声優さえできればいい

東郷 アリス

第8話 フィールドワークの班決め



俺は眠気に負けないように、クタクタになりながら学校へ歩いていく。
そして十分とそこらで学校について、靴を履き替えて教室に向かう。


「お、キリンじゃん!おっはー」


「おはよう…」


今俺に話しかけてきたのは、クラスの男子の中で一番仲がいい、立花 賢太郎。
賢太郎はすごいテンションが高い。
朝から。
だからついていけない時が多々あるがいい奴だ。
あと、


「今日もテンション低いのかー?なんかあったか?」


「いや別に何もないけど…」


「そうか、なら良かったぜ!…ってそれよりも昨日のラジオ聴いたか!?」


「別に聴いてないけど?」


「きりんー、それは損だぜ。まぁ、きりんは興味ないもんなー。でも言っておくぞ!なんとな!カノンの生放送が昨日から始まったんだよ。その生放送はな。カノンに好きな質問が出来るんだぜ!
俺もなぁー、もう質問送っちゃったぜ!」


そう、大のカノン好きなんだ賢太郎は。
そんな賢太郎の話はまだ続いた。


「それでな?ここからが重要な話なんだがいいか?よく聞けよ?」


「お、おう」


「昨日の放送でな?なんとカノンの年齢が十六歳って分かったんだよ!俺たちと同年代だぜ!もしかしたら近くの学校に通ってるかもな!」


いや、目の前にいますが?


っと、ツッコミはここまでにしておいて。


年齢の件に関してはちょいしくじったかなぁ?


アプリのニュースランキングでも上位占めてたしな…


と周りを見渡すと、確かに所々でカノンの話をしているのが聞こえるな…


まぁ、心配は要らないか…な?


そんな中で朝のホームルームは始まった。


そして時刻は午後の六時間目の終了後。


よし、この授業が終われば家に帰れる!


そんな時。
俺が一番警戒していたことが発表された。


「みんなー、来週にフィールドワークがあるからその班をつくりますよー」


「先生ー、どこにいくんですかー?」


クラスの誰かが先生に聞き返す。


「えっとですね、東京都の中だったらどこでもありらしいですよ?まぁ、時間とかを考えてくれれば班で自由に決めていいらしいのよ」


「へーそれいいなぁ。なぁ、きりんー?」


「そうだな」


俺もそう思う。


「じゃあとりあえず…四十人だから五人班を八個作ってちょうだい。あっ、異性を必ず二人は入れてねー。はーい、スタート」


「じゃ、きりん組もうぜー」


「いいぞー」


だが今俺は、班決めよりも気にしていることがあった。それは、男でいられる八時間をこしてしまうこと。そのタイムリミットまであと三十分ちょいだ。
だから、慎重にいかねば。


「じゃあ、女子はどうするかだなー。まぁ、きりんは中性の顔してるし、そのおかげで女子に人気だから誰か誘ってくれるのを待つか」


「くっ、人が気にしていることを!」


そんな風に賢太郎と言い合っていると、女子の一つのグループが俺たちに話しかけてきた。


「きりんちゃん、私たちと班を組まない?」


「え?」


その女子たちを見ると、クラスで一番可愛くて人気な、雪菜 雫、そして俺と一応幼馴染の三森 結花奈 、そして金持ちの新堂 麗奈だった。


三人とも接点なくね?


「へー、その組み合わせは意外だな」


俺ではなく賢太郎が聞く。


「私が誘ったらいいよって言ってくれて…で、男の子はやっぱり可愛いしきりんちゃんとかなぁ?って」


「そうか、そうか。それはいいことだ。別に、班になってもいい。だがな、結花奈。一つだけ間違っている事がある」


「何?」


「俺は男だ!ちゃんじゃない!分かったか!そこだけは覚えとけよ!」


「はいはい、分かったから。じゃあ、班も決まった事だしいく場所決めようか…っていってもみんな秋葉でしょ?」


「当たり前だな」


俺は肯定する。
みんなも頷く。


「じゃあ決定ね?じゃあ先生に行ってくる!あっ、きりんちゃんも一緒に来て!」


「だ、かーらー!ちゃんじゃない!むぅぅぅう!」


「人間諦めることも大切なんだぜ、きりん」


賢太郎がかっこよさげに言う。


「むぐっ!むぐぐぐっ!!」


俺は自分を抑えて結花奈の元へ向かった。



















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