蔵書一万冊を多分超えるであろう元書店員のお勧めマンガ

彦猫

その二十九 バトゥーキ  迫稔雄 集英社

 ヤングジャンプの主力が弱体化する中、あまり面白いとは思えない序盤から、炸裂しましたこの作品!
 作者は嘘喰いで一世を風靡した迫稔雄。その新作なのですが、最初はなんだかよく分からない設定に、画力の無駄とまで思っていました。
 カポエイラとその周辺文化なんて、あまりにニッチすぎるよ。ゴールデンカムイ以来ヤングジャンプはそういうの多いのかな、と。


 それがだいたい20話ぐらいまでの感想だったのですが、ここで作品に化学反応!
 カポエイラで戦う、ということがどういう意味なのか、主人公の出生の秘密が明かされると共に、バトルマンガとして覚醒!
 カフェイン中毒のカポエイリスト先生とかが現れ、異種格闘をストリートで行うという点において、どれだけカポエイラが有利か、ちゃんと納得出来るのです!


 カポエイラの後ろ回し蹴り、あれ躰道の蹴りと同じ理屈ですな。
 そりゃ初見でかわせたら達人ですわ。
 間違いなく悪党なのに、どこか憎めないB・Jとかも、最近の敵対者である半グレ集団も、とても魅力的です。
 特にこの数週間の勘違い展開は、面白いと共に笑える!


 ただ格闘マンガと見た場合も、カポエイラという武術の特性が現れていて、かなり現実寄りです。
 カポエイラが強いのではなく、誰のカポエイラが強いのかと、先生も作中で述べています。


 マジ切れしたらおでこが光るいっち、腹筋バキバキに割れててゴリラ可愛い。 
 どのキャラにもまだ見えない深い部分がありそうで、今後も期待度大です。

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