【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第8話 ドラゴン退治



《ヨメナ視点》






私はこの街、ストックの正門を目指して走り出している。
走っていてわかるけど、やっぱりこの街は意外と広いことが直に感じる。
私自身が正門から遠い場所にいたことも理由かもしれないけど…


そんなこんなで私は、ストック正門にたどり着く。


正門は、たくさんの冒険者で溢れかえっている。
と思ったが、そんなにはいなかった。


やっぱりBランクともなると、そんな簡単になれるわけでは無い。


Bランクは、同格のBランクの魔物またはそれ以上を一人で倒さなければなることは叶わない。
私は一応アキと闘ってきたから、大体の魔物は何とかたおせるから、Sランク冒険者として連なっている。


私は、火と風、光属性の魔法の適性を持っている。
そう、私は三つ持ち。
この世界だと三つ持ちは珍しいだろう。


ましてや滅多に適性を持つことができない、光の適性を持っているのだから尚更だろう。






この世界では、ほぼ全ての人たちが何かしらの一つの属性の適性を持っている。
二つ持ちになると、千人に一人いると言われている。
三つ持ちになると格段に確率が上がる。
これだけでもヨメナがすごいことがわかる。


アキレアの四つ持ちまでいくと、この世界で数人しかいないとか…


ましてやシトレアとかはもう、反則級なのである。
ヨメナはこのことを知らないが…


そしてヨメナはさっきも言った通り、光の適性も持っている。
光魔法を使えるのは、この世界で三桁に届かないくらいだ。


神官は、この光魔法が使えなければなることができない。
そうすると、ヨメナの存在がとても珍しく、貴重なものだと良くわかる。 
だから、光魔法を持つものは、とても収入が良く、儲かるらしい。
ヨメナは冒険者だからそんなことに興味が無いが。






ある程度集まったところで、ギルド員の女の人がみんなに声をかけ始めた。


「みなさん、緊急依頼に集まってくださりありがとうございます。今回みなさん知っていると思いますが、この街に魔物が迫って来ています。達成報酬は、依頼達成後にてお渡しいたします。」


「今回の魔物は大体は知っているが何なんだい?」


と、ある一人が聞く。
そして女の人は答える。


「今回はドラゴンです。」


ざわざわと周りから戸惑いの声が聞こえてくる。


「ドラゴン!?無理に決まってるだろう!」


「俺はまだ死にたく無い!」


など、いろいろなネガティブな声が聞こえてくる。


そんな時だった。


「皆、静まりたまえ!」


その声で、周りのざわめきが収まる。
そしてその声の持ち主は喋りだす。
その声の持ち主は、さっきまで喋っていた女の人の近くにいた、またもや女の人だった。


「こんなとこで怖気付いてどうする!こんなんで街を守ることは出来ないぞ!私はストックの冒険者ギルドのギルドマスター、そして元Sランク冒険者プラタナだ!今回は私もいく。ほかにもAランクもしかしたらSランクが何人かいる筈だ。だから戦力的にはこっちに分がある!怖じけづくな!街のために戦え!」


プラタナが言い切ると、周りの空気はあっという間に一変していった。


「そうだよな、俺たちが間違ってたぜ」


「俺たちでやってやろうぜ!」


「僕の筋肉を見せつけてあげるよ」


最後に一人主旨が違うおかしい人がいたが、まぁいい。


プラタナの一言で、周りが、動揺してざわめいていたが、一瞬でその空気は覆った。
これは事実だろう。やはり、高ランクの威厳だろうか。それが滲み出たのだろう。


「ではいくぞ!!」


「「「おおー!!!」」」


そして私と冒険者一行は、ドラゴン退治に向け出発した。






       ーーーーーーーー






私たち冒険者はすでに幾らか進んで、ドラゴンがいるであろう付近の場所まで移動してきていた。


歩く人たちの顔には、緊張をしている様子がうかがえる。


そして戦いの時は突然に訪れた。


「グオォォォーー!」


空からドラゴンらしき飛行体が猛スピードで私たちの方まで飛び、雄叫びをあげた。
そして私たちを認識したのか、一度ドラゴンは止まって、再び雄叫びをあげた。


「グオォォォーー!」


それに負けず、冒険者一行も反撃の狼煙を上げた。


「怯むな、いくぞ!」


「「「おぉー!!」」」


それの雄叫びとほぼ同時に、魔法が一気に放たれた。そしてそれが当たったのを確認すると、また、次の魔法が放たれ、ドラゴンに当たって弾けていく。


だが、あのくらいでは、ドラゴンにとってこそばゆいくらいだろう。


このくらいの実力ならば、手順を持って戦わなければならない。そう、まずは翼をーーーー


と思考していると、「翼を狙って飛べなくしろ!!」とプラタナさんが言い放ったため、魔法が放たれる場所はドラゴンの翼一点に集中した。
流石は一流だった冒険者。的確な判断をしている。


ドラゴンは、翼を先ず使えないようにしないと、効率よく倒すことができない。近接戦を得意とする人たちがいるからである。言っちゃえば、宝の持ち腐れというやつだ。


「私も、ドラゴンを倒してシアとすぐ合流しないといけないから、最初から全力で行かせてもらうわよ!絶対零度アブソリュート・ゼロ!!」


これでも私は邪神を倒すために戦ってきた身。
その時の戦いに比べたらへっちゃらよ!!


私から放たれた魔法は、見事ドラゴンの翼に命中し、氷で翼を染めていく。
そしてドラゴンの翼は使い物にならなくなり、ドラゴンは重力に従って地面に落ちていく。


そこを私たちは見逃さなかった。


「一気に叩け!!」


その一声で冒険者たちは一気にドラゴンへ突撃し、身体強化魔法やら武器の技やらを使って猛攻した。
そしてそれもあってかドラゴンは見る間にも弱っていく。


そしてあと少し、というところでドラゴンの様子が一変した。
その変化にいち早く私は気づいた。


ブレスがくる!


他の人も遅れて気づいた様子。


「ブレスがくるぞ!みんな避けろ!!」


その言葉を聞いて、ドラゴンの近くで戦闘していた人たちは、全速力でドラゴンから離れていく。


その間にもドラゴンがブレスの態勢に入る。
私はそのブレスを打ち消す魔法を唱え始める。
が、間に合うかは微妙なところ。


ドラゴンはブレスの準備が整ったのか、大きな口をこちらに向け、ついには大きな音を立ててブレスを放った。


「グウォォオオ!!!」


お願い間に合って!!


大爆発エクスプロージョン!!」


その瞬間、あたりは爆発とその砂煙で包まれた。










私は魔法を放ったと同時に、その場でうずくまって衝撃が収まるのを待っていた。


爆発が収まると、さっきまでドラゴンがいた場所に急いで振り返る。
その場合には、火で焼かれたようなドラゴンの死体があった。


みんなもそれを見ると、安心したのか安堵の表情を見せた。
それと同時にみんなが勝利を確信し、みんなで喜び合った。


「ドラゴンに勝ったぞ!」


「よっしゃ〜!」


「僕のこの筋肉のおかげさ!」


最後の人はやっぱりおかしいのか、筋肉を見せびらかす。
結論。
最後の人は、おかしい人だったらしい。


今後関わらないでおこう。


そう心に決めたヨメナだった。


そして私も勝利の余韻に浸ろうとした。


ドラゴンを倒した。


これでシアに会うことができる。


またあの生活が。


だけど、その時間は夢のように儚く奪い去られていった。


街の方から一人、馬を乗ってやって来るのが見えた。
そして私た地に気づくと急ぎで私たちの方までに近づいてくる。


そして私たちのところまで来てその馬に乗って来た人は焦らようなそぶりを見せて言った。


「はぁ…はぁ…ストックからの情報です!ストック東門の方角から一体のドラゴンが!」


そして私は、それを聞いた途端に何かが切れた感覚がした。


そして、


「その馬かして!」


「えっちょっと!」


私はその人から馬を奪って街の方へ急いで駆け出した。


「待ってて、シア!すぐにいくから!」


ヨメナは馬に乗って駆け出す。


もう二度と大切な人を失わないために。











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