声優さえできればいい
第26話 世界に誇る声優
このアイバン感謝祭にはファンたちに楽しんでもらうために色々な企画が存在する。
まずはイベントの基本である物販販売だ。この感謝祭で販売する物販は、いわゆる先行発売しているものや、もう販売はしているけどイベント価格として少し安く売られているもの、そして会場限定販売のものなどが多く存在する。俺はカノンとしてグッズは貰えるからそこで買わなくても大丈夫なんだけどね。
が、俺たちがいる方は第七ホール。展示物やステージ、ちょっとしたゲームができる広場の方だ。ちなみに物販は第八ホールになっている。
じゃあ、何故こんな話題を出したかって?
もちろん理由はある。それは…
「どうしても自分が演じてる役の売れ行きが気になるからだよ」読者達!
俺と姉は入り口付近にあった物販の一覧表看板を見る。 
「流石に十分ちょっとじゃどれも売り切れないかー」
「そうだな…」
と感想を述べている矢先。
「音音アリアの扇子とパーカー売り切れでーす!」
えっ?早くない?
俺だけじゃないよね?こんな風に思ってるの。と、隣の姉を見る。すると姉も驚いていた。姉以外もそうだった。周りのみんなが売り切れに驚いている…というわけではなかった。
周りの人は当然という風に捉えていた。  
「なんでみんなは驚かないんだ!?」
「きりん…カノンの人気をなんだと思ってるの…世界に誇る声優だよ?すぐに売り切れるに決まってるよ」
姉はすぐカノンのグッズが売り切れたことに驚いたのではなく、俺がそれに驚いたことに驚いたらしい。
そう、きりんはカノンがどれだけ人気なのか知らなかった。
カノンの知名度は日本人であれば知らない人がいないに等しいほど。どんなことをしているかとか詳しく知らない人はたくさんいると思うが、カノンという名前だけは絶対耳にしたことがあるだろう。
世界でも日本のアニメやライトノベル、マンガが好きな人なら絶対知っているくらい。そんなすごい人が演じている役であればものの数分で売り切れるに決まっている。
そして今では赤宮 カノンという声優が関われば、あまりにも環境が酷すぎなければほぼ人気間違いなし。それが赤宮 カノンだ。
と、姉に説明された。
そして俺は、カノンのグッズに売り切れと書かれた札が貼られていくのを見ていることしかできなかった。
そしてカノンのグッズ、音音アリアのグッズは、その後五分くらいで全てが売り切れた。
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