【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第45話 エリナとのお泊り会2



俺とエリナはまずお風呂場に入り、髪を濡らす。
そして髪の毛を洗いはじめる。ただ毎日やる風呂ならではの普通の動作。


だが、俺の髪の毛はとても長いために、床に普通についてしまう。
いつもはオシエやセレスに結んでもらって自分の髪の毛を引きずらないようにしているのだが、お風呂ではそうはいかない。だから自分で髪の毛を持ちあげるしかない。


一方でエリナは、髪の毛が腰に届いてそうなくらいまでしか伸びていないため、俺よりは髪の毛を洗うのが楽そうだ。羨ましい限りだ。


そんなエリナの髪の毛を洗っている場面を俺は、自分の髪の毛を持ちながら凝視していた。


エリナは、同じ四歳とは思えないほどにしっかりと髪の毛を洗っていく。


それは優しい手つきで。
とても髪に優しそうな洗い方。


自分もヨメナ、オシエやセレスといった三人にいつも洗ってもらっているが、その三人の洗っている時を見たことがなかった。


まあ、恥ずかしいとか自分の髪の毛とかで精一杯とか理由はあったが。


そんなエリナは、気持ち良さそうに髪の毛を洗って、今日一日の汚れを落としていく。
そしてくまなく洗うと、お湯で全体の泡を落としていく。そして泡を流しきると、髪の毛に含んだ水気を軽く手で絞り取る。


やっと、そこで俺がずっとエリナを見ながら滂沱と立っていたことに気づいたらしい。


「シア、あなたは髪の毛洗わないの?」


「いや、洗いたいのはやまやまなんだけど…自分で髪の毛をあまり洗ったことがなくてね。そしたら、自分で洗うとしっかり洗えてないってヨメナたちに怒られちゃって」


「そうなの?シアって本当にお嬢様っ子ね。まあいいわ、たまには私が洗ってあげる。ほら、ここに座って」


俺はエリナが指示した場所に座る。


「それにしてもシアの髪の毛って、思った以上に長いわね。というか、長すぎない?」


「うん、じぶんでもよくしってる」


「短く切ったりしないの?」


「う〜ん、短くしたいけど、きっても数分したら元に戻っちゃうんだよね。でも最近はもう伸びなくなったかな?」


「へぇ〜!シアの髪の毛ってすぐに元に戻っちゃうのね!そう、不思議なものなのね。でもそれじゃあ、お手入れ大変そうよね」


俺の髪の毛を優しくかつ丁寧に洗いながら言う。


「じぶんであまり洗ったことないからわかんない」


「まあ、それはそうよね…」


そう言いながらも、俺の髪の毛を洗い続けてくれる。


「それにしてもシアの髪の毛って手触りいいし艶もいい。この世の人の髪の毛じゃないみたい」


まあ、それはある意味正解かな。人間辞めてるし。半神半霊だし。しかもエルフだし。


そしてしばらくして俺の髪の毛が洗い終わる。


洗っていたエリナの手の感覚はとても心地よかった。ぜひまたお願いしたい。


そして俺は、自分の髪の毛をまた持ちかかえる。


それを見たエリナは、ちょっと微笑ましそうに何も言わずに髪の毛を結んでくれた。


「ありがとう」


「へっ!?べ、べつにっ、ただ身体洗うのに邪魔そうだったから結んであげただけだしっ!」


ツンデレ、ごちそうさまです!


それは置いといて、俺とエリナは自分の身体を洗いはじめる。


みなさん、女になった俺でも、流石に自分の身体くらいは洗えます…


まあ、結構優しく洗わないとダメなのだが、それだけ気をつければ大丈夫。


前に前世と同じくらいの強さで洗ったら、肌が赤くなってしまったから大変だった。
ヨメナにも怒られたし。


そして身体を洗い終えた俺たちは、湯船へと足を運んだ。


「ふぅー」


極楽だぜ。


エリナも気持ち良さそう。


「それにしても、ここの湯船は広いわね」


「そう?そんなに広くなあと思うけど?」


「これで狭かったら世の中のほとんどが狭いわよ!というか、湯船が家にない家の方が多いくらいだし…」


「えっ…」


まじか!初めて知った。そんな家だったら俺は生きていけないかも…


初めてこの家で良かったかもって思ったかもしれない。


その後俺たちは、二人で話しながらゆっくりと湯船に浸かってからお風呂を後にした。








お風呂のドアを開けると、オシエが待機していた。
たぶん、俺の服や髪の毛を纏めてくれたり乾かしたりなど、俺のお世話をしに来たのだろう。


エリナもオシエに気づいたらしく、お辞儀をしていた。


「エリナさん、シア様のお世話しっかりとすることができましたか?」


「ええ、大変だったけど、とてもやりがいがあったわ。それにしてもあんだけのことを毎日やっているなんて尊敬しちゃうわよ」


「ふふっ、そうですか。それは良かったです」


そう返答しながらも、俺の身体を拭いてくれる。


俺の身体を拭き終えると、寝巻きに着替えさせてくれる。


人に着せられたりするのは少し違和感がまだあるが、そのうち慣れるのだろう。慣れたくはないが、こればかりは過保護だからしょうがない。


そして可愛い寝巻きに着替えさせられた俺は、最後に自分の魔法で髪の毛を乾かす。


これは最近髪の毛に費やす時間がすごく多いために生み出した優れものだ。このおかげで夜に色々出来る時間が増えたのは、偽りのない事実だ。


「えっ、何その魔法?便利過ぎない?」


エリナは羨ましそうに見てくる。そんなエリナにもその魔法をかけてあげる。


「うわぁ、やっぱりこれすごいわね…私も出来たらやって見たいわ」


そして俺とエリナは、髪を櫛で通す。俺はオシエにやってもらってるけど。


それが終わり、オシエはシュシュで髪を束ねてくれる。


「…はい、シア様完了しました」


「ん、オシエありがとう」


「はい、ではシア様おやすみなさい」


「うん、おやすみ」


今日はエリナとお部屋で寝るから、ここでオシエとはお別れだ。


オシエにおやすみを言った俺は、エリナを自室へと案内するのだった。






        ーーーーーーーー






「それにしてもかわいいお部屋ね、意外だわ」


「うぅー、それは言わないで」


ヨメナやオシエにかわいいものばっかりを強制的に持たされた俺は、やっぱり幼女の意識に釣られているのか、かわいいぬいぐるみが好きになってしまった。


それによって、俺のベッドにはぬいぐるみがたくさんと溢れている。まあ、キングサイズのベッドだから、たくさんぬいぐるみがあっても困りはしないが。


そして今では、その中のぬいぐるみの一つを抱きながら寝ないと安眠が出来ないところまで堕落してしまった。


んんっ、ゴホンっ。


少し余計な話をしてしまったようだ。


そして俺とエリナはそんなぬいぐるみがたくさん置かれているベッドへと腰をかける。


「やっぱり、お泊まり会といえば、パジャマパーティーよね」


「そうなの?」


前世男だったため、女の常識を知らない俺が、そんな知識があるわけがない。


「じゃあ、こんな時、寝る前に女同士で話し合うことなんて決まってるわよね?」


「うーん?」


「それは…」


ごくりっ


「恋バナよ!」


「…………」


「あれ?」


「恋バナってだれだれくんが好き。とか、だれだれちゃんが好きとかのやつ?」


「ええ、その恋バナよ?」


「あの、エリナ…」


「何かしら?」


「わたしたちまだ小さいし、周りに男の子もいないから、恋バナできなくない?」


「あっ…」


ようやく気づいたらしい。恥ずかしそうな顔をしている。人は間違いを起こすとそうなるのだ。みんな、覚えておいた方がいい。


「じゃあ、何の話をすれば良いのよ!」


「いや、わからないけど…」


「シアが話せるもの…そうよ!英雄になった人たちの話を聞かせてよ!」


キラキラさせた目をこっちに向けてくる。


「うーん、どうしようかなぁ?めんどくさいし…」


「そこをなんとかできないかしら!」


エリナは負けずと頼んでくる。くそ、かわいい!


「しょうがないなー。でも一つだけ約束してくれる?」


「ええ、約束するわ!」


「わかった。話してあげるけど、ほかの人とかに話しちゃダメだよ。それを守れるなら」


「ええ、わかったわ!」


俺はエリナの隣に座ってから言った。


「うん、それじゃあ話すよ。英雄の物語をシルフォリウム

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