声優さえできればいい
第11話 赤宮 カノンは崇拝されるもの
「取り敢えずこのカフェに入りましょう?」
私がそう言うと、みんな頷いてそのカフェに入ってくれる。
カフェには誰もいなかった。
ただたぶんこの店のオーナーをやっているであろうおじさんがいた。
「おじさん、この店を貸し切りにしてくれないかしら?お金はそちらの言う通りの額を払うわ」
私は変装を外してそのおじさんに聞いた。
するとおじさんは驚いたようにして、察してくれたのか、貸し切りの許可を貰った。
「じゃあ、みんな席について」
そしてみんなは席に着く。
「じゃあ、さっきは慌ただしかったからもう一度言うけど、赤宮 カノンよ。よろしく」
「本当のカノンが目の前に…」
「何にも言えませんわ…」
「涙が出てきそう」
「実感が湧かないんだけど…」
「ま、まぁ、みんな落ち着いて」
「「「「はいっ!」」」」
みんな返事を返してくれたけど…声が裏返ってるよ?
「まず、きりんの件なんだけど…私高校に行ってないからどういうものかって知りたくてきりんに譲って貰って来ちゃったの。みんな、ごめんなさい」
「いえ!べつに大丈夫です!むしろきりんより嬉しいです!」
賢太郎、覚えておいてね?
「そうです!むしろ嬉しいです!そうだよね、みんな!」
ほかのみんなも頷く。 
「みんな、ありがとう。その御礼としてはなんだけど、何かみんなにしてあげたいのだけれど…」
「それだったら…」
「それだったら?」
「サインください!ついでに目覚まし時計用のボイスも!」
私は微笑みながらも承諾し、みんなにサインをしてあげた。
ついでにリクエストされたキャラクターボイスも。
賢太郎にサインをあげたときは、それはそれはもう、すごい泣きながら私のことを拝んでいた。
だからあまりバラすのは嫌だったんだけどな。
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