【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる
第31話 失敗は誰にだって…あるはず…
「で、シアはどの武器を使うんだ?」
ライラが俺に聞いてくる。そんなのは元から決まってる。
「私は剣をつかおーと思うんだ」
「剣?なんで剣を使おうと思ったんだ?お前だと重くて持てないぞ?」
「えっ?えーとねー、パパが剣を使ってたって聞いたから、私も使ってみたいなって。一番軽いやつだったら私でも持てると思うし」
「そ、そうなんだ…ちっアキレアめ」
「あっ、いま舌打ちしたー!」
アリサがそこで口出しをする。
「いや、気のせいだ」
「そう?」
アリサが首を傾げる。
いやいや、今の完璧に聞こえてましたからね!
したでしょ、舌打ち!
「じゃあ、剣の扱い方を教えるとするか」
流したのは置いとくとして、剣の練習は、 ありがたい。久しぶりだから少し嬉しい。
「でも、シアじゃふつうの剣を持っても、ただ重さに振り回されてしまうだけだ。だから細剣が良いと言いたいところだが…今はそれを持っていない。だからリーチは狭いが、緊急でこの剣を使うといいだろう」
そして、俺が、その剣を受け取ろうとした時…
「ちょっと待って!」
俺たちは、一斉に振り向く。
振り向いた先には、ヨメナがこっちに向かって走ってきていた。
「どうしたのママ?」
俺は真っ先に聞く。
「あのね、これ。ママからのプレゼントだよ?受け取ってね」
俺はそのプレゼントが入った包みを受け取る。
「ママー、これ何が入ってるの?」
「まあ、良いから。自分で確かめて見なさい」
俺は、そのプレゼントの中身を開けて確認する。するとそこには、俺がまさに今欲しかった剣、細剣が、入っていた。
「ママ、なんで私がこれ欲しいってわかったの?」
「だって…シアってアキの剣のことを話してると嬉しそうなんだもの。だからこの子は剣を使うようになるのかなって思って。でも、アキのように重いのは持つことはできないから、やるんだったら、細剣かなー?って思って買っといたのよ?」
すげーな。こいつ、やっぱり、親バカだな。
俺は苦笑い。
「シア、嫌だった?」
「なんでー?別に全然嬉しいよ?」
「そう、良かったわ」
ヨメナは、プレゼントが成功してホッとしている様子。
「ちょうどいい。シア。私とはその剣で交えましょう」
「シアが闘うの!?私も見てみたいわ!」 
「ふぇっ?私も、シアちゃんが闘うところ見たい!」
アリサもヨメナに負けずと食いついてくる。
「うん、少し試してみる」
そして俺はライラと向き合い、ヨメナからもらった細剣を持つ。
「私からは攻撃をしない。一応、シアの練習だからな。だから精一杯剣を振ってくれ」
舐めたことしやがって〜このヤロー。さっきは散々やってくれたっけ?これでやり返してやる!
俺は構える。やっぱり身体が変わったからか、剣をたくさん握ってきたはずなのに、初めて剣を触ったような感覚だ。まあ、大丈夫でしょ。
「いくよ!」
「ああ、こい」
「はぁあああっ!」
俺はライラの方に向かって走り出す。そして、ライラに向かって剣を振り下ろそうとした時…
「ガツッ!」
石が足に引っかかった。
途中で足を引っ掛けてたため、当然ライラに届くわけがなく、その剣は地面に勢いよく突き刺さる。その勢いで身体が軽い俺は、身体を持ってかれて空中で一回転。そしてそのままライラの胸に飛び込んだ。ライラは剣を離して俺を受け止める。
「あらあら、シアってやっぱり甘えん坊さんね」
俺は顔を赤くした。
くそ〜、今度こそ!
結局、そのあと剣を振ることは叶わなかった。
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