夢の中でも愛してる
4
弘貴はゆっくりと瞼を持ち上げた。
部屋の中は真っ暗で、ベッドサイドのデジタル時計を見ると午前三時十六分と表示されている。
隣では、遥香が穏やかな寝息を立てていた。
夕食を取ったあと、手をつないで眠ろうと言った通り、遥香と同じベッドで手をつないで眠りについた。
――本当は、遥香が怯えたそぶりを見せなければ、今日、抱いてしまおうかと思っていた。
「君の昔の男を―――、恨むよ」
弘貴は遥香の前髪を梳くように頭を撫でながら、苦笑を浮かべる。
弘貴が思っていた以上に、遥香は恋愛に対して臆病のようだ。ホテルの部屋の中で、弘貴が近づくたびに体を強張らせて、時に真っ赤になる遥香は、可愛らしかったが、強引にどうにかしてやろうという気にはなれなかった。
大事にしたいと告げたのも真実だ。
だが、弘貴も成人した男で―――、遥香が少しでも抱かれてもいいかなと言うそぶりを見せたら、問答無用で押し倒すつもりだった。
「まあ、いいか。……まさか、君がこうして現実に手に入るとは思わなかったし。急がなくてもいいさ」
弘貴は身をかがめて、遥香の唇にそっとキスを落とす。
遥香の体に腕を回して、胸の中に抱き込みながら、弘貴はそっと目を閉じる。
「おやすみ、遥香―――、リリー……」
そうして再び眠りについた弘貴が見た夢は、穏やかだった。
部屋の中は真っ暗で、ベッドサイドのデジタル時計を見ると午前三時十六分と表示されている。
隣では、遥香が穏やかな寝息を立てていた。
夕食を取ったあと、手をつないで眠ろうと言った通り、遥香と同じベッドで手をつないで眠りについた。
――本当は、遥香が怯えたそぶりを見せなければ、今日、抱いてしまおうかと思っていた。
「君の昔の男を―――、恨むよ」
弘貴は遥香の前髪を梳くように頭を撫でながら、苦笑を浮かべる。
弘貴が思っていた以上に、遥香は恋愛に対して臆病のようだ。ホテルの部屋の中で、弘貴が近づくたびに体を強張らせて、時に真っ赤になる遥香は、可愛らしかったが、強引にどうにかしてやろうという気にはなれなかった。
大事にしたいと告げたのも真実だ。
だが、弘貴も成人した男で―――、遥香が少しでも抱かれてもいいかなと言うそぶりを見せたら、問答無用で押し倒すつもりだった。
「まあ、いいか。……まさか、君がこうして現実に手に入るとは思わなかったし。急がなくてもいいさ」
弘貴は身をかがめて、遥香の唇にそっとキスを落とす。
遥香の体に腕を回して、胸の中に抱き込みながら、弘貴はそっと目を閉じる。
「おやすみ、遥香―――、リリー……」
そうして再び眠りについた弘貴が見た夢は、穏やかだった。
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