【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる
第111話 クレア
もう一度言うが、つまらなかった。
本当につまらなかった。
読者のみんなに俺のいい闘いっぷりを見てもらおうと思っていたが…申し訳ない。
相手が弱すぎてすぐに決着が着いてしまった。
 
それを見て俺たちの決闘を観ていた野次馬たちは、ポカーンと口を開いて驚きを隠せない様子。
そして極め付けか、ギルドマスターさんも納得がいっていない様子。
「何故魔法が効かない!?最高峰の魔法を放った筈だ!!」
ギルドマスターさんは俺に聞いてくる。
「私には、あらゆる魔法が効かない固有スキルを持っているからですよ?」
俺は答えた。
「あはは…そんなスキル持ってるやつに魔法を専門にしてる俺が勝てるわけがない…か」
ギルドマスターさんはそこで納得したらしい。
あ、ああ〜、それで納得したのか?…
絶対しないと思っていたのだが…
「名を教えてくれないか?」
「名ですか?名は…えっと」
ちなみに、冒険者ギルドに入るまえに、俺は容姿を少し変えていた。
まあ、目の色を変えただけだけど。
でも少しは印象が違うはず!
それをした理由は、自分の正体がバレないためだ。
だからここで本当の名前を言ってしまうと元もこうもない。
「ク、クレア」
だから俺は嘘の名前を言った。
「そうか、クレアと言うのか。クレア…おめでとう。君も今日から冒険者だ。俺の名前はヨルド。これからよろしく頼む」
ギルドマスターさんは、いや、ヨルドさんはそう言って俺に手を差し出す。
「よろしくお願いします」
俺はその手を握り握手を交わす。
こうして冒険者クレアの伝説が始まった。
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