人間嫌いな俺とビッチな少女

マイナスイオン

帝都高校祭Part1〜始まる祭と俺の役目〜





晩秋から初冬へと移り変わっていくこの時期、
帝都高校の、いや俺たちの帝都高校祭は幕を
開けようとしている。


「〜だ。君たち生徒たちの成長を願い、そして今日、君たちが作り上げてきたものの集大成を見えることを誇りに思う。生徒一同、一生懸命頑張り、そして楽しみなさい!」


「「はい!」」


「これより第○回帝都高校の開催を宣言する!」


帝都高校祭の始まりである。


「今日ばかりは憂鬱な月曜なんて言ってられないよな」


……


「こっちはメイド喫茶でーす!」


「いらっしゃいませ!ご主人様♡」


「お化け屋敷どうですかー?」


「怖がらないと食べちゃうぞ?♡」


 よくメイドとかできるよほんと.....


胡桃のやつ、ゾンビメイクかと思いきや只のコスプレじゃねえか。しかもお化けってよりは
売り子っぽい....


「なーべしまー。何こっちにジロジロみてんのよー!あっ、私に見惚れてた?」


「まあ似合ってるとは思うがそれだとお化け感というか......」


「あーまたビッチって言おうとしたなー!」


「してねえよ。まあ、周りの男たちはメロメロだからいいんじゃねえか?」


「そんなのどうでもいいのー!鍋島はどう思うー?可愛い?♪」


胡桃はさっき言った通りとても似合ってる。
そして可愛い。だがその可愛さが逆に自分との雲泥の差を感じてしまい言葉に詰まる。


「ま、似合ってるよ。そろそろ俺もメイクしてくるからまた後でな」


「なによー釣れないなぁ。私が呼び込み頑張るからちゃんと脅かしてよね」


「あぁ、任せろ」


……


完成した姿を見て俺は唖然とする。


なぜこうなった?他のお化け達はお化けなりに可愛かったりかっこよかったりする。


だが、俺のメイクはというと完全にお化け、いやゾンビそのものだ。


「鍋島まじゾンビじゃーん」


「鍋島お前すげえな!俺、思わず撃ち殺しそうになったぜ!」


「お化けは見た目じゃないぞー?」


「鍋島くん、落ち込まなくても大丈夫だからね!お化けは顔じゃないから!」


……誰一人としてまともなことは言わない。
神野だけは励ましてくれてるようだが、むしろ貶されてる気しかしない。それに一つ言わせてもらうならお化けは顔だと思う。


そんなことを思ってる俺だったが、みんなで何かをするというのはとても久しぶりで正直心踊っていた。


お化け屋敷オープンの時間になり、リーダーの海堂が賑わうクラスメイト達の前に立つ。


「よっし!みんな準備はいいな?胡桃達の呼び込みでもう教室の前には列ができている!みんなで最高の1日にするぞー!」


「「おー!」」


 海堂や最上達曰く俺は最後のボスらしい。


散々こわがってもらった後に本格的なゾンビが出てくると言う設定で俺は呻き声と共に少しの距離を追いかければいいということだ。


みんなワイワイしてる中俺だけ損な役回りの気がせんでもないがそれでも俺は十分だ。


早速1組目のカップルがやってきたようだ。


「うぅー、俺をたすけぇてくれぇ....」


「ぎゃあー!!助けてくれー!」


「え、ちょ、ちょっと待ってよ健ー!」


「たすけぇてくれぇ、」


「女の子1人にするとかありえないし......
てかあんた近づいてこないでよ〜」


 カップルを喧嘩させることに成功したみたい
だな。この役割案外面白い....


それからどれくらいの時間が経ったか分からない。
ただ、次々にくるカップル達を驚かせ、男が驚けば女はそれに引く。そんな光景をもう何回も見た。
そんな様子を見ると、男子が女子になにを求めているのかが垣間見える気すらする。


女子が怖がれば可愛い、男子が怖がればダサい。世の中の男子は気の毒である。


もろに胡桃とかなら、


「男子がビビるなんてありえなくない?」


とか真顔で言いそうだもんな。


 だが、もしそこで、


「男子にもそういうとこがある方がちょっと良いかも!」


なんて言葉をあいつが言えば俺は胡桃のことをちょっとは違った目で見てしまうのかもしれないな。


って、俺なに考えてんだ?信頼と好意はまた違う。そんなことで俺はもう道を間違えたりはしない。


「ここの学校結構いいよね〜」


 沙霧のことを思い出したせいかふとあいつの声が聞こえたような気がした。俺に対する神様のイタズラか気のせいだとは思うがな......

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