高校時代のアイドル的存在がニートになって面影がなくなってしまった件

マイナスイオン

会社の後輩と仕組まれた罠

「おい、神谷〜ハタチ過ぎてんだからさー
もっと飲めよ〜!」


「そーだ、そーだ!今日は帰してやらないぞ〜!」


 部長に杏さんまで……はぁ、凛乃花のことが心配で
早く切り上げて帰ろうと思ってたのに、、この様子
じゃ帰れそうにないな。
 そもそも会社づきあいって断ると面倒だし、、


「神谷先輩、無理しないでいいですからね」


「ありがと佐倉、まあ俺潰れたことないしそんな飲まないから大丈夫だよ」


 この場における唯一の天使、佐倉梓、俺の1個下の
後輩は俺に優しくそう言ってくれる。
凛乃花や周りとは違い、どちらかといえば和風美人
な感じだ。
 そしてなにより杏さんがあーなせいで凄く優しい奴って印象がどんどん強くなっている。
 

それに、凛乃花と年が同じこともあり、あいつが働いてたら、こーいう感じなのかなとか勝手な俺の妄想にも登場している。


決してやましい事はないぞ??


「他人事みたいにいうなって〜お前も20になったんだから今日は飲ませるぞ〜」


「うえ〜!!杏さん勘弁を〜」


いわゆる悪しき伝統、今日の被害者は梓に決定だな。心の中で手を合わせながら梓の無事を願うのだった。




……
時刻は0時前、ラストオーダーを終え、会計を終えた御一行は二次会組と帰宅組に分かれていた。
もちろん、まだまだ平社員の俺は二次会が決定した
時点で出席しなければいけないはずだった。が、、、


「かみやせぇんぱーい、わーたしーもうヘロヘロで〜」


おい佐倉、全然呂律が回ってないじゃないか、
まあ、あれだけ飲めば当然といえば当然か。


「おー、梓、これは大変だ〜!だれか家まで送ってくれる人はいないかな〜?なぁ、神谷」


探してるフリして思いっきり俺の名前呼んでるじゃないですか!


まあ、二次会に参加して帰りが遅くなるよりかは
送り届けて帰った方が得策ではあるか。


「なあ、神谷。デブでニートな彼女もいいかもしれんが、こっちはこっちで意外にいい体してるぞ〜」


杏さん、小声で何を言ってるんですか。しかも言い方が完全にスケベ親父でそれだ……


「この前は相談聞いてくれたり、応援してくれてると思いきや、いきなりそんなこと言い出して、なんのつもりなんですか〜」


「私は話が面白くなればそれでいいのさ〜
だから敵にも味方にもなる〜きぶんやー」


ダメだ、この人も完全に酔ってる。
うん、無視しよう。


「よし、佐倉!俺が送ってやるからもう帰るぞ、今日はありがとうございました。お先に失礼します」


「ちゃんと送ってやれよー!」


「2人でお楽しみしてもいいが、会社には遅れるな
よー、って明日は休みか。わっはっはー」


「若い2人がお盛んなことだ」


ダメだ、普段はお堅い人たちだが、もうこうなれば
ただのエロジジイだな。もうまともに常識残ってる人いなさそうだし……


「お世話になりま〜す。せぇんぱーい♡」


そう、ぺこりとお辞儀をする佐倉、顔が少し火照っており、甘えてくるその様子に少しドキドキしてしまった。


凛乃花のことが好きとはいえ、杏さんが余計なこと言うから!


「お、おう。家はどっち方面だ?」


「えきからちかいので〜ここからあるいて10分くらいのところで〜す」


家に向かう間は黙って、指示を聞いていたのだが、酔っ払いを歩かせたのが間違いだったのだろう。途中で止まってしまった。


「どうかしたか?気持ち悪いのか?」


「ちょっと、頭がクラクラして、、家までおんぶ、
お願いできますか……?」


上目遣いで見つめてくる佐倉、呂律ははっきりしてきているものの顔はまだ赤い。


今の状態で歩かせるのも待つのも帰りが遅くなるし、おんぶくらいしてもいいだろう。
そう思い、俺は佐倉の腕を持ち、背中に乗せた。


「うわー神谷先輩の背中ひろーい」


お家広ーいみたいなノリで言われても反応に困るぞ?それに何か柔らかいものが、、


[全部これも杏ってやつのせいなんだ。]


懐かしのライダーからセリフを借りた俺は無心を
貫き、やっと家までたどり着いた。


「これが鍵でーす」


鍵をもらい、ドアを開けて玄関に下ろした瞬間俺は
いきなり押し倒された。


「おい、佐倉いきなりなんのつもり……」


俺は最後まで言葉を発することができなかった。
その口は……佐倉梓の口によって塞がれてしまっていたからである。


「ぷはっ、神谷先輩に私のファーストキスあげちゃいました。責任、取ってもらいましょうかねー?」


いきなり佐倉のやつ、何を言ってるんだ?
さっきまでの酔いがまるで嘘のようで……


「お前、酔ってたんじゃなかったのか?」


「ずーっと、こういう日が来るの待ってたんですよー。先輩プライベートで誘っても彼女が彼女が言って付き合ってくれないし!だから会社の飲みを利用したんです」


「先輩、優しいから大げさに酔ったフリしたら、すぐに送ってくれるしおんぶまでしてくれて本当、作戦通りですよ」


「何がしたい?俺を別れさせたいのか?」


「ここまで言ってもわからないんですか?神谷先輩のことが入社してからずっと好きなんです!最初は彼女がいるからって諦めてました。
なのに、聞いた話によれば彼女働いてないそうですね。そんな人になんで譲らなきゃダメなんですか?
だから無理矢理にでもこうしたらその人から奪える
なぁーって」


俺は突然の告白に返す言葉を失った。
佐倉は俺のことが好きなのか?それで今俺にキスを
した。けれど、どうであろうと俺は凛乃花のことが
好きなのは変わらない。


「佐倉、気持ちは嬉しいが俺は働いていなくても今の彼女が好きだ。たしかに働いてほしいって思ってる
部分はあるがだからと言って、彼女を裏切るのとは
違うだろ?」


「よく言いますよ〜私からとはいえ、
今キスしたのに、、その時点で立派な浮気ですしー?それに帰りの様子見ると少し私のこと意識してましたよ〜?」


「そ、それは杏さんが変なことを俺に囁いてきたせいであって……」


「とにかく!今自分が置かれている状態がわかりませんか?後輩の家に上がっている先輩、帰るところは
みんな見てますよね?私が有る事無い事言ったら先輩どうなりますかね〜?」


会社のお偉いさんたちが見ていたのは事実だ。
もし、佐倉が何か言った場合、男である以上俺の方が分が悪いのは明白だろう。


「俺にどうさせたいんだ?」


「うーん、彼女と無理矢理別れさせるのもいいけど
それだと負けたみたいで嫌だし自力で惚れさせたいし?ま、とりあえず今日はこのままここに泊まってもらって明日は2人でデートですね」


「彼女に連絡することは?」


「ダメに決まってるじゃないですかー。
それとも彼女に後輩にキスされてそのまま家に泊まることになったとでも送りますか?」


くっ……
佐倉梓は俺が思っていたよりずっと賢い。
会社という外堀を固められたことで今の俺は逆らうことができない……もし、今逃げ出したとしても最悪、社会的地位を失うこともある。


悔しいが今は従うしかないのか……


ごめん、凛乃花……俺が甘かったばっかりに....


「さあーてまずは一緒にお風呂にでも入ってもらおうかなー?服がタバコ臭いしー?」


「ここでゲームをしましょうか?もし、先輩が私を
見て反応したら先輩の負けです。その時はどうなっても知りませんからね?」


一方的に持ち出されたゲーム。もしこれを承諾してしまえば俺は佐倉の裸を見たことにより、余計に立場が悪くなるのは確実だ。


「俺に拒否権は?」


「ないですよ?今すぐに助けてって電話してもいいですけど?」


電話をしたとしても、もしかしたら信じてくれる人がいるかもしれない。そう一瞬思った。
しかし会社という組織は所詮上辺だけの関係だ。きっと誰もが佐倉の味方をする。それは
目に見えている。


仕方ないが……やるしかない。
俺は凛乃花のことが誰よりも好きだ。だから
絶対息子を興奮させるわけにはいかない!


俺と佐倉梓の最悪のゲームが始まった。



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