にはちゃんと私だけを見てくれる睦月がいる。


「ねえ、睦月今日も一緒にご飯食べようね」


……


「あっ、ん......一緒に逝こ?」


……


「おやすみ睦月、ずっと私たちは一緒なんだから」


今日も彼と過ごす1日が終わる。


私は彼との思い出の詰まったアルバムを握りしめ、睦月と共に今日も眠りに落ちていった。


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「おい、鍋島~食堂行こうぜ!」


「どうせならみんなで行けばいいんじゃない?」


「残り少ない高校生活だしな!」


「あぁ、今行く」


あれから半年余りが経った。


俺は胡桃萌のおかげと言うべきなのか、気づけば人と関われるようになっていた。


少ないながらも友達と呼べる奴もできた。


本当は、沙霧の悪口に拍車がかかり、それを言って楽しんでた奴らに怒鳴り、クラスから再び浮きそうになった。俺は別に構わなかったが、神野と、そして胡桃が鍋島の気持ちも考えなよとフォローを入れてくれたらしい。


自分たちに負い目があったのか、そいつらは以後一切沙霧の悪口を言わなくなった。


「鍋島くん、早く行くよ!」


「ああ、教科書片付けたら行く」


春には無事3年に進級し、クラス替えはあったものの神野とは同じクラスだった。
……
 

「なあ、鍋島は進学どうするんだ?」


「まあ、一応こっちの方でって考えてる」


「でも地元こっちじゃないんだよねー?」


「まあ、ここの住み心地がいいんだよ」


「ここの大学って結構レベル高いんだよなー?鍋島、勉強教えてくれ!」


「自分でやれよ、自分で」


コミュ力抜群のリア充の塊からみればまだまだなのかもしれないが、十分に他の誰かと話すことも余裕になっていた。


……


「鍋島ほら、はやくいくよー!」


ただ一つ、あの頃とは違い、俺の隣で無理やりにでも呼ぶあの声を聞くことはできない。


 勝手に嘘告白して、勝手に私に惚れされるって言って、勝手に俺の前から消えた。


 胡桃が本当のビッチだと言うことを聞き、抵抗を持ちながらも構わないと言うつもりだった。


彼女が俺の心を開いてくれたように、今度は俺が少しでも助けになれればとも思った。


だが、きっと俺の少しの抵抗を胡桃は見逃さなかったのだろう。あの日から半年、彼女は一切俺と話すことなかった。


クラスも変わったため、もう胡桃との関わりは一切なくなってしまった。


今となっては神様は気まぐれだと言いながらも去年の高校祭の日に屋上行けなかったから今一緒にいれないと考え始めた自分が馬鹿らしい。


人と話して、関われるようになったからこそ分かった。他のやつと、誰かと話したり、笑ったり、喜んだりするのはもちろん楽しい。


だが、どんなに人と関われるようになっても、胡桃が居なければ意味がない。あいつと遊んだ時、話していた時が誰よりも1番楽しかった。


 失ってから気づく。いることが当たり前になると言うことは怖いということに......


だが同じ失敗はもうしたくない。


胡桃は冬休みが終わった後から、誰に頼んだのか生徒会に入り頑張っているらしい。


 だから彼女の時間が欲しいということを信じて待つことにした。


また、胡桃と話すことは出来るのだろうか?


なぜこんな風に彼女のことを思うのだろう?


その答えをひたすら探す俺だった......



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