蔵書一万冊を多分超えるであろう元書店員のお勧めマンガ

彦猫

その二十六 五等分の花嫁  春場ねぎ 講談社

 今更何を言ってるんだ、と思う貴方、貴方は正しい!
 1話から読んでるんだけど、わざわざ紹介しなくてもアニメ化された、充分に人気のある作品じゃないか、と言われるでしょう。
 そう、私もそう思う。だけど最近ネットの記事とかを見てると、すごく気になるんですよ。
 五等分の花嫁、毎週話題になってるな、と。
 他に毎週話題になってる作品……ない。


 お前が今、毎週一番楽しみにしてる作品って何よ? と言われたら。
 ジャンプは「ワンピース」を「凡作」と断ずる私にはあまり魅力的ではなく。
 サンデーはもう……死に掛けてますね。
 青年誌の中を探しても、「喧嘩稼業」は毎週連載じゃないし。
 じゃあ何、と問われたらやはり五等分の花嫁だったりします。


 別に古いだけじゃなく、マイナーなだけじゃなく、メジャーな作品を紹介してもいいじゃない。
 私はかなりひねくれた部分も持った人間ですが、別に王道漫画全てに喧嘩売ってるわけでもありません。
 というわけで今回は、五等分の花嫁の紹介と、その魅力、及び今後の展開について考察します。






 主人公上杉風太郎(以下フータロー)は学校一の秀才。しかし家はビンボーで、可愛い妹も病弱で、なかなかの苦労性。
 そんなフータローの前に現れたのが、テストで0点を取ったある意味すごい美少女。(今確認したら0点は彼女ではなかった)
 彼女はフータローに勉強を教えて欲しいと言いますが、そんな何の得にもならないことはやらない、とすげなく断るフータロー。
 美少女だろうが容赦ない。フータロー、男前です。


 その直後依頼された、通常の五倍の金額の家庭教師アルバイト。
 ほいほい受けようとしたらなんとその生徒が、自分が拒絶した女の子。
 しかもその女の子は五つ子で、五人とも落第するほど頭が悪い。
 初対面での印象の悪さもあって、フータローは彼女達との関係を構築し、無事に卒業できるような学力を育てるため、苦心することになるのであった。






 これまでのラブコメにおいて、三角関係というのはよくあったし、ヒロインが複数というのもよくあった。
 しかし三角関係でさえ、最終的なヒロインがどうなるかは、ほぼ序盤で見えていたと言える。
 少女マンガまで含めても、ほぼ95%は、序盤でその行方が見えていた。
 ……まあ、例外もあります。「とっても土方くん」とかね。
 でも他に有名どころを探しても……序盤で分からないという作品は、ほぼないですね。
「タッチ」とかのあだち先生も、ヒロインはほぼ序盤で確定。
 懐かしの「きまぐれオレンジロード」なんて、ひかるちゃんは明らかに対抗馬。
 ううむあだち先生なら「スローステップ」はちょっと予想外だったかな。


 最近のラブコメをぱっとあげると「いちご100%」は当初予定と明らかに違ってましたね。
 作品としてはこっちがヒロインだけど、くっつくのはこっちとか。
 あれ? なんだかそこそこ、誰とくっつくのか分からない作品もあるような……。


 まあ細かいことは置いて、五等分の花嫁は冒頭にて、五つ子の誰かとくっつくのが明示されています。
 メタ的に考えれば最初に会った五月(以下5)になるのでしょうが、本当にメタ的に予想して当たるのか……。
 これ、下手に五つ子なだけに、読者人気とかを考えてルート変更する余地が、けっこうあるんですよね。
 う~む、本当に最後まで既に考えているのか、微妙なところだとは思いますが。


 しかし誰が選ばれるのか、そして過去にフータローと会った五つ子は誰なのか、そのあたりの考察が今熱いのです。
 ちなみに各ヒロインを挙げていきますと。以下、ネタバレあります。


 長女一花(以下1) お姉さんぶった長女。最初からそこそこ好意的。生活はだらしないが、基本的には五人のまとめ役。
 次女二乃(以下2) ツン系。しかしながら料理上手で真っ直ぐ。口は悪いが優しい。1がダメダメな時のまとめ役。
 三女三玖(以下3) クールでミステリアスと見せかけたポンコツ。
 四女四葉(以下4) 最初から明るく友好的だが、一番馬鹿。しかし……。
 五女五月      腹ペコ大魔王。今のところキャラ立てが一番不鮮明だが、最初に会ったというメタ的アドバンテージが高い。


 現在2019年5月15日時点で、1がほぼ脱落、2もおそらく脱落、3が微妙、4が実は謎のブーストありそう、そして5はまだ不鮮明。
 いや~、過去のことを考察したり、入れ替わったのは誰なのかを考察したり、押しをとにかく強調して他の押しを貶めたり。
 なんだかたいへん楽しいことになっております。
 人気はキャラ投票時点では3がダントツだったのですが、2のデレがあまりにも剛球ストレートで、多くのファンを増やしました。
 1はもう、下衆に近いぐらいの他の姉妹出し抜きがあるのですが、それが私は好きだったり。
 3は人気投票一位とはいえ、この時点で告白しちゃって、どんでん返しで負けるんじゃないのとメタ的に考えたり。
 4は最初から能天気に明るいと思ったら、最近は他の姉妹にはない、素の怖さが出てきたり。
 5はフータローの妹とも仲良くして、メタ的には一番本命なんでしょうね。






 ぶっちゃけ、誰が最終的に選ばれてもいいんだと思います。
 問題はそこに至る過程。2と3は読者に「これなら仕方ないな」という印象を与えています。
 1はもう評価だだ下がりだけど、逆にここから魅力的な役割を果たせるのか。
 少女マンガなら裏のある悪役女子でも、姉妹という絆ゆえに、たとえ選ばれなくても前に進もうという意思を示すことが大事なのです。


 う~む、しかし4の爆弾がいつ爆発するか。
 そして5がメタ的には本命とはいえ、それをどのようにして説得力ある過程でくっつかせるか。


 主人公の堂々としたイヤミっぷりとかも好感触で、まだまだ目が離せません。
 五等分の花嫁、リアルタイムで追いかけましょう。
 あ、アニメも第二期決まったそうですよ。

コメント

コメントを書く

「エッセイ」の人気作品

書籍化作品