人間嫌いな俺とビッチな少女

マイナスイオン

作戦開始



「朝ごはんちゃんと食べて出るのよ~」


「わかったから!早く行かないと大学遅れるぞ?」


俺の姉貴は朝が苦手だ。だけど朝ごはんは毎朝ちゃんと作ってくれる。
姉貴曰く、


「成長期の睦月にはちゃんと三食食べさせなきゃいけないでしょ」


らしい。
 

 母親より母親らしくて困るくらいだ。
そんなことを言われてしまっては抜くことはできないなと毎食きっちり食べているおかげで
俺の身長は178センチにまで伸びている。
 

身長が高いのはかえって好都合だ。
自分よりクズな奴らに上から見下されることもないしな。


そんなことはどうでもいいか、俺は姉貴が
作ってくれたご飯を食べ、学校へと向かった。




…………


「なあ、胡桃萌がお前に告白したって本当なのか?」


「鍋島睦月のどこがいいんだよー!」


学校に行くなり、昨日俺が胡桃萌に告白をされたことがどこからか広まったらしい。
 胡桃萌はかなりモテる。そして今まで数多く男を振ってきている。そんな奴がこんな底辺に告白したともなれば学校一のニュースだわな。 


「なあ鍋島、胡桃のこと振ったらしいじゃねーか!なんで振ったんだよ」


 なぜこいつらは普段話しかけもしない俺にこういう時にだけ都合よく話しかけることができるんだ?


「知らない。そもそも俺は告られてなんて
ない」


「嘘つくなよ!どうしてお前なんかが」


「しつこいんだよ!胡桃のことが好きなのか
知らねえが人にねちっこく聞く暇があったら
もっとすることあるんじゃねーのかよ」 


「チッ、なんだよ調子乗りやがって」


敗者の負けゼリフを残し去って行くどこかの
誰かさん。相手にされるといいですねー。


「鍋島おはよう~!」


そして今一番聞きたくない声が俺の耳に響く。
きっと幻聴だ。昨日ちゃんと眠れてなかったのか?はやく教室で仮眠を取ろう。


俺は足早に教室に向かう。


「なんで無視するのよ~!お、は、よ、う!」


それでも俺は歩き続ける。


ポカっ!


「痛ってぇ、何すんだよ!」


「あら、ちゃんと気づいてるじゃない。
おはようって言われたら返すのが基本なのよ」


「そんなことは知ってるよ。なんでお前が俺に話しかけてくるんだよ」


「昨日約束したでしょ~私があなたを惚れさせ
るって~!」


「昨日言ったこと忘れたのかよ。俺はお前に
惚れる気も....」


「はいはい、細かいことはいいの。誰のせいでこんなに朝から噂になってるのかな~?」


「それはお前が俺なんかに告白するからだろ?」


「ぶー、違いまーす。正解は鍋島が私の嘘告白を受けなかったから!おかげで趣味は悪いだの色々朝から言われ放題よ。だからあなたが責任とるってことで今日の放課後付き合ってね」


こいつ、ほんと言いたい放題だな....


「ちなみにこなかった場合は鍋島、
どうなっちゃうかなー?」


まあ、奴らのファンクラブならぬ取り巻きに
ボコボコにされるってところか。てか今お前と話してるだけでも周りの目が痛いんだが....


「いい?とにかく放課後校門の前で待ち合わせだからね!」


「わーったよ。校門に行けばいいんだろ!」


「わかったらよろしい!
じゃ、放課後はよろしく~」


はぁ、あいつは俺の気持ちなど無視して人の
パーソナルスペースに土足で踏み込んでくる。
 少し無視したら懲りるだろうと思ってた俺が
甘かったな。
 まあ、放課後あいつと会って胡桃の気が収まるならそれでよしとしようか。






…………キーンコーンカーンコーン。


6限終了のチャイムが鳴り響く。
 

今日一日、馬鹿みたいに同じような質問をされ続けもうクタクタだ。  


 どいつもこいつも恋愛ネタになると隠キャも
リア充も関係ねぇな。
 ま、告白相手が超リア充女ってのも少なからず関係はあるかもしれんが....


そしてこの後は俺は胡桃萌とデート?らしい。


はぁ、、2日連続の憂鬱な放課後が始まった。

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