【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第46話 英雄への道のり



時はそして、四年ほど前に戻る。


「はっぁあああっ!」


アキレアが剣を振りかざすと同時に最後のコボルトが絶命する。


「ふぅ…」


そして、俺が魔物との戦闘を終えたと同時に、背後からヨメナが現れた。


「はい、お疲れ様アキ」


そう言って水の入った水袋を渡してくれた。


「ありがとう、ヨメナ」


「それぐらい大丈夫よ。私水魔法使えるんだし」


ヨメナはちょっとしたキメ顔で俺に言った。


「ああ、そうだったな」


「うん、そうだよ。これでやっと邪神と勝負できるね?アキ」


「ああ。ここまでの道のりは、長かったようで短かった」


俺は目線の奥にそびえ立つ、旅の最終目的地を見た。


「うーん、私はアキといたから、短く感じたかなー?」


「そ、そうか」


「う、うん…」


ヨメナは、自分で言ったことに顔を赤くしてしまい、顔を下に晒してしまった。そして、しばらく二人は無言になってしまう。


そんな気まずい中、アキレアは話しだした。


「まあ、とりあえず。明日はとうとう邪神と挑む日だから…」


「そうね…もう日も暮れそうだし…」


顔を赤くしていたヨメナだったが、いつもの調子を取り戻して喋りだす。


「ま、まあテントとかあるし、大丈夫でしょう?アキがいるから心強いし」


「あっ、ああ、そうだな。任せろ」


「じゃあ、そろそろテント張って、旅の最後の夜を楽しみましょう」


そう言ってから俺たちは、テントを張る係と、夕食の準備をする係にそれぞれ別れるのだった。






 

テントも張りおえ、夕食の準備をして食べ終えたアキレアとヨメナは、二人で近くにあった見晴らしのいい場所で、仲良く寝転がって空を見上げていた。


「きれいだね…」


「ああ…」


「…………」


ヨメナが話そうとしても会話が続かない。だからヨメナは、少し居心地が悪かった。彼もたぶん、邪神との勝負を前して緊張しているのだろう。そのせいかな?


そんな中でアキレアは、ヨメナに語りかけた。


「俺たちは、二人で明日もこの星空を見上げることができると思うか?」


「それはっ…」


「そう、分からない。相手は腐っていても神の端くれだ。今までの強さとは尋常じゃない。だから、死ぬ可能性だってある」


「…うん」


ヨメナは少しシュンとしてしまった。


「だけど、心配はしていない。だって、一番大切な人がここにいるからな」


そう言ってアキレアは、ヨメナを見つめる。


「えっ…?」


ヨメナは少し予想外のことを言われて戸惑いがあったが、ハッとして、


「そうね…アキが負けるはずないもんね?」


ヨメナも微笑みながらもアキレアを見つめる。


そして二人の目が合ってから、アキレアとヨメナは長い時間、唇を重ねた。


明日もあるという可能無限を信じながら。








俺とヨメナは長いキスをした後、テントに戻り、寝ることにした。


「星きれいだったね」
「ああ」


そして二人はしばし沈黙してから見つめ合う。


「ヨメナ、今日は…」


二人ともそういうことをすることは、雰囲気で知っていた。ヨメナもそれを察知していた。


「うん、危険日だけど…きて…」


そうして二人は、裸で身体を重ねた。






ーーーーーーーー






次の日の朝。


アキレアとヨメナは、二人裸で身体をよりあわせて寝ていた。


俺は、目を覚ますと、テントから出て朝になって見えるようになった周りの景色を見渡す。


「ふわぁ…」


その時に、ヨメナもテントから顔をだした。どうやらヨメナも起きたらしい。


ヨメナは俺の隣まで来て言った。


「いよいよ、始まるね」


「ああ、俺たちの冒険にピリオードをつけよう」


「うんっ!」


こうしてアキレアとヨメナは邪神と挑み闘った。


だが、残念ながらアキレアは、邪神との闘いで命を落とした。






ーーーーーーーー






「こうして二人は、邪神に挑みに行ったんだよ。それでね…」


「すぅ〜…」


俺がエリナを見ると、俺の肩にもたれかけて寝てしまっていた。 


「寝てるし…これからが闘うところなのに…」


俺は、エリナに布団をかけてあげてから自分もその布団に一緒に包まって眠りについた。









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