王子にゴミのように捨てられて失意のあまり命を絶とうとしたら、月の神様に助けられて溺愛されました
メロン栽培には愛情が必要です 6
その日の夜、入浴をすませたエレノアはじっと鉢植えを覗き込んでいた。
昼間見たときより、双葉が大きく青々しているよう見えるけれど、気のせいだろうか?
「植物って、とっても成長が早いのかしら?」
植物を育てたことがないエレノアには、普通の植物がどの程度の速度で成長していくのか理解が及ばない。
うーんと悩んでいると、「エレノア」と背後から呼ばれてエレノアはぎくりとした。
振り返ると、寝室にやってきたサーシャロッドが、おいでと両腕を広げている。
(うー、今日も肉付きチェック……?)
サーシャロッドは毎日エレノアの肉付きチェックをするが、植物と違ってエレノアの成長速度――もとい、肉付き速度はそれほど早くないと思う。どれだけ頑張って食べたところで、一日ごとに肉付きがよくなるはずがないのに。
エレノアはちょっぴりびくびくしながら、部屋の中央でエレノアを待っているサーシャロッドの下に歩いていく。しかし――
突然、視界を一本の蔓のようなものが横切ったと思った瞬間だった。
ガサガサガサガサ―――
突然音を立てて視界をたくさんの蔓が這って行き、エレノアは悲鳴をあげてサーシャロッドに抱きついた。
「これは……」
サーシャロッドも目を丸くして、部屋中を這っていく蔓を視線で追う。
蔓はあっという間に部屋中を覆い尽くし、エレノアとサーシャロッドを閉じ込めて、釣鐘状のドームを作った。
「……なるほど、マジックメロンか」
サーシャロッドは上を見上げて、合点したように頷いた。
エレノアもつられて上を見れば、釣鐘状の蔓のてっぺんから、ボール状の丸い黄緑色の物体がぶら下がっている。
「……メロン?」
「そうだな」
サーシャロッドは頷いて、エレノアを腕に抱きしめたまま問うた。
「マジックメロンは、いろいろな成長条件をもつ特殊なメロンだ。エレノア、妖精にメロンの種をもらったな?」
エレノアが頷くと、「悪戯好きのやつらめ」とサーシャロッドが苦笑する。
「エレノア、妖精にこのメロンの育て方を聞かなかったか?」
「はい。愛情いっぱいあげてねって言っていました、けど」
「あー、そうか。なるほど」
サーシャロッドはもう一度頭上になっているメロンを見上げる。
そして、視線をエレノアに戻すと、今度は少し意地悪な笑顔を浮かべた。
「エレノア。ここから出るには、あのメロンを大きく実らせないといけない」
「もう充分、普通のメロンくらいですけど……」
「マジックメロンはあの何倍も大きくなる」
「何倍も?」
妖精たちは「おおきくて」美味しいメロンだと言っていたが、比喩ではなく本当に大きいメロンだったらしい。
そんな大きいメロン、食べきれないのにとエレノアは思ったが、しかしあれを大きく成長させないとここから出られないらしい。
「どうやって大きくするんですか?」
「その方法はさっき、エレノアが言っただろう?」
「……愛情、いっぱい?」
つまり、あのメロンに向かってたくさん話しかければいいのだろうか。それならばできそうな気がすると、エレノアが口を開きかけたとき、突然サーシャロッドに抱きかかえられて、エレノアはあわてて彼の首に腕を回した。
「サーシャ様……?」
「だから、『愛情』がたくさんいるんだよ」
にっこり微笑んでいるサーシャロッドが、何故だか怖い。
エレノアは頭の中で警鐘が鳴り響くのを聞いたが、抵抗なんてできるはずもなく、あっという間にベッドに押さえつけられた。
サーシャロッドを見上げると、とってもいい笑顔を浮かべている。
「さ、サーシャ、様?」
「エレノアは何もしなくてもいいよ」
サーシャはそう言って、エレノアの両手首を、あっという間にまとめて片手で押さえつけてしまう。
そして、おろおろしているエレノアには構わずに、チュッと首筋にキスを落とした。
「―――!」
エレノアは息を呑んだが、ぎゅっと体に力を入れたエレノアには構わずに、サーシャはキスをしながら舌を這わせて、首筋を丹念に舐めていく。
くすぐったいのと、なんだか変な気持ちになるのと、少しの怖さでエレノアが身をよじろうとするが、押さえつけられているのにビクともしない。
サーシャがキスをしながら夜着の襟元を緩めて、鎖骨から胸元へと唇を滑らせた。
「ふわわわわっ」
サーシャが下に顔を滑らせるから、襟元が大きく乱れて行く。ほとんど丸みのない胸はほぼ丸見え状態で、エレノアは顔を真っ赤にした。
これは違う。いつもの肉付きチェックじゃない。どうしてこんなことになっているのかわからずにエレノアはパニックになるが、サーシャは構わず、小さな胸の周りに丁寧にキスを落としていく。
「さーしゃっ、様! まってくださ……!」
「待てない。だって『愛情』が必要だろう」
「こ、これが、あいじょう……?」
「そう。不思議に思うなら、そのままメロンを見上げているといい」
サーシャロッドに言われたので、エレノアはぴくぴくと肩を揺らしながら、ぶら下がっているメロンを見上げる。
(あれ、ちょっと大きくなった……?)
心なしか、ちょっと大きくなっている気がする。
(え、これがあいじょう……!?)
こんな恥ずかしいことが、妖精たちが言った「愛情」? 嘘でしょう?
エレノアがショックを受けている間にもサーシャロッドはエレノアの胸元を乱し、そして、そのまま、ぱくりと口をあけて先端に食らいついた。
「ひやああっ!」
突然の未知の感触にエレノアが悲鳴を上げるが、サーシャロッドは容赦なく先端を舌で転がしていく。
メロンは確かにどんどん大きくなっていくが、メロンが収穫できる前に、エレノアが恥ずかしすぎて死んでしまうかもしれない。
ぞくぞくとこそばゆいような耐えがたいような不思議な感覚が、腰のあたりから這い上がってくる。
口で蹂躙されていない方の胸は、肉付きチェックの時のようにやわやわと揉まれていて、頭の中がおかしくなりそうだ。
サーシャロッドはやがて唇を舌へと動かすと、胸の下から臍のあたりまで舌を這わせていく。
「だ、だめだめっ、それ以上はだめですっ」
このままだと、全部裸に剥かれかねない。エレノアが半泣きでいやいやと首を振れば、ようやくサーシャロッドは動きを止めてくれた。
「まだ収穫できる大きさじゃないぞ」
メロンは最初のころより三倍ほどの大きさになったが、まだ大きくなるのだろうか。しかし、これ以上続けられたら気を失ってしまう。
サーシャロッドは少し考えて、エレノアを助け起こすと、襟を整えて彼女をベッドの上で横抱きにした。
真っ赤になっているエレノアの頬を、愛おしそうに撫でる。
そして、親指でエレノアの唇をなぞると、にっこりと微笑んだ。
「じゃあ、最後にとっておきで」
とっておきって何だろうとエレノアが首をひねるよりも早く、サーシャロッドによってエレノアの唇が塞がれる。
エレノアは大きく目を見開いて、カチンコチンに固まった。
サーシャロッドはエレノアの後頭部を抑え込み、角度を変えて唇をついばむ。
しばらくして、ちゅっとリップ音をさせて唇を離したとき、部屋を囲っていた蔦はすっかり枯れ落ちて、部屋の真ん中に巨大なメロンが鎮座していたが、キスをされたまま気を失ってしまったエレノアがその大きなメロンを見ることができたのは翌朝になってのことだった。
昼間見たときより、双葉が大きく青々しているよう見えるけれど、気のせいだろうか?
「植物って、とっても成長が早いのかしら?」
植物を育てたことがないエレノアには、普通の植物がどの程度の速度で成長していくのか理解が及ばない。
うーんと悩んでいると、「エレノア」と背後から呼ばれてエレノアはぎくりとした。
振り返ると、寝室にやってきたサーシャロッドが、おいでと両腕を広げている。
(うー、今日も肉付きチェック……?)
サーシャロッドは毎日エレノアの肉付きチェックをするが、植物と違ってエレノアの成長速度――もとい、肉付き速度はそれほど早くないと思う。どれだけ頑張って食べたところで、一日ごとに肉付きがよくなるはずがないのに。
エレノアはちょっぴりびくびくしながら、部屋の中央でエレノアを待っているサーシャロッドの下に歩いていく。しかし――
突然、視界を一本の蔓のようなものが横切ったと思った瞬間だった。
ガサガサガサガサ―――
突然音を立てて視界をたくさんの蔓が這って行き、エレノアは悲鳴をあげてサーシャロッドに抱きついた。
「これは……」
サーシャロッドも目を丸くして、部屋中を這っていく蔓を視線で追う。
蔓はあっという間に部屋中を覆い尽くし、エレノアとサーシャロッドを閉じ込めて、釣鐘状のドームを作った。
「……なるほど、マジックメロンか」
サーシャロッドは上を見上げて、合点したように頷いた。
エレノアもつられて上を見れば、釣鐘状の蔓のてっぺんから、ボール状の丸い黄緑色の物体がぶら下がっている。
「……メロン?」
「そうだな」
サーシャロッドは頷いて、エレノアを腕に抱きしめたまま問うた。
「マジックメロンは、いろいろな成長条件をもつ特殊なメロンだ。エレノア、妖精にメロンの種をもらったな?」
エレノアが頷くと、「悪戯好きのやつらめ」とサーシャロッドが苦笑する。
「エレノア、妖精にこのメロンの育て方を聞かなかったか?」
「はい。愛情いっぱいあげてねって言っていました、けど」
「あー、そうか。なるほど」
サーシャロッドはもう一度頭上になっているメロンを見上げる。
そして、視線をエレノアに戻すと、今度は少し意地悪な笑顔を浮かべた。
「エレノア。ここから出るには、あのメロンを大きく実らせないといけない」
「もう充分、普通のメロンくらいですけど……」
「マジックメロンはあの何倍も大きくなる」
「何倍も?」
妖精たちは「おおきくて」美味しいメロンだと言っていたが、比喩ではなく本当に大きいメロンだったらしい。
そんな大きいメロン、食べきれないのにとエレノアは思ったが、しかしあれを大きく成長させないとここから出られないらしい。
「どうやって大きくするんですか?」
「その方法はさっき、エレノアが言っただろう?」
「……愛情、いっぱい?」
つまり、あのメロンに向かってたくさん話しかければいいのだろうか。それならばできそうな気がすると、エレノアが口を開きかけたとき、突然サーシャロッドに抱きかかえられて、エレノアはあわてて彼の首に腕を回した。
「サーシャ様……?」
「だから、『愛情』がたくさんいるんだよ」
にっこり微笑んでいるサーシャロッドが、何故だか怖い。
エレノアは頭の中で警鐘が鳴り響くのを聞いたが、抵抗なんてできるはずもなく、あっという間にベッドに押さえつけられた。
サーシャロッドを見上げると、とってもいい笑顔を浮かべている。
「さ、サーシャ、様?」
「エレノアは何もしなくてもいいよ」
サーシャはそう言って、エレノアの両手首を、あっという間にまとめて片手で押さえつけてしまう。
そして、おろおろしているエレノアには構わずに、チュッと首筋にキスを落とした。
「―――!」
エレノアは息を呑んだが、ぎゅっと体に力を入れたエレノアには構わずに、サーシャはキスをしながら舌を這わせて、首筋を丹念に舐めていく。
くすぐったいのと、なんだか変な気持ちになるのと、少しの怖さでエレノアが身をよじろうとするが、押さえつけられているのにビクともしない。
サーシャがキスをしながら夜着の襟元を緩めて、鎖骨から胸元へと唇を滑らせた。
「ふわわわわっ」
サーシャが下に顔を滑らせるから、襟元が大きく乱れて行く。ほとんど丸みのない胸はほぼ丸見え状態で、エレノアは顔を真っ赤にした。
これは違う。いつもの肉付きチェックじゃない。どうしてこんなことになっているのかわからずにエレノアはパニックになるが、サーシャは構わず、小さな胸の周りに丁寧にキスを落としていく。
「さーしゃっ、様! まってくださ……!」
「待てない。だって『愛情』が必要だろう」
「こ、これが、あいじょう……?」
「そう。不思議に思うなら、そのままメロンを見上げているといい」
サーシャロッドに言われたので、エレノアはぴくぴくと肩を揺らしながら、ぶら下がっているメロンを見上げる。
(あれ、ちょっと大きくなった……?)
心なしか、ちょっと大きくなっている気がする。
(え、これがあいじょう……!?)
こんな恥ずかしいことが、妖精たちが言った「愛情」? 嘘でしょう?
エレノアがショックを受けている間にもサーシャロッドはエレノアの胸元を乱し、そして、そのまま、ぱくりと口をあけて先端に食らいついた。
「ひやああっ!」
突然の未知の感触にエレノアが悲鳴を上げるが、サーシャロッドは容赦なく先端を舌で転がしていく。
メロンは確かにどんどん大きくなっていくが、メロンが収穫できる前に、エレノアが恥ずかしすぎて死んでしまうかもしれない。
ぞくぞくとこそばゆいような耐えがたいような不思議な感覚が、腰のあたりから這い上がってくる。
口で蹂躙されていない方の胸は、肉付きチェックの時のようにやわやわと揉まれていて、頭の中がおかしくなりそうだ。
サーシャロッドはやがて唇を舌へと動かすと、胸の下から臍のあたりまで舌を這わせていく。
「だ、だめだめっ、それ以上はだめですっ」
このままだと、全部裸に剥かれかねない。エレノアが半泣きでいやいやと首を振れば、ようやくサーシャロッドは動きを止めてくれた。
「まだ収穫できる大きさじゃないぞ」
メロンは最初のころより三倍ほどの大きさになったが、まだ大きくなるのだろうか。しかし、これ以上続けられたら気を失ってしまう。
サーシャロッドは少し考えて、エレノアを助け起こすと、襟を整えて彼女をベッドの上で横抱きにした。
真っ赤になっているエレノアの頬を、愛おしそうに撫でる。
そして、親指でエレノアの唇をなぞると、にっこりと微笑んだ。
「じゃあ、最後にとっておきで」
とっておきって何だろうとエレノアが首をひねるよりも早く、サーシャロッドによってエレノアの唇が塞がれる。
エレノアは大きく目を見開いて、カチンコチンに固まった。
サーシャロッドはエレノアの後頭部を抑え込み、角度を変えて唇をついばむ。
しばらくして、ちゅっとリップ音をさせて唇を離したとき、部屋を囲っていた蔦はすっかり枯れ落ちて、部屋の真ん中に巨大なメロンが鎮座していたが、キスをされたまま気を失ってしまったエレノアがその大きなメロンを見ることができたのは翌朝になってのことだった。
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