旦那様は魔王様

狭山ひびき

3

そこは、ひんやりと冷たく、じめじめとした部屋だった。

隙間風がヒューヒューと女の悲鳴のような音を立てている。

彼は、こちらへ向かってくる足音を聞き、薄く目を開いた。

キィという音がして部屋の木戸が開く。

無断で彼の部屋に入り込んだ男は、彼を見てあきれたように言った。

「相変わらずだな、お前は……」

彼は薄く開いた眼で男を見た。

――その両目は、血のように真っ赤な色をしていた。

「旦那様は魔王様」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く