星の彼方
根源
『アーサー、アーサー聞いてるかい?』
『聞いているよマーリン』
ここは最果ての地アヴァロン、私はアーサー、英雄アーサー王。
隣の間抜けな声で私を呼ぶのは、魔術師マーリン。夢魔との混血の魔術師だ。
彼の戦いで、私は負った怪我を癒す為、大樹の下で横になり加護を受けてた。
そこに暇を持て余したマーリンが来たのだ。
『なら良かった』
にっこりと微笑み話を続ける。
『この世界の生命にはごく稀に英雄の意思が引き継がれる、英雄の意思はその人の生命の根源、命そのものだ。成すべき事や成した事が継がれ、次の人生を共に歩む。』
『にわか信じ難い話だがな。』
『英雄は偉業を成し遂げた特別な存在だからね。この世界の輪廻の輪をくぐり続ける。この世界の人は死を迎えると輪をくぐらず、その魂は分裂し、それが新たな命になると言われてる。けれど英雄にはそれが許されない』
『何故?偉業を成し遂げたのに、新たな命に変わる事を許されないのか?』
『考え方の問題だよアーサー。魂はね裂かれなければ人の記憶に残りやすいんだよ。裂かれた凡人達の魂は新たな生命になる代わりに記憶には残りにくい』
『なら、平民でごく稀に前世の記憶を持つものはどう説明する?彼らはどこかの英雄の根源を持って生まれたのか?』
少し考えた顔をしてマーリンは答えた
『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない』
アーサーは『はぁ?』と少し呆れた顔をした。
『これは英雄のみの特権ではないからね。ごく稀に、特に、何もしてないのに輪廻の輪をくぐってしまう者もいる。新たな魂になる事は出来ず転生してしまう。そんな輪廻の輪は英雄の魂をあるがままの状態で守り続けてると言っても良いのかもしれないね。』
『私は永久に理から魂を束縛され続ける様にしか聞こえんな。しかしお前言うのだ、それは本当の話なのだろう?』
アーサーはやれやれと息をつく。
アハハと笑うマーリンは少し寂しげな瞳でアーサーを見つめる。
……あぁ、彼にはもう時間が無い。
僕の千里眼は彼の寿命が尽きる未来を見た。これは変わらない運命だ。
『アーサー、君はきっと輪廻の輪をくぐり続ける、そうなれば僕は君の魂を見守り続けよう。この最果ての地で。』
アーサーは少し眠たそうな眼をしてマーリンに答えた
『ああ、是非そうしてくれ、お前は僕の魔術師だ、その行く末を見届けてくれ。』
マーリンの頬を優しく撫で
アーサーは言った。
『マーリン、今までありがとう。』
 温かく微笑むアーサーは、静かに目を閉じ、その生涯に幕をとじた。
マーリンはもう目が覚めない主に頭を下げ、その場を去った。
『あれから何千年。このアヴァロンで君を見守り続けた事だろう。アーサー』
塔の窓から外を眺めるマーリンは1人呟く
『君の根源は9人渡り、その生涯に幕を閉じた。僕はそれを見守り続けた。以外に君には似ても似つかない人達だったけどね。』
1人でくすくすと笑い微笑む。
『さて、10人目のアーサー王の根源を持つ者が現れた。これまでのアーサーはアーサーと知らず生涯を生きてたが。今回はどんな物語になるかな?』
その10人目の名前は「ルイン」
け破滅の名を持つ子だった
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