【連載版】僕の初恋相手は人妻です

マイナスイオン

深夜の密着





高校生がそこに入っていいのかなんてことはわからない。


ただ、今確かなのは僕がいるベッドの隣に笑顔で七瀬さんが寝転んでいるということだ。


 今、もし1言だけ誰かに何かを言えるチャンスが
あるのならこう言いたい。


一体なんでこんなことになってるのだろう?


と。


何時まででも付き合いますというのは決してそういうことをしたいって意味では......


いや、ごめんなさい。少しはそう言う意味合いなのかと考えました。そのセリフに心踊らない人なんて
いないと思うし、なんせ隣にいるのは想い人の七瀬
さんだ。


そんな気がなくてもそこに期待してしまうのは仕方
ないことじゃないか。


「ねえ♡真田くんはしたことある?」


上目遣いでそんなことを聞かれては......


「いや、な、ないです」


「そっか〜ないんだ〜!ふふっ、じゃあ私が真田くんの始めてを貰っちゃおうかな♡」


き、きっとこれは酔った勢いだ。正気に戻ればこれがいけないことくらい......


「あ、あの、ならシャワー浴びませんか?」


「私やっぱり臭うかな?」


「あ、いや、そんなことないです」


ほんのりとお酒の匂いと女性特有の香り、そして上気した顔で密着されているこの状態で理性を保たせるには無理があった。


「ねえ、真田くんは私としたくないかな?」


「いや、でも七瀬さんには旦那さんが......」


「お願い!今日だけ、今夜だけでいいの!私と一緒に......」


何故かはわからない。そのどこな儚げな表情を見た
瞬間、僕は隣にいる七瀬さんをぎゅっと抱き寄せた。


「さ、真田くん?」


「七瀬さん、僕初めてだからどうすればいいのかわからないですよ?」


「大丈夫♪私がしっかりリードしてあげるから!それと私の名前は真凛だから、下の名前で呼んでほしいな♡」


「ま、真凛さん!」


きっとこれは酔った勢いだ。だからきっと次の日になれば何も変わらない日常がまた始まる。


だから今日だけ、今夜だけは許してください。


僕が名前で呼んだその瞬間からお互いにスイッチが入った。そんなようだった。


僕だって男の子だ。そういうビデオを見たことがないわけじゃなし、ここまできたらそのビデオを思い出して、見よう見まねでするしかない。


「真田くんにここ、触ってほしいな♡」


れろっ、、ちゅ、ちゅぴっ......


室内に卑猥で、それいて魅惑的な音が響き渡る。


……


「はぁはぁ、あっ、真田くん、可愛い顔して
いいものつけてるじゃん♡」


「真凛さん、僕真凛さんのこと大好きです」


「あっ......ん......この状態でそれをいうなんてせこいよ。私もう30なのに......」


……


「はぁ、はぁ、真凛さん、僕、もうそろそろ限界みたいです」


「あんっ、あっ......いいよ。私ももう......真田くん、一緒にイこ?」


……








♦︎♦︎♦︎


次に目を覚ましたときは既に朝だった。


残念ながら僕の初体験は真凛さんと交わったことは
覚えていたけど、きっと色々必死だったのだろう。昨日のその他、細かいことはほとんど記憶に残ってい
なかった。


けれども微かにどこか誇らしくなった相棒と、生まれたままの状態で幸せそうに寝てる真凛さんが昨日会ったことを鮮明に証明しているようだった。


「ん......むにゃ、おはよ真田くん」


どこか眠そうに目をこすりながらそう言う真凛さん。


「おはようございます!あの、昨日はその、大丈夫でしたか?」


「んー、実は私もよく覚えてないんだよね〜」


「そうですか......真凛さん結構飲んでましたもんね」


覚えてないの一言に少し落胆する僕。
僕自身もほとんど覚えてはいないのだけど。


「ほんと、久しぶりにあんなに飲んだよ♪」


「飲み過ぎは気をつけてくださいね!」


「高校生に心配されるなんてお姉さん感動だよ〜それはそうとお腹減ってない?そろそろここ出よっか!」


……


その後、安さが売りの牛丼チェーン店で朝ごはんを食べ、僕たちは解散することにした。


「ほんと、昨日から付き合ってくれてありがとね♪」


「こちらこそ!ご飯も美味しかったし、それに楽しかったです」


「ふふっ、美味しかったのはご飯だけかな〜?」


「えっ、あ、いや」


「冗談、冗談!そうやってすぐ顔を赤くしちゃうところが堪らなく可愛い〜♪また会ってくれるかな?」


「はい、いつでも、連絡待ってます......」


そう言って僕たちは別れた。


また会う、その言葉が意味することが分からない僕ではなかったが、そこについて考えるのはやめた。
 そこを深く追求しては、昨日のあれが1日だけの過ちではすまないような気がした。






そして、僕はここから本当の泥沼へとハマっていくことになるのだった。







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