人間嫌いな俺とビッチな少女
鍋島睦月がイメチェン始めました。
……
「ねえね、むーくんもこっちで遊ぼうよー」
「僕が行ってもみんな嫌がらないかなー?」
「大丈夫だよぉ、私がついてるもん」
「ねえ、どうしてさーちゃんは人気者なのに僕なんかと一緒にいてくれるの?」
「えーそんなの決まってるでしょー。
むーくんをね!
私なしでは生きれないようにしたいからに
決まってるじゃん!」
……はっ!なんだ夢か。高熱のせいか昔の記憶と悪夢が混ざり合った気がする。
私なしでは生きれないようにか......
 確かにずっとお前が甘えっぱなしだったよ。
昔もそして距離を置いた前日までも....
ガチャっ!
「あれ?鍋島目覚めたんだ。凄い寝汗だけど
大丈夫?」
「胡桃?なんだ、わざわざ来てくれたのか。
なんかよくねー夢を見た気がする」
「そっか、ま、熱が出てる時に幸せな夢なんて見ないから大丈夫よ!」
胡桃には話しても良かったように思えるが、まだ過去のことを話すのには抵抗が俺にはあった。
「あれだけの雨に打たれて風邪引かないとか胡桃、お前凄いな。バカは風邪引かないとはこう言うことなんだな」
「ビッチだのバカだの私のことなんだと思ってるんよ~!」
「そのまんまだよ。ビッチでバカでアホでそのくせお節介が過ぎるうーんと、美少女?」
「褒めてるんだか貶されてるとかわかんないんだけど~?」
「褒めてるってことにしとけ」
「ふーん。世話好きな美少女か♪なんかそれもいいかも!」
どうやらあいつの頭は都合よく人の言ったことを書き換える能力があるらしい。
「わざわざ来てくれてありがとな。移ったら
大変だろうから俺は寝る」
「うん!私ももう帰るから。明日はちゃんと
学校に来なきゃダメだからね」
「あぁ、わかったよ。じゃあな」
…………
 次の日、熱が下がらずもう一日休めるんじゃないかとも期待したが、俺の体はえらくも何ともなくなってしまっていた。
「やっぱり愛の力って凄いわね」
「何が愛の力だよ。むしろ俺の抵抗力を褒めるべきだろ」
「抵抗力があるやつは風邪なんか引かないでしょ。ブツブツ言わずに、萌ちゃんとこれからも仲良くして行きたいのなら髪はセットしなさいよ。あと朝ごはん食べること!私はもう出るから」
 髪の毛をセットか....本当は前髪上げると顔全体が見えるので好きじゃない。だけど俺も少し
ずつ前に進むと決意したんだ。
俺は休日スタイルに髪の毛を仕上げ、渋々
ながら学校へと向かった。
……
「なぁ、あんなやつ居たっけ?」
「あれ?もしかして鍋島じゃね?」
「何でいきなり髪型変えたんだ?」
「しかも前よりはかっこよくなってやがる」
「これってやっぱり胡桃さんと付き合ってるってことなのか?」
「何で俺も陰キャなのにあいつだけ~!」
 学校に着くや否や様々な声が俺の耳に聞こえてくる。相変わらず我ながら酷い言われ様だ。
「な、鍋島?何?その髪型?」
  会うや早々お前も騒がしい奴だな。
「姉貴が学校にもちゃんとしていけってうるさいんだよ。こっちは病み上がりなのに朝から鬱陶しいからセットして来た」
「そ、そうなんだ。でもその髪型似合ってるし別にいいんじゃない?」
「何で少し他人行儀なんだよ」
「べ、別に....昼休みはちゃんと空けといてね!じゃあ」
なんであいつちょっと余所余所しいんだよ。
まあいいや、この前の買い出しの時と同じだし、別に今更
感想貰いたいとも思ってないしな。
そんなことを思いながら高校祭の準備がある
放課後まで俺はのらりくらり過ごすのだった。
*********************
なんで鍋島、髪型変えてくるのよ。
朝からやっぱり目立っちゃってるし。
鍋島睦月は有栖さん譲りの綺麗な顔立ちをしている。テレビで取り上げられるイケメンという言葉が似合うタイプではない。だけども一般的に見てカッコいい部類には入ると思う。
これが入学初日からなら女子の話題に上がるか上が
らないかの瀬戸際だと思う。
 だけども冴えないと思ってた男が実はカッコいい系だったとなれば話は別になると思う。
いわゆるギャップってやつね。
事実、そのギャップゆえ鍋島のことで女子のトークは持ちきりになっている。そうは言っても社交性が身についたわけではないから、無愛想は彼に付いて回っているけど!
はぁ、一緒にいるならかっこいい方がいいけど私だけの秘密の方が良かったかもなぁ。
 もし他の女子が告白なんかして調子に乗って
鍋島がOKでもしたら......
いや、それはないよね。何しろ私を振るような男だしまだ人との関わりを苦手としてるから。
彼が人と関われるようになるのが1番。
だけどその時にどんな形であれ隣にいるのは私じゃないとダメなんだから。
 今日の昼休みはいっぱい文句言ってやるから
待ってなさいよ~
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