声優さえできればいい

東郷 アリス

第37話 カラオケでカノンの持ち歌を歌うのは罰ゲームなのだろうか?



カラオケも終盤に差し掛かった頃。 
盛り上がりも最高潮を迎え、その熱も少しずつ冷めつつあった。


俺も男の時に女子の比率が高いのは不慣れだったが、みんながフレンドリーに接してくれたため、不自由なくカラオケを楽しむことが出来た。


それにしても……こんなに歌ったのに女子は元気だなー。その元気が羨ましい。


俺はそんな女子三人が仲良く歌ってるのをメロンソーダをズズッと飲みながら近くで眺めていた。


そして女子三人が何曲か歌い終わり、数分前に電話がかかってきたのもあり、そろそろお会計の時間かなと俺はソファーから立ち上がった。


が、結花奈、雪菜さん、新堂さん全員が俺を見て何してるの?という風に俺を見ている。


「やめてくれ!俺は見つめられて惚れるほどやわじゃないぞ!」


「っ!?そ、そうじゃないわよ!これを渡したかっただけだから!」


そして結花奈が俺にマイクを差し出してきた。


「えっ?お会計じゃ……」


「何言ってるの?最後はきりんが歌うのよ?」


「……えっ、俺?」


「ええ、そうですわ」


新堂さんも俺に歌ってほしい様子。


「いやー、でも俺なんかが最後を締めちゃーー」


「きりんちゃんに歌ってほしいの!!」


「は、はいっ!!」


雪菜さんに駄目押し打を食らったため、自動的に俺が歌うことになった。
しかも何故かカノンの持ち歌。何という罰ゲームなのだろうか。


だが、取り敢えずその場凌ぎのために、精一杯歌う俺であった。














そして最後のメロディーが流れ、俺が歌い終わると。
女子三人は、さっきまで見せていたテンションはなく、ただポカーンとしながら俺をみつめていた。 


えっ?俺そんなに歌うの下手くそだった?


なんかいつまでも女子三人がポカーンとしているため俺は、「会計行ってきまーす」とその場から逃げ出したのだった。












きりんがいなくなったカラオケルームではーーー


「凄くなかった?」


「うん、凄すぎて声が出なかった」


「私もですわ……」


三人は、テレビに映っている点数を見ていった。


そこには、100点という文字が書かれていた。

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