【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる
第51話 前世の仲間、ミレナ
街を歩いていた俺たちは、しばらくして目的地である一つの衣服屋さんの前に辿り着いた。
衣服屋といえば結構賑わっているのかと思ったが、そんなわけではなかった。
 
「ママ、衣服屋さんってここ?」
「ええ、そうよ」
「へ、へぇ…」
マジですか。なぜここ!?外から見てどんなところか丸わかりじゃん!
この店、女の子のお洋服しか売ってないところじゃないか!
ここはなんとしても避けねば…
俺は、最後の抵抗として、ヨメナにここではない場所で服を買うことを提案することにした。
「…ママ、ここじゃないところはダ」
言いかけたところで、ヨメナがにっこりと笑顔を向けてくる。
「はい、ここで大丈夫です」
「うん、そうよね。じゃあ入りましょうか」
こうして俺は、抵抗らしい抵抗もできずに、半ば強制的にみせの中に入れられるのであった。
中はやっぱり女の子が着るような服しか売っていなかった。
うん、知ってたよ。少しの希望もないって。
「あれ、誰もいま居ないのかしら?」
確かに。このお店の中には誰も人がいない。こんなんで大丈夫なのか?そんな風に思っていると、お店の奥からこの店の主人であろう女の人が出てきた。
「ごめんねーお客さん、ちょっと買い物行ってて迷惑かけちゃったって…ヨメナ?」
「えっ?…ああ!久しぶり、ミレナ!」
ヨメナも驚いているが、その女の人が自分の知っている人だと気づいたらしく、その声に反応した。
そう、この店の主は、前世で邪神退治の途中一緒に冒険した、ミレナだった。
        ーーーーーーーー
ミレナとの出会いは、エルフの、自分たちの故郷を離れてから初めてたどり着いたこの街、ストックだった。
俺とヨメナは、初めて着いた街だったために右も左もわからず、色々な意味で困惑していた。
そんな時に話しかけてくれたのがこの人、ミレナだったのだ。ミレナとの出会いは、本当に唐突だった。
「あなたたちって、訳ありなのかしら?」
そう言って話しかけられた時のミレナの顔は、楽しそうな、好奇心を漂わせている、そんな顔をしていた。
そして、ストックのことをミレナにしっかりと説明や案内をしてもらったおかげで、冒険者ギルドにも登録できたし、美味しいご飯や、宿も教えてもらった。
そんな日々が何日か経って、とうとう俺たちがこの街を離れることになった時だ。
俺とヨメナは、お世話になったミレナにお別れの挨拶をしてから街を出ることにしていた。
俺とヨメナは、お別れのあいさつのためにミレナのいる場所まで向かおうとしたが、それは必要なかった。そう、ミレナ本人が逆に見送りに来てくれたのだ。
そして俺とヨメナがお別れを言い渡そうとした時だった。
「私も一緒に一緒に行こうと思いまーす!」
「「えっ?」」
「だから、私も一緒に冒険したいんだって!」
「でも、私たちとくれば、死ぬかもしれないんだよ?」
「そんなの知ってるよー。でもさぁ、そっちの方が面白そうじゃない?」
その時の顔は、最初にあった時と同じ、どこか楽しそうで、好奇心を漂わせてる顔をしていた。
        ーーーーーーーー
あれからもう何年も経ったのか…いや〜転生したらこういうのも味わえるのか。少しいいかも。
そんなことを頭の隅で考えていると、ミレナは、俺のことをじっくりと観察をし始めた。
俺は、俺を観察しているミレナの顔が目の前にあったため、驚いてしまった。
「あなたがヨメナの娘、シアちゃんっていうのね…うーん…?」
俺は、ミレナにじーと見られていてなにとぞ居心地が悪いが、じっと我慢した。
「あっ!」
おっ、何か閃いたらしい。
「かわいい!!」
ズルッ
なんだよ!あれだけじっくり観察してといて放った言葉がかわいいかよ!やっぱりこいつの考え意味不明だ。
「まぁ、冗談はさておき。話はヨメナに聞いてるから、制服のサイズ合わせしようか。それが終わったら、違う服も。うへへっ」
「へっ?」
さあ、俺の着せ替え人形の時間がやって来たそうです。
これはもう、逃げられません。
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