【電子書籍化、コミカライズ】悪徳令嬢に転生したのに、まさかの求婚!?~手のひら返しの求婚はお断りします!~
騎士団長代理、来る 6
フリーデリックはベッドに寝そべって、ぼーっと天井を見上げていた。
騎士団にいたころ、ジョシュアとは頻繁に酒を酌み交わしていたが、今日はどうしてもそう言う気分にはなれなかった。
ジョシュアもわかっているようで、夕食後は早々に客室に引き下がった。
(……王女を狙う本当の犯人、か……)
そんなこと、考えもしなかった。
なぜなら、フリーデリックには、アリシアがユミリーナを狙っていたのかいなかったのか、それすらも曖昧だったのだ。
証拠がなかった。それはわかっている。
でも、フリーデリックはただ信じたかっただけだった。きっと違うと――、葛藤し、悩み、苦しんだ時に、信じたいのならば信じなさいと言ったのは、ジーンだった。
アリシアと結婚したいと言ったとき、両親も兄たちも、騎士団の仲間もみんな反対した。反対しなかったのはジーンと、ジョシュアだけ。
ジョシュアが来てくれたことは、ありがたかった。
ジョシュアの剣の腕は確かだが、それ以上に、彼は頭がいい。今まで自分には関係ないと知らんぷりを続けていた彼が、アリシアを見た。助言をした。手を、差し伸べた。
もちろん、ジョシュアが味方になったからと言って、すべてがうまくいくとは限らない。
アリシアの疑いは晴れないかもしれないし、最悪自分が剣を抜く日も来るかもしれない。
それでも――、ほっとした。守ると言って守り方がわからなかったフリーデリックを叱責し、導いてくれる友が来てくれたことに、安堵する。
(俺はもう、間違えたくない)
フリーデリックはそっと目を閉ざす。
疑いもせずアリシアを追いかけまわしていたフリーデリックが、もしかして、彼女はみんなが言うような悪徳令嬢ではないのではないか――そう、はじめて疑問を持ったのは、およそ半年前。
あの日彼女は、美しい紫色の瞳を潤ませて――それでも、気丈に前を向いていた。
騎士団にいたころ、ジョシュアとは頻繁に酒を酌み交わしていたが、今日はどうしてもそう言う気分にはなれなかった。
ジョシュアもわかっているようで、夕食後は早々に客室に引き下がった。
(……王女を狙う本当の犯人、か……)
そんなこと、考えもしなかった。
なぜなら、フリーデリックには、アリシアがユミリーナを狙っていたのかいなかったのか、それすらも曖昧だったのだ。
証拠がなかった。それはわかっている。
でも、フリーデリックはただ信じたかっただけだった。きっと違うと――、葛藤し、悩み、苦しんだ時に、信じたいのならば信じなさいと言ったのは、ジーンだった。
アリシアと結婚したいと言ったとき、両親も兄たちも、騎士団の仲間もみんな反対した。反対しなかったのはジーンと、ジョシュアだけ。
ジョシュアが来てくれたことは、ありがたかった。
ジョシュアの剣の腕は確かだが、それ以上に、彼は頭がいい。今まで自分には関係ないと知らんぷりを続けていた彼が、アリシアを見た。助言をした。手を、差し伸べた。
もちろん、ジョシュアが味方になったからと言って、すべてがうまくいくとは限らない。
アリシアの疑いは晴れないかもしれないし、最悪自分が剣を抜く日も来るかもしれない。
それでも――、ほっとした。守ると言って守り方がわからなかったフリーデリックを叱責し、導いてくれる友が来てくれたことに、安堵する。
(俺はもう、間違えたくない)
フリーデリックはそっと目を閉ざす。
疑いもせずアリシアを追いかけまわしていたフリーデリックが、もしかして、彼女はみんなが言うような悪徳令嬢ではないのではないか――そう、はじめて疑問を持ったのは、およそ半年前。
あの日彼女は、美しい紫色の瞳を潤ませて――それでも、気丈に前を向いていた。
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